※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いないと思います。。
その中で、解釈は人それぞれなので、参考として読んでほしいです。
宜しくお願いいたします。
mamotteライターの紹介 → https://mamotte.jp/raitar
こんにちわ。
運営者で理学療法士の平林です。
後縦靭帯骨化症は難病指定疾患の一つです。
難病指定になっているので、症状が治らない。
と思ってしまう人もいるでしょう。
でもね。
その中でも、症状が治る。
まではいかなくても、症状が軽くなる、軽減する。
という人はいます。
全ての人がそうなるとは限りませんが、治療に育む事で、実際に症状が軽くなる。
という人はいるのです。
で、症状が軽くなって、日常生活を送る事ができるようになった。
という人がいるのです。
なので、
あなたにも、諦めてほしくないなぁ。と思うのです。
この記事を読むメリットは、
といった3点が言えます。 |
最後まで読んで、参考にして欲しいと思います。
では、本日もよろしくお願いいたします。
1 後縦靭帯骨化症とは難病指定疾患である
後縦靭帯骨化症は、難病指定疾患です。
それについて話していきますね。
1-1 難病指定疾患ってなに?
「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)を基にして指定される疾患を指定難病といいます。
後縦靭帯骨化症を始め、現在(2018年7月時点)では331種類の疾患が難病指定を受けています。
法律による難病の定義は以下のようになります。
難病の定義 |
|
といった点があげられます。
1-2 改善する可能性はあるのか?
難病の定義として、「改善の可能性がない」という条件はありません。
確立された治療法はなくても、リハビリや薬物療法や手術療法が功を奏する場合もあります。
したがって、
病状が改善する可能性はあるでしょう。(しかし、これも保証はできず、あくまでもチャレンジしてみて、結果どうであるのか?という判断をしなくてはいけなのですが・・・)
難病と言うと、改善しないようなイメージがありますが、すべての難病が改善しないというわけではありませんので留意しておきましょう。
また、
後縦靭帯骨化症のように X 線写真上で後縦靭帯の骨化が認められていても、症状が出ない場合もあります。
なので、
もし、その時に医師の判断が後縦靭帯骨化症とされていても、あなた自身に症状がでていなければ問題ないよね。
と思うのです。
2 後縦靭帯骨化症はなぜおきるのか?
難病に指定されているように、発病のメカニズムは完全には解明されていません。
しかし、遺伝的な要因が重要視されており、遺伝子レベルの研究が行われています。
その中で、近年後縦靭帯骨化症の発症に関わる「RSPO2」という遺伝子が発見されています。
このRSPO2は骨化(内軟骨性骨化)の抑制に関与しています。
OPLLに罹りやすいタイプのSNP(スニップ:遺伝情報のわずかな違い)を持っている人においては、RSPO2の発現量が低下していることがわかっています。
このことが原因で靭帯が骨化すると考えられています。
また、
別の研究では、後縦靭帯骨化症患者の血液から後縦靭帯骨化症の発症に関わるたんぱく質が発見されています。
このように、現在遺伝子研究が進められていて、その成果を上げています。
3 後縦靭帯骨化症を治す。リハビリは?
後縦靭帯骨化症の治療法(根治療法)は確立されていませんが、対症療法としてはある程度決まった方法が存在します。
それらの方法についてご紹介します。
3-1 リハビリについて
神経の症状が重症ではない場合や症状が進行していない場合などでは、保存療法が基本となります。
リハビリもその保存療法の1つです。
後縦靭帯骨化症のリハビリ |
|
運動療法 |
|
徒手療法 |
|
物理療法 |
|
3-2 手術は有効的なのか?
