

私達は国家資格を取得しており、実際の現場で学んできています。
ですので、信憑性や信頼性は間違いありません。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して欲しいと思います。
で、一番伝えたい事は、【この記事の内容が絶対正しい!!】とは思わないでください。
という事です。
記事の内容は自信を持って提供していますが、医療の世界は個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
ですので、一つの理学療法士の考えである。と捉えて欲しいです。
この記事があなたの役に立てばうれしいです。
では、宜しくお願いいたします。
目次
1 脳梗塞の治療には何がある?
まず、前提として、脳梗塞の治療にはリハビリテーションが最強だと個人的には思っています。
その中で、投薬や血管内治療なども有効だとは思います。
これを踏まえて、脳梗塞の治療について話していきます。
1-1 血栓溶解療法(けっせんようかいりょうほう)
脳の血管を詰まらせた血栓を、薬物で溶かして、血流を再開させる治療法です。
歴史的には新しい治療法で、良い治療成績を収めています。
近年ではrt-PA(遺伝子組み換え型組織プラスミノーゲン活性化因子)といった物を用いた静注療法が利用されています(以前はt-PAが一般的)。
rt-PAは強力な血栓溶解薬で、血栓を溶かすことが可能です。
非常に有効な治療法なのですが、治療に当たっては条件があります。
脳梗塞発症から4.5時間以内であることや出血の危険性が少ないことです。
というのも、発症からの時間経過とともに、脳血管のダメージが大きくなって、血流再開時の出血の危険性が高まってしまうからです。
それと他に、長時間血流が止まった状態が続くと、神経細胞へのダメージも大きくなります。
という事で、まとめると。
できるだけ早期に治療が開始されることが望ましいのです。
1-2 血管内治療(けっかんないちりょう)
脳梗塞の治療は、rt-PAを優先して行うこととなっていますが、先程の条件のように、こrt-PAが選択できない場合や、十分な効果が得られない場合があります。
このような時に、カテーテルを利用した血管内治療が行われることがあります。
これは、血液の流れを邪魔している物体(血栓)を、
治療は、経皮経管的脳血栓回収機器という物を使用して行います。
足の付け根の血管から細い管を挿入し、頭の中の梗塞した血管まで進めて治療します。
血栓部位を除去(回収)することで、血管を再開通させることが可能なのです。
これは、素晴らしい治療法ですが、この治療法においても条件があります。
治療開始時間は、基本的には発症後8時間以内です(例外があります)。
rt-PAと同様、ダメージの大きい血管での治療は、出血の危険があるため行うことができません。
1-3 リハビリテーション
リハビリテーション=治療ではなくて。
失った機能を取り戻す事を言います。
例えば麻痺側(手や足を上手く動かせない側)の上下肢の訓練を行うことで、脳の活性化(脳の活動、血流量の増加など)を行い、脳の回復を促します。
具体的な手技についてはすべてをご紹介できませんが、理学療法士や作業療法士などのセラピストが、麻痺の回復を促す手技を用いて練習を行います。
言語の障害や嚥下の障害を持つ方に対しては、言語聴覚士による練習も行われます。
医師の治療とリハビリテーションによって、目立った後遺症なく社会復帰できるようになる人も増えてきている社会の現状があります。
これは認識しておいて欲しい分部です。
2 脳梗塞の治療効果を上げる方法とは
脳梗塞の治療効果を上げる方法は、発症後できるだけ早く治療を開始することです。
rt-PA、血管内治療をいかに早く実施できるかが鍵となります。
アメリカで行われた臨床試験では、3時間以内に治療が開始された例では、約4割の人がほぼ後遺症なしという結果となっています。
一方、rt-PAが行われなかった場合、後遺症なしの人は、全体の約1/4にとどまっています。
つまり、rt-PAをやる方が後遺症は残りにくい。
という事が言えるのです。
初期の治療が行えるか、行えないかによって予後が大きく変わります。
治療が遅れると、脳の細胞が死んでしまい、麻痺などの後遺症がほぼ確定的になります。
rt-PAは、誰にでも行えるわけではありません。
持病やその他身体の状態などの影響もあります。
したがって、日常から治療中の病気は何であるかをわかるようにしておくことは大切でしょう。
また、服用している薬がわかるようにお薬手帳を携帯しておくことも大切かと思います。
そして、病院へ到着してから、診察、検査に1時間程度必要になることもありますので、素早く情報を提供できるようにしておく。
といった工夫も必要かもしれません。(とは言え、実際にここまで準備できている人って少ないのが実際なのですが・・・)
