

私達は国家資格を取得しており、実際の現場で学んできています。
ですので、信憑性や信頼性は間違いありません。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して欲しいと思います。
で、一番伝えたい事は、【この記事の内容が絶対正しい!!】とは思わないでください。
という事です。
記事の内容は自信を持って提供していますが、医療の世界は個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
ですので、一つの理学療法士の考えである。と捉えてください。
この記事があなたの役に立てばうれしいです。
では、宜しくお願いいたします。
目次
1 椎間板ヘルニアの症状について

では、椎間板ヘルニアの症状について話していきますね。
腰に多く起こる椎間板ヘルニアは、その発生する場所によって症状が違ってきます。
よく、「L4,5のヘルニア」などと表現されますが、この「L4,5」というのが発症部位を示しています。
椎間板ヘルニアは、腰から足にかけて広がるような痛み(放散痛)やしびれなどの症状が多いです。
ヘルニアが進行すると、
- 足の筋力が低下して、つまずいたり
- 足を持ち上げにくいなどの歩行障害を起こしたり
などと、日常生活動作がしにくくなったりすることでしょう。
さらに、進むと排尿障害などの症状が出現する場合もあります。
ここまでくると椎間板ヘルニアとしては重症です。
痛みが強い場合、自然と痛みを避けるような姿勢をとってしまう事が多く、背筋を曲げたり、脊柱の側弯を起こすなど姿勢の悪化を起こします。
また、椅子に腰かけた姿勢がつらいなど、姿勢によって症状が悪化する場合もあるでしょう。
その他にも、筋の柔軟性が低下(体がかたくなる)するなども生じます。
症状の出方は椎間板ヘルニアの発症部位によっても違いますし、また同じ発症部位でも症状が異なる場合もあるでしょう。
2 ヘルニアの部位によって症状が変わる

腰部の椎間板ヘルニアは5つの腰椎(6つなどの場合もあります)それぞれの椎骨間および、第5腰椎と仙骨(S1)間にある椎間板に生じます。
最も多いのはL4,5間のヘルニアですが、その他の部位でも生じます。
ヘルニアの起こる部位によって、圧迫する神経の場所が変わってくるので、症状の出る場所や症状の出方が違ってきます。
脊柱管を通る脊髄(中枢神経)はおよそ腰椎の1番目の高さで終わり、その後末梢神経である馬尾神経(ばびしんけい)という呼び名に変わります。
これも、脊髄神経とほぼ一緒の役割になります。
これより、ヘルニアの部位と症状をご紹介しますが、同じ部位でも症状の出方が人によって違う(感じ方が違う)場合も多々あるので、全てを一緒だと思う必要はありませんので、注意していただけたらと思います。

神経支配領域のイラスト
2-1 第1と第2の椎間板ヘルニア L1とL2
腰周囲への痛み、しびれを生じます。
股関節を曲げる(立った姿勢で、太ももを上げる)筋力が弱くなることがあります。
2-2 第2と第3の椎間板ヘルニア L2とL3
腰の下周囲からそけい部(股関節の内側)、太ももの内側あたりに痛みやしびれが生じます。
股関節を曲げる筋(腸腰筋)や膝を伸ばす筋(大腿四頭筋)の筋力低下を起こすことがあります。
片足立ちで膝の屈伸ができない、階段を下りる時に膝がカクッと折れるような感じがするなどがあります。
2-3 第3と第4の椎間板ヘルニア L3とL4
太ももの前側から膝の内側に痛みやしびれを生じます。
膝を伸ばす筋や股関節の内転筋(股を閉じる筋)に筋力低下を生じることがあります。
2-4 第4と第5の椎間板ヘルニア L4とL5
発症が最も多い場所です。
おしりから太ももの外側、すね、親指の先あたりまで広い範囲で痛みが走ったり、しびれを生じたりします。
つま先を上げる筋や股関節を外転筋(足を外に開く筋)などに筋力低下を起こすことがあります。
スリッパが脱げやすくなったり、つまずきやすくなったりします。
医師の診察の時に母趾(ぼし・足の親指)を反らす筋力検査(長母趾伸筋)をするのはこのためです。
2-5 第5と仙骨(尾てい骨)の椎間板ヘルニア L5と仙骨
おしりから太ももの裏を通って、ふくらはぎ、踵(かかと)、足底(足の裏)、小指にかけて痛みやしびれを生じます。
つま先を下げる筋(ふくらはぎの筋)、膝を曲げる筋(太ももの裏側の筋)などの筋力低下を起こすことがあります。
つま先立ちが難しくなります。
3 椎間板ヘルニアが進行するとどうなるの?

