※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。
なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。
執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。
ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。
それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。
しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。
というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。
- どれが正しくて、どれが間違っているのか?
- どれが自分に適している治療なのか?
個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。
ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。
間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。
【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。
ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。
そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。
1 腰が痛いときに生じる病気、12選を紹介
腰痛は、沢山の影響で生じている可能性があります。
例えば、AとBだけが原因の可能性もあるし、AとBとCとDの4つの可能性が影響している場合もあります。
実際には、Aなのか、Bなのか、Cなのか、または、AもBもCも原因になっている。
という考え方で、腰痛の原因は何が主要なのか?
これを見極めていかなくてはいけません。
という事で、これより、腰痛を引き起こす可能性のある主な病気12選を紹介します。
参考にしてください。
その① 変形性脊椎(腰椎)症
脊椎の加齢による変化によって、骨の変形が起こるものです。
椎間板の変性、関節の狭小化(関節の間が狭くなる)、骨棘(こつきょく:骨のトゲ)の発生などによって、痛みを発生します。
加齢の影響が大きいので、必ずしも病気とは言えないという側面もあります。
だいたい、レントゲンを撮ると、骨の変形がわかります。そこから、診断される人が多いです。
しかし、中には、変形性脊椎症と診断されても、腰に痛みを感じていない人も少なからずいます。
その② 腰部脊柱管狭窄症
脊髄神経(馬尾神経含む):【背骨の神経】の通り道である脊柱管が狭くなった状態を言います。
一つの病名というより、症候群と表現したほうがより適切かもしれません。
先に紹介した変形性腰椎症などが原因で、脊柱管の狭窄が起こることがあります。
狭窄が起こることで神経が圧迫されるため、痛みやしびれなどの症状を生じることが多くあります。
悪化すると、長い距離を連続して歩けない。
など痛み以外の症状も現れます。
その③ 腰椎椎間板ヘルニア
椎間板の中にある髄核(ずいかく)が、移動、突出などを起こすことで神経根や馬尾神経といった、背骨を通っている神経を圧迫するものです。
椎間板の変性が進むにつれて起こりやすくなりますが、比較的若年層でも起こることが多いものです。
椎間板ヘルニアでは、腰部に限局する痛みは少ない場合もありますが、臀部から下肢に広がるような放散痛を生じることがよく見られます。
その④ 圧迫骨折(骨粗鬆症が大きく関与している)
骨粗鬆症は、高齢女性に多く見られます。
これ自体が腰痛を引き起こすのではなく、背骨が潰れるなどの骨折(圧迫骨折)を起こすことで、腰痛が起こります。
骨粗鬆症では、転倒などがなくても、日常の生活の中で容易に骨折を起こすことがあり、腰痛や背中の痛みの原因となることが多いです。
その⑤ 脊椎(腰椎)すべり症
もともと腰椎分離症などがあって、加齢とともにしだいにすべり症を起こす場合や、骨の変性が進むことですべり症を起こすことなどがあります。
激しいスポーツで腰椎分離症を起こすことが少なくないので、若い人でもすべり症の原因を作っている可能性があります。
その⑥ 脊椎炎