3 脳梗塞のリハビリテーションを紹介する
脳梗塞のリハビリテーションは、その方の病状などによって異なります。
したがって、1つの決まったものがあるわけではありません。
ここでは一般的な例をご紹介します。
① 発症直後~数日 早期からベッド上での訓練が開始されます。 良い姿勢を保てるように練習します 関節が固くならないように練習します(拘縮予防):関節可動域練習 寝返り、起き上がり、座位保持訓練など |
② 発症後数日~2週間 医師の指示に従って、リハビリ室での訓練が開始されます。
平行棒や杖などを使って歩く練習をします。 必要に応じて装具を用いることもあります。 状態に応じて、階段や屋外などの応用歩行も実施します。
※急性期の病院へ入院した場合、この辺りで転院となることがあります。 |
③ 発症後数週間(転院後など) さらに長期のリハビリが必要な場合、リハビリテーション専門の病院などへ転院してリハビリを継続します。 日常生活動作の訓練や機能回復訓練などを、時間をかけて実施します。 自宅退院へ向けての動作訓練や家族指導、外泊訓練などを行って準備を進めます。 必要に応じて、家屋改修を行うこともあります。 退院後の自己管理(自主訓練など)、職業復帰にかかわる訓練、自動車運転継続の検討などを行います。 自宅退院が難しい場合は、中間施設(老人保健施設)への入所検討などを行います。 ※後遺症の有無・程度によって異なりますが、精神の変容(障害の受容)が必要となります。 リハビリテーションの本質ともいえるものです。 これは人によって違いますが、数年以上必要となることもあります。 |
4 リハビリテーションを続ければ脳梗塞はよくなるのか
初期のrt-PA治療がタイミングよく行われ、その後のリハビリテーションも実施されれば、ほぼ後遺症なく復帰することも可能と言われています。
しかし、rt-PAが行われても、ほぼよくなる人は全体の4割程度で、残りの5割については後遺症が残り、1割は死亡します(目安です)。
後遺症は、適切な治療とリハビリテーションを行うことで最小限に抑えることが可能です。
しかし、残念ながら、リハビリテーションを続ければ後遺症をゼロにできるというものではなくて。
リハビリテーションは脳梗塞を治すものではなく、障害を受容し、残された能力を最大限に使って生活に復帰するためのプロセスであるだけ。
という意識をもって欲しいと思います。
5 再発予防への取り組みも大切
脳梗塞を発症すると、麻痺などの障害を生じることが、少なからずあります。
これを回復させたいという思いは、治療者・患者ともに当然あります。
しかし、障害を回復させるのには正直、限界があるんです・・・(残念なのですが・・)。
なので、今、できる事をするしかないって感じです。
そして、脳梗塞は再発の可能性もあります(管理によってリスクを下げることは可能ですが・・)。
というのも、脳の血管が、脳梗塞を起こしやすい状態になってしまっているので、再発しちゃう可能性もあるってわけです。
このようなことがあるので、脳梗塞においての障害に対するリハビリだけでなく、今後の再発を予防する取り組みについても力を入れる必要があると思うのです。
6 脳梗塞に対するセルフケアの考え方
リハビリのシステムが変更されたため、リハビリのための通院を長期間続ける人の数は少なくなりました。
しかし、リハビリ中心の人生を送る人もいらっしゃいます。
というのは、良くなる為にリハビリを頑張る。その結果、リハビリをしないと今の状態を維持できない。と思い込んでしまい。
常にリハビリを頑張ってしまう。
といった心境と状況になってしまっている人も沢山いる。
という意味です。
まぁ、これがダメという訳ではないのですが、人生を豊かにする為にリハビリを頑張る。
という思考であればいいのですが。
リハビリが中心になり過ぎているというのも良くないなぁ。
という意味合いです。
そして、その中で、リハビリは、病院で行うものと考えられていることもあるようです。
しかし、リハビリテーションは自分自身の精神によって成し遂げられるものです。
自分自身でできるもの(自主トレ、体調管理など)は自分で行うというセルフケアの考え方を持つことがとても大切です。
時々身体機能を評価してもらって、家庭での訓練の指導を受けるという方法もあるでしょう。
再発予防のために、定期的な通院をしながら、必要な薬の処方・検査などを受けることは是非続けて欲しいと思います。
7 早めの早めがいいね。脳梗塞の前兆を感じたら受診しよう。という考え。

過去においては脳出血の発症が多かったのですが、血圧コントロールなどが普及したためか、脳出血の発症は少なくなりました。
近年は脳梗塞が増加しています。
だいたい、脳梗塞のリハビリは、中等度の麻痺を生じることも多く、歩行訓練では装具の出番も多かったように思いますが、近年では少なくなっている印象を受けます。
