※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いない部分もあります。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたら嬉しいです。
ですので、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、リハビリテーションの専門家の意見や見解である。
というように捉えてほしいと思います。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
是非、宜しくお願いいたします。


こんにちは。
mamotte運営者で理学療法士の平林です。
今日は骨折をテーマに話していきます。
あなたは、骨折をした事がありますか?
どこを骨折するかによって、痛みの強さや日常生活への影響も大きく変わってきますが。
生活が辛い状態になってしまうのは、間違いありませんよね。
また、骨折の部位によって、治療日数も変わってきます。
そんな骨折でも、リハビリを行うことが大切になってきます。
むしろ、リハビリをしないと、治りが悪かったり、骨癒合(骨がくっつく事)後の筋力低下や可動域制限に大きな影響を与えます。
なので、骨折中にリハビリをどれほどできるか?
によって、完治後の状態も変わってくるのです。
で、今回は、
- 骨折のリハビリについて
- 骨折でしてはいけない事
- 骨折した箇所によって、治療日数も違う
- 骨折の治りを早くするために
といった4つを含めてお話します。
この記事を読むメリットは、
といった3点があります。 |
是非、最後までよんで参考にしてください。
目次
1 骨折の時に行うリハビリってなに?
では、骨折の時に行うリハビリについて紹介していきます。
1-1 筋力の向上
まず、筋力をつける努力をします。
これは大切な行為になります。
というのも、
骨折すると多くの場合、骨折した部分やその近くの関節の動きが制限されてしまいます。
骨折部位によっては関節の動きが制限されるだけでなく、体重をかけることができないなどの制限が加わる場合もあります。
また、痛みがあって動かせないこともあるのです。
このような状態では、
関節が動かず、筋肉を使う事ができずに筋力低下を起こしてしまう可能性が高いのです。
このまま放置すると、骨がつながった時には筋力が大きく低下して、いざ関節を動かそうとしても力が入らなかったり、体重をかけても支えられなかったり。
という状態になってしまいます。
このような状態になるのを防ぐために、骨折の早期から筋トレをして、筋力低下の防止が必要になるのです。
そうすることで、早期の復帰が可能になるでしょう。
1-2 可動域の改善
骨折してしまうと、筋力が低下するのと同様に、骨折を起こした付近の関節の動きが悪くなります。
関節は動かさないでいると、筋肉が硬くなってしまい、拘縮(こうしゅく)という状態になってしまいます。
拘縮は、関節が伸びたり、曲げたりができない状態を指します。
拘縮は、関節包、靭帯、皮膚などの関節周囲の組織や関節周囲の筋肉が短くなる、柔軟性がなくなる。などを起こし、関節の動く範囲が狭くなったりするのです。
よって拘縮を起こしてしまうと、なかなか治りづらい。
といった傾向が言えるのです。
(しかし、拘縮も数か月でなってしまう。という訳ではありませんので、不安にならなくてもいいでしょう)
特に関節の内部で骨折が起こった場合はこの傾向が強く、リハビリをしないと可動域制限が後遺症として残ってしまう場合もあります。
なので、
骨折後、早期から関節可動域訓練を行うことで拘縮の予防をします。
拘縮はできてしまうと、あとで改善させるのは難しくなります。
この点は筋力よりもシビアです。
骨折の可動域訓練は、骨折した場所にもよりますが、高度な技術を必要とする場合もあります。
主に関節可動域訓練は理学療法士や作業療法士が行いますが、手術後早期に CPM(Continuous Passive Motion)という機器を使用して関節可動域訓練を行うこともあります。
設定した可動域の屈伸を繰り返し行います。
術後の拘縮を予防することができます。
1-3 他に関連する部位を動かす
骨折が局所的であっても、その影響は広範囲に及びます。
骨折した部位の周囲の関節を始め、その他の関節可動域訓練や筋力増強訓練を行いましょう。
骨折を起こして、臥床期間が長期に及んだ場合は、全身に筋力低下が生じる場合もあります。
そうなると、体力をつけるために全身が訓練の対象となることもあります。
骨折後や手術後などでベッドに臥床している場合では、
深部静脈血栓症(エコノミークラスシンドローム)を起こしやすく、命に係わることもあるため、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)を動かす運動を積極的に行います。
その他に、
例えば左膝関節付近の骨折のため関節を固定している場合、膝関節を曲げ伸ばしすることができません。
このような期間中に、右下肢だけで自転車こぎ(自転車エルゴメーター、エアロバイク)を行うなどして、動かせない左下肢への波及効果をねらった運動などもあります。
このように、骨折部位だけに可動域訓練や筋トレをするのではなく。
全身をみて、必要な運動を行っていくことが必要になるのです。
2 骨折の時にしてはいけない事
ここでは、骨折の注意点や禁忌事項を話していきたいと思います。
ここはとても大切な点です。
骨折後に手術を行ったかどうか?