化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎など脊椎で炎症を起こす場合も痛みを生じます。
結核菌が原因の場合「脊椎カリエス」と呼ばれることもあります。
これは、脊椎で何かしらの影響で炎症が生じてしまう事で生じます。
その⑦ 転移性腫瘍
腫瘍の転移が脊椎に生じ、進行性の腰痛を起こすことがあります。
他の部位の腫瘍の既往がある場合、この可能性を考える必要があります。
脊椎だけでなく、脊髄に腫瘍を生じることもあります。
その⑧ 解離性大動脈瘤
突発性の激痛が背部に生じ、また痛みが移動する可能性もあります。
命に関わる疾患であるため、緊急の処置が必要となります。
ショック状態となることがあるので、周囲の人が救急車の要請をする必要があります(背部の痛みの症状を救急隊に伝えてください)。
その⑨ 胆石、膵炎、十二指腸潰瘍など
腰痛だけでなく、腹痛や吐き気、血便などの症状を伴うことがあります。
これらは、腰に近い内臓の障害によって、腰にも痛みを感じてしまう。
という関連した痛みになります。
その⑩ 腎炎、腎結石、尿路結石
腰痛のほか、排尿障害や血尿などの症状が伴うことがあります。
これも、関連した痛みの代表例です。
- 発熱がある
- 血尿が出る
- 排尿時の違和感がある
- 夜トイレに起きる
などの症状が伴っている場合は泌尿器疾患の可能性があります。
尿路結石の場合は激痛を伴うことがあります。
その⑪ 子宮や卵巣の炎症など
不正出血などを伴うことがあります。
- 下腹部の痛み
- 生理時以外の出血
- 月経時の出血量が多い
- 月経がない
- 発熱
などの症状を伴う場合は婦人科系疾患の可能性があります。
その⑫ うつ病、心因性・ストレスなど
強いストレスによって、通常感じない腰痛を感じるようになることがあります。
脳には不要な痛みを抑える機能がありますが、強いストレスがかかることでこの機能が低下し、痛みを感じるようになります。
これが慢性痛の原因になることもあります。
以上、12つを紹介しました。
参考にしてください。
2 腰の痛みは重要な病気かもしれない。目安になる。
腰の痛みは、普通の「腰痛」だけではなく、様々な疾患で生じる可能性があります。
その疾患によっては、命に関わるものも少なからずあって。
ただの腰痛と軽く考えることができない側面もあります。
ここの判断基準が難しいところではありますが、いつもと違う腰痛であったり、なんか違うな・・・・
と感じた際は、早急に病院を受診するなど対応をする方がいいでしょう。
腰痛は多くの病気の目安になるものとも言えます。
「ただの腰痛だから…」と軽視せず、様々な可能性も考えて対処をするようにしてほしいと思います。
3 腰が痛い時は、一先ず整形外科に受診するべき!
ここでは、腰が痛い時に受診する科を紹介したいと思います。
まず、明らかに原因がわかっている場合や原因がわからない場合でも、整形外科に受診するのがいいでしょう。
その① 一先ず、整形外科を受診しよう
腰が痛い、足がしびれる、違和感があるなどの症状であれば、通常は整形外科が良いでしょう。
腰の痛みはそれほどではないけれど、坐骨神経痛がある場合も整形外科が第一選択となります。
整形外科は、腰痛の導入科とも言えるでしょう。
ここで、腰痛の原因を検査して、特定していきます。
で、それでも解決しない場合に、他の原因要素を疑います。
こうすることで、複合的な腰痛の原因も解明できるのではないでしょうか。
その② 次に受診するべき診療科についても紹介
その他、腰痛を生じる病気は様々なものがあります。
多くの場合は初診時に問診を受けて、適切な診療科に案内される事が多いでしょう。
総合診療科のある病院では、総合診療科で最初診察を受け、最適な診療科に転科するという方法があります。
腰痛に加えて、他の症状が顕著にある場合は可能性のある病気を想定して診療科を選択することも可能です。
- 血尿がある、排尿時の違和感がある → 泌尿器科
- 空腹時の痛み、飲食で腰痛が生じる → 内科(消化器系)
- 月経の異常、下腹部の痛み → 婦人科
- 胸の痛み、脈拍上昇、血圧低下 → 循環器、心臓外科のある救急病院
- 強い精神的ストレス → 心療内科、精神科
などが参考として言えるでしょう。
4 腰が痛くても不安になりすぎない方が良い。
腰痛は様々な病気の兆候となる可能性がありますが、大半の場合は原因不明の一般的な腰痛、すなわち非特異的腰痛であり、これはしばしば「腰痛症」とも呼ばれます。
