※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。
なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。
執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。
ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。
それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。
しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。
というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。
・どれが正しくて、どれが間違っているのか?
・どれが自分に適している治療なのか?
個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。
ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。
間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。
【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。
ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。
そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。
1 介護腰痛の予防方法を4つ紹介する
介護による腰痛の発症は多いのですが、腰痛予防の対策が不十分なこともその理由となっています。
自己管理を行うことで、腰痛発症のリスクを軽減することが可能です。
腰への負担が強い介護には、それに応じた対策が必要となります。
そこで、自分でできる主な対策をご紹介します。
その① 姿勢を見直す
1日の腰への負担は、介護によるものばかりではありません。
姿勢は起きている間、すべての時間で腰へ負担を与えています。
姿勢が悪くなると、その負担は1.5倍以上となることもあるのです。
さらに、介護による負担に加えて悪い姿勢が重なれば、腰痛の危険性が増えてしまう。
というのは理解できるでしょう。
なので、姿勢については必ず見直す必要があるのです。
その② 筋力強化をする
全身の筋力強化が理想ですが、最低限体幹と下肢の筋力強化は行っておきましょう。
腰を前後左右からサポートする体の筋力は必須です。
また、腰への負担がかかりにくい動作を行うためには、強力な下肢の力も必要となります。
腹筋・背筋のトレーニングとスクワットなどの下肢の筋トレを行うとよいでしょう。
ある程度の筋力は、自分の体を守る為の方法でもあります。
鍛えられる部分は鍛える方がいいでしょう。
その③ 柔軟性を保つ
良い姿勢を保ち、身体のパフォーマンスを発揮するためには、関節や筋肉の柔軟性が必要です。
日ごろから体幹や下肢のストレッチを行う習慣を身に着けましょう。
毎日時間をかけて行う必要はありません。
週に1度でも良いので、継続していくことが大切です。
継続する事で、体の柔軟性は獲得できます。
少しづつで良いので、続ける事をしましょう。
その④ 動作法を習得し、徹底する
介助時、例えばベッドから車いすへの移乗を手伝うとき、要介護者との距離を短くして、腰を落とし、膝の力を使って立ち上がらせる…など、基本的な動作があります。
しかし、対象者の体重が軽いと、十分腰を下げずに、ついつい手と腰の力だけで立ち上がらせたりすることがあります。
介助量が少ないからと油断してしまうわけですが、このような行為が腰痛の原因となってしまいます。
介助量の大小にかかわらず動作法を徹底することが大切です。
また、移乗時にトランスファーボードなどの道具を活用するなどの工夫も有効です。
自宅で家族の介護をしている方は、一度介護技術の講習を受けたり、解説動画などを見たりして、介護技術を学ぶことも有効でしょう。
そして、自分に負担のかからない介助方法を見につける事が自分の身を自分で守る方法にもなります。
2 介護が原因で腰痛になることはめちゃくちゃ多い
まず、初めに、ある県で行われた介護職員における調査では、現在腰痛のある人は40%を超え、過去に腰痛を経験した人も加えると実に75%以上という結果というのがあります。
業務で行う介護と、自宅での介護は、その程度や量に違いがあるため、この結果をそのまま在宅での介護の結果とすることはできないという結果がありますが。
しかし、介護が腰痛の発症に深くかかわっていることは間違いなく言えます。
介護は屈んだり、介助で抱えたりと、腰に負担のかかる事が多くなります。
それによって、腰痛が容易になりやすい事は想像できるでしょう。
3 介護腰痛の原因について言及する
では、腰痛の原因になる介護場面について話していきます。
パターン① 親や親族の自宅介護
自宅での介護は、日常生活動作全般が腰痛の原因になります。
- トイレへの移動
- 便器への移乗介助
- おむつの交換
- ベッド上の体位交換