ヘルニアの軽い段階では、症状を感じないかまたは、わずかなしびれ感、痛みの症状です。
進行に伴い、しびれや痛みが徐々に強くなっていきます。
さらに進行すると、痛みやしびれが激しくなるため、正常に歩けなくなるなど日常生活に支障をきたすようにもなります。
痛みやしびれがひどくならなくても、気付かない間にヘルニアが進行しているという場合もあります。
なので、神経への圧迫が長期におよぶ場合には筋力低下(麻痺)を起こすこともあるでしょう。
排尿・排便にかかわる神経を圧迫すると、尿や便が出にくいなどの障害を生じる事少なくありません。
このような症状が出てきた場合は重度と考えてよいでしょう。
進行のしかたと症状の出方は様々ですので注意が必要です。
強い痛みやしびれがなく、麻痺が進行しているといった可能性も考慮しておくべきでしょう。
4 椎間板ヘルニアにならない為にするべき事

椎間板ヘルニアは一度なってしまうと、再発を繰り返したりすることもありますし、場合によっては手術が必要となります。
できるだけ椎間板ヘルニアを起こさないように予防をこころがけるのが必要です。
すでに経験した方は、再発予防に努めましょう。
100%予防する方法はありませんが、心掛けることによって発症の危険を下げることは確実にできます。
20歳を過ぎると椎間板は老化を始めるとも言われています。
老化すると、弱くなった部分から椎間板の中にある髄核(ずいかく)が飛び出しやすくなりますので、できるだけ椎間板に無理な力がかからないようにするのが基本です。
では、具体的にするべきことを挙げてみます。
例1
物を持ち上げる時は必ず膝を曲げ、物と体が離れないように近づいてから持ち上げるようにします。
力の強い方は無理な姿勢でも重い物を持ち上げることができてしまいますので、力が弱い方よりもさらに注意が必要になります。
例2
ごみを拾うなど、軽い物を取るときも徹底して行いましょう。
多くの方が上半身だけを前に倒して物を拾っていますが、この動作は椎間板に大きな力をかけます
例3
中腰での作業は、できるだけ上半身が前に倒れすぎないように注意します。
普段から動作と腰への負担を考えながら生活をしてみてください。
この動作は腰に負担がかかるということに気付いたら、その動作をひかえたり、動作の仕方を変えるようにしましょう。
また、姿勢の改善も大切です。
◎背中を丸めた姿勢で長時間腰かけていたり、床に足をのばして座っていたりするのは控えましょう。
できるだけ背中が丸くならない良い姿勢を心掛け、途中で体操をしたり、姿勢を変えたりすつといいです。
◎長時間の車の運転も腰に負担がかかりますので、定期的に体操をしたり、腰椎をサポートするクッションを用いたりするなどの工夫もすると良いでしょう。
このように、普段の姿勢や日常生活動作を意識して癖づける事がなによりも大切になります。
◎細かい事では、片手で荷物をもって長時間歩かないようにする。
スーパーでの買い物はかごを持たず、カートを使う。
買い物袋は2つに分けて両手均等に持つ。
重いごみ出しはキャリーカートを使う
なども対策としてよいでしょう。
この程度なら大丈夫と少し無理してしまうようなところを変えるのがポイントかなと思うわけで、日頃の積み重ねが効いてきます。また、姿勢の改善も重要です。
また、椎間板ヘルニアは遺伝の影響もあります。
親、兄弟に椎間板ヘルニアの方がいらっしゃる場合は、より気を付けて生活をするようにしましょう。
重労働(重い物を運ぶ、介護など)は発症の危険が高くなります。
仕事の影響が大きく、再発を繰り返す場合は、まず、対策を行う事です。
腰が痛くならないようにする為の方法を行いましょう。
それでも、腰痛が変わらない場合は、部署の異動などを願うのもありかもしれません。
しかし、私の経験上、正しい対処を行えば、どんな重労働でも対策は可能です。
諦めずに見つける努力をしていきましょう。
5 手術よりも、まずは、運動などで対処してみよう