靭帯の骨化が進行し、神経症状が顕著になる場合は手術療法の適応になります。
手術によって神経への圧迫を開放することで、理論的には症状を改善または悪化を防ぐことができます。
ここで、「神経の性質」を理解しておくことが重要となります。
神経の性質 |
①神経への圧迫の期間が短くかつ圧迫の程度が弱い場合はダメージを受けた神経が回復する可能性がある。 例)正座の後、足がしびれ、痛みもあるが、しばらくすると回復する。 ②圧迫の期間が長かったり、圧迫の程度が強かったりした場合、神経は回復しないことがある。 例)長時間足を組んでスポーツ観戦をしていたら、腓骨神経麻痺を起こし、つま先が上がらなくなった。 |
このような神経の性質があるため、
①の状態で手術を行えば回復が良く、
②の状態で行えば、回復が思うようにいかないということになります。
手術をしたのに、しびれが残っているなどの後遺症が多いのは②のような状態になっていたことも考えられます。
このような神経の状態の違いや手術部位・方法の違いなど様々な要素があり、手術の効果を断定することはできません。
大まかには手術の改善率は40~50%程度、悪化率は5~10%程度が目安となります。
胸椎後縦靭帯骨化症の場合はリスクが大きくなるため注意が必要です。
3-3 後縦靭帯骨化症で注意しておくポイントについて。
特に注意していただきたいポイントについてお伝えしておきます。
後縦靭帯骨化症は骨化がある程度進行していても症状が出現しない(または気づかない)こともあります。
症状が出ていないからといって安全というわけではありません。
しかし、
症状がないのであれば、早急に手術をするというような事をしなくてもいいでしょう。
日常生活を問題なく遅れているのであれば、手術などは考えずにリハビリを取り入れるくらいでいいいでしょう。
また、
骨化した部分に大きな力が加わった場合(小さな力で起こることもあります)に、骨化した靭帯が骨折し急激な脊髄損傷を起こしてしまう場合があります。
後縦靭帯骨化症の注意するポイント |
|
以上の事を注意してみてください。
3-4 どういった、治療法があるのか?
後縦靭帯骨化症の治療法は大きく分けると「手術療法」と「保存療法」の2つになります。
以下に主な治療法をご紹介します。
後縦靭帯骨化症の治療法 |
|||
治療法 |
治療内容 |
効果 | 問題点 |
手術療法 | 前方除圧固定術 椎弓切除術 脊柱管拡大術 その他 |
脊髄、神経根への圧迫を取り除く | 手術に関する一般的なリスク(感染など) 麻痺、脊柱の不安定性や変形が生じる場合がある |
薬物療法 | 消炎鎮痛剤 ステロイド剤 ビタミン剤 筋弛緩剤 抗うつ剤 その他 |
痛みを抑える 神経の浮腫を抑える 神経の回復を促す 筋の緊張を下げる 不安や緊張を抑える |
薬物による副作用を生じることがある 効果が一定しない |
運動療法 | 筋力増強訓練 関節可動域訓練 日常生活動作訓練など |
筋力の維持・回復 拘縮の予防・改善 日常生活動作の維持 |
運動にはリスクが伴う |
物理療法 | 温熱 低周波など |
疼痛の軽減 筋緊張を下げるなど |
効果が証明されていない |
装具療法 | 頸椎カラー ハローベスト その他 |
頸椎を固定し、頸椎にかかる外力を軽減する | 効果は一定しない 装着感が悪い |
民間療法 | 鍼・灸 マッサージ 整体など |
疼痛の軽減や筋緊張を下げる効果があることがある | 効果は一定しない 整体は危険を伴う場合がある |
その他 | 安静 | 骨化部位(脊髄、神経根)に負担をかけない | 筋力低下などの廃用症候群 |
4 後縦靭帯骨化症になった後の経緯(流れ)を紹介する
骨化している部位が上下方向や横方向に増えるなど、骨化が進行する場合があります。
ただし、骨化があっても神経の症状は出ないこともあります。
症状が出始めた後の進行も一定しておらず、あまり進行しない場合もあります。
むしろ、
骨化によって脊柱の動きが少なくなることで、症状が改善することもあります。
手術を行った場合でも、5~10年後手術した部位や他の部位で骨化が進行し、症状が再発する場合もあります。
経過については定期的に画像診断を受ける必要があります。
5 理学療法士イワモトの意見・考え
胸椎後縦靭帯骨化症の手術は、頸椎と比較してリスクが高くなるようです(黄色靭帯のみの場合、リスクは低いようです)。
したがって、
医師も胸椎の手術については、その実施に慎重になっていると聞きます。
実際に胸椎後縦靭帯骨化症に黄色靭帯骨化症を併発した方の術後のリハビリを経験したことがあります。
術後に両下肢麻痺の症状が強く、数か月間のリハビリを行いましたが、実用的な歩行の獲得はできませんでした(術前は歩行可能)。