など、身体負担の強い介護を行う必要があります。
介護を必要としない人であれば、無意識にできている日常生活動作において、手助けが必要になってしまうのです。
これらの介助をする事によって、身体的に負担が生じて、腰に痛みがおきてしまう事が多いのです。
そのような中で、施設で介護を受ける人の数は増えており、それに伴って、介護に必要な費用も増加しています。
そのような背景もあり、できるだけ在宅での介護が推奨されるようになってきました。
例えば、特別養護老人ホームに入所できるのは要介護度が3以上(実態は4,5が多い印象があります。)となる。
といった条件があります。
施設入所は以前より難しくなっているのが実際です。
ですので、施設に入所できなかったりすれは、自宅で要介護度4、5の要介護者を介護することになります。(もちろん、入所しなくても最初から自宅介護を希望する人もいます。)
そして、介護者のほぼ半数程度が終日介護を行っているという現状もあります。
しかも、核家族化の影響もあって、60歳以上の家族が介護を行う「老老介護」のケースも多く存在しています。
そのような背景がある中で、在宅で利用できる通所施設が充実し、デイサービスなどの通所介護を利用できる環境が整ってきました。
これらの施設を利用することで、入浴介助などの介護負担を軽減することが可能にもなっているでしょう。
しかし、在宅時は家族による介護が必要にもなります。
介護を必要としない成人の大人が簡単にできる日常生活動作一つとっても難しくなってしまいます。
自宅での介護はデイサービスや入所施設と違って、設備も不十分な分部が多いでしょう。
廊下に手すりを付ける事ができなかったり。
スペース的に車いすが使えない。
など、物理的に厳しい時もあるでしょう。
このように、家屋状況や設備の不十分差によって、介護がしづらく、腰痛になってしまう。
という事は多々あると言えます。
また、デイサービスなどの通所介護を希望しない要介護者もいるため、この場合、入浴介護などの負担も増え、さらに腰痛発症の危険性が高くなるでしょう。
というように、自宅での介護では、腰痛になりやすい場面が沢山ある。
と言えるのです。
パターン② 介護施設において、仕事上での介護
様々な調査によって明らかにされていますが、介護施設で働く職員の腰痛発症率は高く、介護職離職の原因となることも多いです。
介護の職場によって、介護の内容に違いはありますが、移乗(車いす、トイレなど)、入浴介助、おむつ交換など、身体負担の大きい介護を終日行わなければなりません。
また、ご存知の方も多いと思いますが、介護の現場は人手不足です。
したがって、移乗介助を一人で行う機会が増え、一人で行う業務量も増えてきます。
そのような理由もあって、介護現場では腰痛発症が多くなっていると考えられます。
4 どんな時に腰痛になりやすいのか?
自宅介護では、老老介護が増えています。
したがって、介護を行う、行わないにかかわらず、加齢による腰痛発症のリスクが高くなっている状態といえるでしょう。
高齢者は、ただでさえ何かのきっかけで腰痛を発症してしまう可能性が高いです。
これは、仕方のない事でもあります。
運動などをしなければ、年齢を増す事に筋力も衰えていくし、体力も低下していきます。
ですので、老々介護だと腰を痛めやすくなってしまう事実があります。
また、介護時のすべての動作は、腰痛発症の原因ともなります。
- ベッドから車いすへの移乗
- トイレへの移乗
- 入浴介助
などは腰部への負担が大きいため、腰痛の原因となります。
家族一人で介護を行っている場合も多く、一日も休むことができない、重介助を行う際も一人で行わなくてはならないことが原因となるでしょう。
介護の職場では、要介護者を二人で介助できる場合もありますが、実際は一人で行う場面も多く、それが終日続くため、腰への負担が蓄積されやすいと言えます。
なので、日常的な強い腰への負担が続くため、仕事中だけでなく、自宅での日常生活を過ごしているときにも腰痛を感じるようになることが少なくありません。
そして、さらに、徐々に痛みを感じるようになる場合もありますが、職場で急激に発症することもあります。
ベッドから車いす、車いすやストレッチャーからベッドへの移乗した瞬間など。
大きな負荷が、かかるときは腰痛(ぎっくり腰、急性腰痛症)を発症する可能性が高まるのです
このように、腰痛の発症は容易にあるのです。
5 やっぱり自己管理しかないね。という考え
要介護者の人数は増え、それに伴って介護に従事する職員の数も増えました。
しかし、要介護者増加のスピードが速く、介護力が追い付いていません。
進行する少子高齢化によって労働人口は減少し、国にお金の余裕もありません。
介護の現場で、職員一人当たりの業務量が増加するのは自然の流れになってきています。
なので、腰痛が増加するのも理解できます。
これ、辛いですよね・・・
その中で、ロボットの開発も行われていますが、導入には高額の経費が掛かるため普及するには至っていません。
まだ、人間ほど動けるくらいまでの実用的でもないし・・・
このような現状なので、介護に携わる方の腰痛対策としては、自己管理を徹底していただくのが現実的な方策だと思います。
で、これは個人的な意見なのですが、職員が装着するインカム(ヘッドセットタイプのトランシーバー)を使うっていうのはどうでしょうか?