この種の腰痛では、病院での検査をしても特定の異常は見つかりません。
したがって、大部分の腰痛は身体的な器質的問題ではない可能性が高く、多くの場合、自然に改善する傾向にあります。実際、腰痛の85%がこのタイプです。
ですから、腰に痛みを感じたとしても過度に心配する必要はありません。
残りの15%の腰痛では、病名が特定されることもありますが、その中でも変形性腰痛症や脊柱管狭窄症のように、通常は緊急性が低い状態がほとんどです。
非常にまれに、命に関わるような深刻な病気が腰痛の形で現れることもありますが、その確率は極めて低いです。
多くの腰痛は時間とともに改善されるので、あまり心配しなくても大丈夫です。
5 腰が痛いのは自分自身でも治せるよ。という話
多くの腰痛は自分で治すことが可能です。
特に軽度の症状であれば、自己管理により改善することが望ましいと思います。
自分で腰痛を管理することで、予防知識も身につき、再発の可能性を減らすことができます。
ただし、腰痛が病気の兆候であることもあるため、症状が持続する場合や重度の場合は専門医の診断を受けることが重要です。
内臓疾患などが原因でない一般的な腰痛であれば、日常生活の改善で痛みを軽減できます。
主な原因として、姿勢の悪さや長時間の同じ姿勢、重い物を持つことが挙げられます。
これらは腰に過度な負担をかけ、痛みを引き起こすことがあります。
適切な姿勢を心がけ、定期的に体勢を変えることや適度なストレッチを行うことが有効です。
また、物を持ち上げるときは、腰を低くし膝を曲げて腰ではなく脚の力を使うことが大切です。腰痛ベルトやサポートクッションを利用するのも一つの方法です。
腰痛の改善には万能な方法はありませんが、様々な対策を試し、自分に合った方法を見つけることが重要です。積極的に自己管理を行い、より快適な生活を目指しましょう。
6 朝に腰が痛くなる人が多い理由を紹介する
あなたは、朝起きた時に腰の痛みを感じることが多くありませんか?
朝起きたときに腰痛を感じることはよくあることです。
むしろ、朝に腰が痛いという人の割合の方が多いでしょう。
長時間寝たときは特に痛みの出やすい事実があります。
その理由として、まず長時間同じ姿勢を取っていることがあげられるでしょう。
特に寝返りの回数が少ない場合、同じ姿勢の時間が長くなりますから、より腰痛を起こす可能性が高くなると考えられます。
体が固い、寝返りをするスペースが少ない、寝具の硬さの問題(体が沈み込むなど)、筋力の問題など条件が重なると寝返りの回数が減ると予想されます。
また、就寝時は動きが少なく、代謝も下がっていますから、血液の循環も低下傾向にあるでしょう。
この点も腰痛と関係している可能性があります。
ストレッチを継続的に行って、
- 柔軟性(体幹、股関節など)を高める
- 体が沈み込むような布団を使わない
- 枕の高さを工夫する
- 体が冷えないようにする
などして寝返りのしやすい環境を作ってあげると、朝の腰痛は軽減するのではないでしょうか。
一度、試してみるのもいいかなと思うわけです。
※ 理学療法士イワモトの意見 ※
腰痛は、内臓などの病気の場合を除くと、多くの場合腰に物理的なストレスが強くかかることで起きているようです。
私が勤務していた介護施設では、移乗介助やおむつ交換などが原因で、多くの職員が腰痛を持っていました。
私の場合は年齢的なものもあってか、最終的には膝までやられました。
大人の職場だけでなく、スポーツの本格化によって子供たちの腰痛も増えています。
腰椎分離症をおこしたり、腰椎椎間板ヘルニアを発症したりすることまで起きています。
健康のためのスポーツとは言えず、将来ある子供たちのためになってないと感じることもあります。
腰痛を感じ始めた方は、腰にストレスがかかっていると思いますので、原因を突き止めて早めの対策をお勧めします。
腰椎椎間板ヘルニアなどを発症して坐骨神経障害が起こると、さらに厄介になってしまいます。
腰痛は一時的なもので、そのうちに治るだろうと思い込んで、同じ生活を続けていると悪化してしまうこともあります。
無理をしないで早めに痛みを取るように心がけましょう。
特に椎間板の障害(椎間板ヘルニア含む)は遺伝の影響があります。
親、兄弟に椎間板ヘルニアの方がいらっしゃる場合は特にお気を付けください。
7 腰痛は誰でもなる可能性があるし、原因がわからない事の方が多い。けど良くなる人も多い。という話
臨床の現場での腰痛についてお話してみましょう。
腰痛の殆どは原因が特定できないという事は、病気や怪我とみなされず治療ができないのではないか?