決して医療ミスではないのです。
手術を完璧に行っても現実にはこのようなことが起こり得ます。
手術を受けた側とすれば、「手術前までは歩行できていたのに…」という思いがあり、ショックが大きいものとなります。
術前に説明を受けていても、「まさか、自分が」ということもあるでしょう。
車いす生活を受け入れることは容易ではありません。当然リハビリは辛いものとなります。
手術する部位や骨化の状態などによってもリスクは変化しますので、一概には言えませんが、手術にはこのような結果が伴うこともあります。
手術を受ける際は、このようなリスクを十分に検討し納得したうえで受ける必要があります。
深く理解して手術に臨めば、万が一、手術後に麻痺が進行した場合でもリハビリをスムーズに行うことができます(障害受容が早いと、社会復帰が早く成功します)。
6 まとめ
今回は難病とは何か、後縦靭帯骨化症の治療法や経過などについてお伝えしました。
難病は治療法が確立していない疾患ですが、対症療法をうまく利用することでコントロールできる場合もあります。
後縦靭帯骨化症においても複数の治療法(対症療法)があり、状態に応じて用いられています。
この疾患は症状の進行の仕方は様々で、症状が進行しない場合もあります。
必ずしも手術が必要となるわけではありません。
常に(定期的に)画像診断を受け、状態を把握しておくことが大切です。
日常生活では、転倒などで脊柱に力がかかることが起きないように、また、脊柱を動かしすぎないように注意を払う必要があります。
後縦靭帯骨化症の研究は進んできています。
今後の治療法の開発にも期待したいところです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林
※ 編集を終えて・最後に ※
後縦靭帯骨化症と診断されると不安になるばかりか、『今後どうやって生きていいけばいいのか・・・』
などと、思い込んでしまう人もいるでしょう。
さらに、
難病指定にされていると、もう治る事もないし、悪化の方向へたどるばかりだ・・・・なんて。
感じてしまう人もいると思います。
でもね。
今から話す事を心にとめて欲しいのですが。
過去に私がリハビリの担当になった患者様で、首と胸椎の後縦靭帯骨化症と診断された方がいました。
その方は、50代の男性で、足全体と手全体にしびれを感じていて、シルバーカー(押し車)を押さないと歩けない。
という人でした。
日々の生活はなんとか送れており。
痛みは少なく、しびれだけが辛い。
という状態です。
首の手術を僕の治療を受ける約1年前にした。との事でした。
それでもしびれは少し軽減したくらいで日常生活が楽になる。
という事はない。という状態でした。
で、このような状態の中、まずは、首に対して治療を施したのですが、
なんと、症状が少し軽減したのですね。
ウソのようでホントの話なのですが。
まぁ、僕の中ではやってみないとわからない。
というスタンスなので、驚きは少なかったのですが。
で、
首への簡単な治療をその後も週に1度のペースで確認と作業を行い続けて。
結果、6カ月が過ぎた後には、しびれは多少感じる事があるけど、
しびれを感じない時もある。という状態まで症状が軽減したのです。
この患者様は、毎日努力して頂けまして。
今では、日常生活は普通に送れるようになり、仕事にも行けるくらいになった。
との事でした。
で、シルバーカー(押し車)であったのが、外出用の杖で歩けるようにもなった。
との事で、
この患者様のQOLは約6カ月で上がったのです。
このお話を事実ととらえるかはあなた次第ではありますが。
僕としては、やりがいのあった、一つの症例でもあります。
で、なぜ後縦靭帯骨化症であった方の症状が軽減したのかというと、
そもそも、後縦靭帯骨化症による症状は少なかった。
主な手や足へのしびれは姿勢の悪さや首の柔軟性の低下が原因であった。
というような結論・推測ができるわけです。
つまり、後縦靭帯骨化症と診断されても、あなたが苦しんでいる症状の原因は100%が後縦靭帯骨化症からの原因である。
というわけではありませんよ。
という事が言える訳です。
ちょと、長くなってしまいましたが。
このような事もあるんだよ。
という事を理解して欲しいなと思います。
あなたの症状が少しでも改善すれば嬉しいです。
本日も最後までありがとうございました。
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皆様こんにちは。
mamotteライター、理学療法士のイワモトです。
背骨の靭帯が骨化(骨に変化)する疾患に「後縦靭帯骨化症」があります。
この疾患は厚生労働省により難病の1つとして指定されています。