骨折の程度等いくつかの要素で若干異なってきますが、基本的には、骨折した部位に無理な力がかからないようにしなければなりません。
近年では骨折した部位を金具で固定することが多くなったので、骨はきれいに癒合することが多くなりました。
金具で固定しているために骨折部分がずれないからです。
ただし、金具で固定しているからといって無理はできません。
無理に負荷をかけると骨折部位に力がかかり、骨の癒合を阻害してしまいます。
医師の判断によりますが、骨が癒合するまでの間、無理に動かしたり、体重をかけたりしないことが重要となります。
金具で固定していない場合はさらに注意が必要で、骨折部位を動かしすぎると骨折部位がつながらなくなる「偽関節(ぎかんせつ)」を起こすことがあります。
定期的にレントゲン撮影を行って、骨の癒合状態を医師が確認します。
医師からの許可が下りるまでは、無理に動かさない、体重をかけないなどの注意が必要です。
偽関節の状態になると、骨移植を行う等大掛かりな手術になる場合もあります。
また最悪の場合、「切断」の必要性が出てくる場合もあります。
なので、
安静にしすぎるのも良くないし、動かしすぎるのも良くない。
という場面で考えていただけたらと思います。
3 骨折した箇所によって、骨癒合の日数が違ってくる
同じ骨折でも、骨折の程度や場所によって骨癒合するまでの期間に違いがあります。
主な骨折についてGurltとColdwellの表を参考にしながら、標準的なの癒合期間をご紹介します。
骨癒合が完成した場合でも機能障害が残っている場合もあります。
なので、そのような場合はさらにリハビリが必要となることもあります。
スポーツ復帰などの場合、半年から1年を要する場合もあるでしょう。
では、下記に部位ごとによって紹介していきます。
3-1 頭部
頭蓋骨の骨折などがあります。
頭蓋骨とは、頭のてっぺんとその周囲の事を指します。
頭蓋骨にひびが入ったような骨折を頭蓋骨線状骨折といいますが、骨折自体は治療の必要はなく、自然と治癒します。
骨が陥没してしまう場合、頭蓋骨陥没骨折と言いますが、この場合、陥没骨折整復術が行われることがあります。
癒合期間については、数週間と言われています(状態によって異なる)。
3-2 肩
肩付近の骨折は、上腕骨のつけ根部分や鎖骨などの骨折が多く見られます。
骨癒合期間は、
- 上腕骨近位部(付け根部分)で6週~7週
- 鎖骨の場合、4週程度
となります。
上腕骨は肩から肘までの骨の事をいいます。
3-3 腕・手
腕の骨折は上腕骨や前腕骨といった、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)の骨折があります。
上腕骨、橈骨、尺骨で6週程度が目安です。
肘から手の骨を前腕骨と言って、前腕骨は橈骨と尺骨という細い骨の二つからなります。
多い骨折に橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)というのがあって。
転んで手をついた時に起こる骨折です(高齢者に多い)。
また、手の骨は小さい骨の集まりでできています。
その中で、特に骨折しやすいのが、舟状骨という骨です。
これもまた、転んで手をついたときに発症しやすくなります。
手をついた時に起こる骨折として橈骨の先にある骨、舟状骨(しゅうじょうこつ)の骨折があります。
この骨は骨癒合が起こりにくいです。
手術が必要となることが多い骨折です。
3-4 体幹(腰・胸)
体幹の骨折は、胸椎や腰椎の圧迫骨折、肋骨骨折などが多いです。
圧迫骨折の場合、状態によっても異なりますが、8週から12週程度、肋骨では軽傷の場合3週程度となります。
3-5 股関節
股関節の骨折で多いのは、大腿骨頚部(けいぶ)や転子(てんし)部が多いです。
頸部骨折の場合、骨癒合が得られないことも多く、人工骨頭へ置換することが多くなります。
比較的若い人の場合や骨折に転移(ずれ)がなく、軽いヒビで収まっている場合は、保存的に骨癒合を期待した治療を行います。
この場合、必要とする期間は長く、3ケ月から半年となります。
頸部よりやや外側の転子部での骨折では、骨癒合が比較的良好なため骨接合術が行われます。
癒合期間は8週から12週です。
骨盤の骨折は8週程度です。
3-6 大腿(太もも)
大腿骨の骨折は骨幹部や膝の上部の顆上骨折などがあります。
癒合期間は、8週~12週です。