リアルタイムに職員間で連絡が取りあえることで、業務の高効率化が望めるし、助け合う事もできるのではないでしょうか。(複数人での介助が行いやすくなるため、腰痛予防にも期待できます)。
まぁ、現実的には、ヘッドセットをしての介助は邪魔に感じて煩わしく思うかもしれませんが・・・
んん、なので、何よりも、腰痛にならない方法を身に着けるといった、自己管理しかないですかね。
と思うこのごろです。
6 まとめ
今回は介護と腰痛についてお伝えしました。
介護は腰への負担が大きく、それによって腰痛を発症することが少なくありません。
ベッドから車いすへの移乗介助、おむつ交換など、腰痛を起こしやすい場面が多く見られます。
近年では老老介護の増加、介護職員一人当たりの業務量の増加などによって、ますます腰痛のリスクが上昇していると言えるでしょう。
腰痛は自己管理による予防が可能です。
ただでさえ身体負担が大きい介護業務なので、自己管理を徹底することが必要となるでしょう。
介護動作時、日常生活での腰部への負担をできるだけ減らし、腰痛予防をしていただけたらと思います。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林
介護は腰痛になりやすい事実があります。
介護の動作や姿勢、仕事上腰への負担は大きいので腰痛になる人が多いです。
その原因を主に解説しながら、対策方法についても触れています。
介護で腰痛になってしまった方に少しでも役に立つ内容かと思います。
是非、参考にしてください。
介護で腰痛になってしまう人が多くなる一方で、腰痛にならないようにする方法が普及しない。
という側面もあります。
というのも、やはり、腰痛にならないようにするためには、適切な自己管理をするしかないと思うんです。
今回は、介護での腰痛をテーマに話していますが、腰痛になってしまう原因なんて、だいたい一緒です。(だいたいですよ・・すべてではありませんが・・)
なので、腰痛になってしまう原因の要点だけを意識するだけで、腰痛になりづらい体になる事ができる。
と思うのです。
なので、この腰痛にならないように意識を働かせる。
そして、その方法を身に着けるだけで、腰痛になってしまうリスクはググッと下げられるのではないでしょうか・・・・。と思うわけです。
ですので、すべての人に【適切な自己管理】をできるようになってもらいたいなと思うばかりです。
そうすれば、腰痛で苦しむ人も減るし、腰痛にかける医療費も削減できるしさ。
良い事づくしですよね・・・と、つぶやいてみます。
そんな人が増えたらいいなと思う次第です。
今回の話が少しでも役に立てばうれしいです。
本日も最後までありがとうございました。
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mamotteライターで理学療法士のイワモトです。
介護が必要な人の数は年々増加しており、在宅で介護を行う人も増えています。
これに伴って、介護が原因で腰痛になってしまう人が多くいます。
今回は、介護は何故腰痛が起きるのか?そして、自分で行う腰痛予防対策のを主にして記事にしました。
この記事を読めば
◎ 介護腰痛にならない為の対策について知る事ができて、腰痛予防に繋げる事ができる
といったメリットがあります。
介護で腰を痛めてしまっているあなたの参考になれば幸いです。
では、本日もよろしくお願いいたします。