やはりrt-PAの効果なのでしょうか。
しかし、重度の後遺症が生じる割合は極端に減少してはおらず、やはり3割程度の方は歩くことができないようです。
脳の細胞は、長時間血流が途絶えると死滅しますが、短時間であれば復活します(ペナンブラ)。
しかし、発症から4.5時間以内にrt-PAを開始すれば、すべて同じように回復するわけではありません。
本当であれば、1分、1秒でも早く治療を開始したほうが良いのですが・・・。
現実的には難しい場面も沢山あるでしょう。
でも、まだ、1時間しか経っていないから急がなくても… ではなく、できるだけ急ぐようにして欲しいのが本音です。
初期の症状が軽くても、躊躇せず救急車で病院へ行くのがいいでしょう。
だって、早めに治療すれば、後遺症が残らないで済む可能性もあるからです。
是非、意識して欲しいと思います。
8 まとめ
今回は脳梗塞の治療についてご紹介しました。
脳梗塞の治療には、rt-PA、血管内治療、リハビリテーションなどがあります。
近年のrt-PAによる治療成績は良好で、ほぼ後遺症が残らない例も増えているとの事です。
しかし、これは誰もが簡単に行えるわけでもないのが現状です。
タイミングや状況によって、治療法も違ってくるでしょう。
リハビリテーションは、初期の治療と併せて実施されることで最大限の効果を発揮します。
なので、すべてを治せる治療法ではない。
という事は理解してほしいかなと思う訳です。
そして、脳梗塞の発症後に如何に、できるだけ早く治療ができるか?
によって、その成績が変わってきます。
もちろん、早めに治療すれば良くなる可能性も断然変わってきます。
なので、もし、あれ、怪しいな・・・・。
みたいな感じがあれば、直ぐにでも受診するのがいいでしょう。
日ごろから脳梗塞の症状に注意して、前兆を感じた際はすぐに治療を開始できるように心がけておくことが重要といえます。
今回の内容があなたの役に立てば嬉しいです。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林

脳梗塞の治療は、現状でも、どれが正解なのか・・・?わからない分部もあります。
コレ!!!
が何よりも素晴らしい。
みたいな物は存在しないと思います。(僕が知らないだけかもしれませんが・・・)
実際に、脳梗塞で体に麻痺が残ってしまっている人達って、めちゃめちゃ頑張ってて。
歩くのも、一歩一歩を必死に歩いている人もいれば、足がつまずかない様に意識して足を前に出していたりと。
何かしら工夫したり、意識をしながら頑張って行動しているんです。
このように、麻痺になってしまった方を目の前にすると、
手足が自由に動かせて、当たり前のように歩いている我々健常者は、改めて、自分の体が思い通りに動かせる事を身に染みないとダメだなぁと思うんです。
当たり前が当たりまえではない。
これを改めて意識する必要があるのではないか・・・・。と。
この仕事をしていると、こんな事を思う時があるんです。
で、同じ気持ちになる事って難しいし、できないし。
思いやる事はできるけど、悲しい事に、完全に気持ちを理解してあげる事はできません。
これがなんとも言えない、はがゆい分部なんですが・・・・。
でもね。という中で、我々、セラピストが提供できる事を全力でやるしかないので。
コレにつきると思います。
という事で、実際には、現状で行える治療を行うしかありません。
- リハビリ
- 投薬
- 生活習慣の改善
などに意識をして取り組んでいくしかないでしょう。
そして、少しでも症状が良くなるように努力する。で、祈る!!!
コレだけです。
僕は常にこのように考えるようにしたいと思っています。
今回の内容が少しでも伝われば嬉しいです。
では、本日も最後までありがとうございました。


最新記事 by mamotte (全て見る)
- 脊柱管狭窄症には運動療法が必須!知っておくべき3つの対策を紹介 - 2021年3月20日
- 【朗報】脊柱管狭窄症はリハビリで良くなる!?理学療法士の考察 - 2021年2月17日
- 【疑問解決】脊柱管狭窄症はストレッチで治るのか?理学療法士が考えを述べる - 2021年1月21日
mamotteライターで理学療法士イワモトです。
脳梗塞の治療は進化しており、成績も向上しています。
医師による専門的な治療をはじめ、リハビリテーションも普及したため、社会復帰がよりスムーズに行えるようになってきたと言えるでょう。
このような状況の中で、今回は、【脳梗塞の治療とリハビリテーション】について述べてみました。
この記事を読めば、
◎ 脳梗塞の治療とリハビリについての理解が深まって、症状の改善に繋げる事ができる。
といったメリットがあります。
是非、最後まで読んで、参考にしてほしいです。
では、本日も宜しくお願いいたします。