3-7 下腿(すね)
下腿に起こる骨折は脛骨(けいこつ)骨折と腓骨(ひこつ)骨折があります。
癒合期間は脛骨・腓骨ともに6週から8週程度ですが、脛骨の中下1/3の部位は栄養血管に乏しいため、骨癒合が起こりにくい代表的な部位です。
偽関節を起こしやすいため注意が必要です。
腓骨の骨幹部(中央辺り)の骨折は、つながらなくても機能障害が起こりにくいです。
3-8 足部
足部で起こりやすいのは、足関節の骨折(脛骨・腓骨)や踵骨(しょうこつ)の骨折が多いです。
運動中に足首を捻ったり、高いところから飛び降りたりしたときに起こりやすいです。
それぞれ6週から8週程度かかります。
関節内の骨折は拘縮を起こしやすく、機能回復に時間がかかることが多いです。
部位 |
癒合期間 |
頭部 |
数週間 |
上腕骨近位部(付け根部分) |
6週~7週 |
鎖骨 |
4週程度 |
上腕骨、橈骨、尺骨(腕・手) |
6週程度 |
体幹(腰・胸) |
8週~12週程度 |
肋骨(軽傷の場合) |
3週程度 |
股関節(若年層・軽いひびの場合) |
3ケ月~半年 |
股関節(頸部よりやや外側の転子部) |
8週~12週 |
骨盤 |
8週程度 |
大腿(太もも) |
8週~12週 |
脛骨・腓骨(すね) |
6週~8週程度 |
足部 |
6週~8週程度 |
4 骨折の治りを早くするために必要な事
基本的に骨癒合にはある一定の時間がかかります。
しかし、
病院によってはこの期間を短くするために、超音波を利用した治療法を取り入れています。
有名なスポーツ選手がこの方法を利用したことで有名になったのではないでしょうか。
超音波がどれほど骨折に有効なのかはやってみないとわからない。
という部分ではありますが、有効とはいえるでしょう。
通常は、自然につながるのを待ちます。
骨折部位に折れ曲がるような力がかかると、骨癒合が阻害されるので、癒合が完了するまで無理な力がかからないようにすることが必要です。
また、
筋肉や関節の機能が落ちないように訓練を継続して行うことが、社会復帰の早道となります。

※ 理学療法士 イワモトの意見・考え ※
骨癒合がなかなか完成しない(遷延癒合:せんえんゆごう)状態になると、最悪の場合「切断」となる場合があります。
実際、下腿の切断に至った例も経験しています。
切断は極端な例としても、偽関節となることはそれほど珍しくありません。
骨折は、折れたときに痛みを伴うことが多いですが、しばらくすると痛みがおさまります。
痛みがなくなると、治ったような感覚になることがあります。
なので、医師からは許可が下りていないのに、痛みがないからという理由で早期に患部に負荷をかけたりすることがあります。
人間の体はよくできていて、多少の無理はきくようにはできていますが、骨折部位に無理な力がかかりすぎたり、頻繁に負荷がかかったりすると、骨がつながらなくなります。
なので、医師の指示やPT・OT(理学療法士・作業療法士)からの指示を守るようにしてください。
5 まとめ
今回は骨折とリハビリについてお話ししました。
近年では骨接合術などの手術療法が積極的に行われるようになり、骨折の予後は改善されました。
しかし、技術は進んでも骨の癒合自体は自分自身の治癒力によります。
医師の指示を守り確実に癒合させることが大切です。
また、
適切なリハビリを行って、筋力低下や拘縮を予防することで社会復帰を円滑にすることができます。
ですので、しっかりと行いましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:mamotte運営者 理学療法士 平林

※ 編集を終えて:最後に ※
骨折ってホント辛いですよね。
どこを折ってしまうかで、治りの速さが違ってくるのも特徴です。
基本的には、固定と安静になりますが。
肋骨とかだと、固定ができないので、自然に修復するのを待つしかありません。
今回の記事を通して、骨折とリハビリについて少しでも役に立てばうれしく思います。
本日も最後までありがとうございました。


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皆様こんにちは。
mamotteライターで理学療法士のイワモトです。
「骨折」と一言に言われますが、骨折には様々な状態があります。
「骨にひびが入った」などといいますが、「ひび」も医学的には骨折です。