では、実際の体験談と治療談について話していきますね。

椎間板ヘルニアの患者さんと接する機会は多くありましたが、仕事柄、職員のヘルニアも多かったです。
リハビリの訓練や介護時の移乗介助は人ひとり抱えるため、腰には負担がかかります。
抱える動作がヘルニアの原因となるのは間違いないようです。
手術の効果については、身近にも家族を含め数人、手術を受けた方を知っていますが、術後の経過は良好でかなり良くなっています。
手術と言えば、家族がヘルニアの手術を受ける時に医師から説明を受けたのですが、「手術しなくても治るのに(軽い例)、日本人は我慢しないですぐに手術をしたがる」という話を聞きました。
日本は保険の制度上、手術を受けやすいし入院もゆっくりできますから(最近ちょっと短くなってきたけど)、それだけ恵まれていると思います。
ヘルニアは自然にもとに戻ったり、消失したりして治ることもありますけど、神経症状が強い場合は早めの対処がよいと思います。
良い医師と巡り合うことも重要なポイントです。
麻痺が進行しているのに筋力検査もしておらず、見逃していた例を知っています。
私も時々、足のしびれを感じながら生活しています。
頑張ってほしいなあと思います
6 まとめ
椎間板ヘルニアは発症する部位によって症状が異なります。
また、同じ部位でも症状の出方に違いがある場合もあります。
ヘルニアは腰と下肢に痛みやしびれを起こしやすい病態です。
足にしびれなど、普段と違った症状が出る場合は早めに受診してみましょう。
何よりも、ヘルニアを起こさないように予防するのが大切です。
普段の生活から腰への負担が強くならないように配慮していきましょう。
椎間板ヘルニアは【誰にでも発症する可能性】がありますが。
予防・対策・改善させる事も多いにあります。
重度な椎間板ヘルニアでも体操や姿勢の指導だけで、改善していった事例も少なくありません。
必ずといっていいくらい、対処方法はあるので、諦めず、改善・回復を目指していければいいのかなと思うわけです。
今回の話があなたの力になれたらうれしく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林

※ 編集を終えて・最後に ※
mamotte運営者 理学療法士の平林です。
椎間板ヘルニアって診断されると怖いですよね・・・もう、痛みやしびれが治らないんじゃないかと・・・思ってしまうでしょう。
手術?しか治療方法がない。と思い込んでいる方もいるでしょう。
でも、実際には手術ではなくても体操やストレッチだけで治る可能性も多いにある。
という事を知っていてもらいたいなぁと思うわけであります。
手術は、最後の最後の最後の最後の最後の奥の手。
という感じで捉えてほしいなぁというのが個人的な思いです。
今回の話が少しでも役立てばうれしいです。
本日も最後までありがとうございました。


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mamotteライターで理学療法士のイワモトです。
ヘルニアと聞くと、【なんか怖いな・・・】みたいな印象ありませんか?
鼠経(そけい)ヘルニア、椎間板ヘルニアが代表的なものでしょう。
で、椎間板ヘルニアは首と腰に発症しやすくて、だれにでも起きる可能性があります。
という中で、今回は、【椎間板ヘルニアの症状を解剖する】といったテーマで記事にしました。
この記事を読めば、
といった2点が得られます
是非、最後まで読んでほしいです。