そのように思う人もいるかも知れません。
確かに医療、特に医療保険を用いて行う治療の場合においては、治療の対象となるもの(傷病名)が決まっています。
しかし、だからといって原因の詳細が特定されなければ治療ができないというものでもありません。
腰痛以外の例で「頭痛」を挙げてみましょう。
これも、検査をして原因が特定できないことは多くあります。
しかし、頭痛を訴える人に対して、原因が特定できないから「治療はありません」ということにはなりません。
通常は、頭痛を抑えるための鎮痛剤などが処方されます。
医療においては、必ずしも原因が特定できないことがある(多い)ことを医師はわかっていますし、保険機関もまた承知しています。
なので、基本的には患者の訴えを信じて、その症状を改善するための治療を行うということが行われています。
外傷を伴わない(見た目にはわからない)疾患による痛みは、なかなか人には理解してもらえないというところがあって、社会生活で問題を生じることがあります。
例えば、腰痛の症状を周囲に伝えることが、いじめや差別などのハラスメントの原因になることも少なからずあるでしょう。
誰でも腰痛に襲われる危険性はあります。
なので私達は、そのことを十分に理解して、職場や家庭での問題を解決していく必要があると思います。
腰痛の改善は、その人の努力だけでなく、周囲の人のフォローも重要です。
すでに腰痛の症状を経験したことのある人は、周囲の腰痛患者の良き理解者になってあげるといいでしょう。
そうする事で気持ちが楽になるのではないでしょうか。
そんな社会になればいいですね。
8 まとめ:腰痛は隠れた病気があるかもしれない。でも怖がる必要はない。冷静に対処していこう。
今回は、腰が痛いときに考えられる病気を12選紹介しました。
腰痛を生じる主な病気としては、変形性腰椎症、脊柱菅狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。
範囲を広げれば、内科疾患や婦人科疾患などの可能性もあって、病気の症状の目安になります。
しかし、腰痛は、このような疾患が原因となることは少なく、多くの場合原因が特定できない、いわゆる「腰痛症」です。
ですから、腰痛が起こったとしても、必要以上に心配する必要はありません。
対策を行うことで症状は改善することが多いのは事実です。
適切な対処をする事で、腰痛は改善していくので過度に不安になる必要はありません。
しかし、腰痛の原因は、全て同じではない事を覚えていてほしいなと思います。
腰痛を正しく理解し、症状に応じた適切な対策を行えるようになれたらいいですね。
今回の内容も参考になればうれしいです。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林
腰が痛くなる原因を知る事で対策ができるようになります。
この記事では対策方法についてBEST3形式で紹介しています。
腰が痛い方に多少でも力になる内容かと思います。
是非、宜しくお願い致します。
腰痛は誰もがなってもおかしくない病状・症状です。
一度なったら、癖になって慢性化してしまう人もいれば、一時で良くなる人もいます。
これは、個人の身体機能の違いによって、変わってくるものです。
隠れた病気が生じている可能性も、もちろんあります。
そのような中で、まずは、腰痛の治療として、運動やストレッチなどを行って、改善するのか?どうか?
検証していくことで、最終的には、原因を見つけ出せます。
怖がらずに、腰痛の治療をしていきましょう。
本日も最後までありがとうございました。
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mamotteライターで理学療法士のイワモトです。
腰が痛い時は、
今回は、上記のふたつテーマに記事にしました。
今までに感じた事がない腰の痛みを感じると、「なんで痛いのだろうか?」「何か大変な病気なのかなぁ?」などと不安になることもあるかもしれません。
実際にその不安が的中する事もあって、早急に処置が必要な場合もゼロではありません。
という事で、今回は、【腰が痛い時に可能性のある病気12選】という記事にしました。
この記事を読めば
◎ 腰が痛い時に可能性として、考えられる病状や症状を知る事ができます。
腰痛の病状や症状を予め知っておく事で、いざ腰痛になった際に少しでも早く対応できるようになるでしょう。
原因不明の腰痛に襲われた人、ご家族の腰痛が心配な人など。
すべての腰痛に関わる人の参考になると嬉しいです。
では、本日もよろしくお願いいたします。