※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いない部分もあります。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたら嬉しいです。
ですので、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、リハビリテーションの専門家の意見や見解である。
というように捉えてほしいと思います。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
是非、宜しくお願いいたします。
皆様こんにちは。
mamotteライターで理学療法士のイワモトと運営者で理学療法士の平林です。
『椎間板ヘルニア』と聞くと、腰のヘルニアをイメージしませんか?
椎間板ヘルニアという病状は腰に多い症状です。
しかし、
椎間板ヘルニアは首に発症することもあるのです。
腰だけでなく、意外と首のヘルニアになってしまう人も多くいるのが実際です。
某有名人が、頸椎椎間板ヘルニアになってしまったというを聞いた事もあるでしょう。
首の痛みや手のしびれなどで手が動かしづらくなってしまうとか。
これは、肩こりなどとは違い、首・腕・上腕・手部までしびれを発生させてしまう可能性があるのです。
今回は、その頸椎椎間板ヘルニアの治療をテーマに
- 頸椎椎間板ヘルニアの症状ってどんなの?
- 治す為に有効な治療方法ってなに?
- マッサージは効果あるのか?
- 手術ってどうなの?
という上記の4つを含めて、話していきたいと思います。
頸椎椎間板ヘルニアと診断されてしまうと、不安になってしまうことでしょう。
ですが、それほど不安にならずに大丈夫です。
正しい対処と、治療を身に着ければ解決させる事はできます。
今回のお話はきっと、あなたの役に立つ内容でしょう。
是非、最後まで読んで欲しいと思います。
それでは、本日もよろしくお願いいたします。
1 頸椎椎間板ヘルニアの治療について
頸椎椎間板ヘルニアも腰椎の椎間板ヘルニアと同様のメカニズムです。
頸椎に障害を起こした椎間板から突出した髄核(ずいかく)によって神経が圧迫されて発症してしまいます。
なので、神経への圧迫を取り除くということが治療の基本的な考え方になります。
方法としては保存的療法、手術療法の二つとなります。
保存的療法は、安静、薬物療法、理学療法、徒手的療法、装具療法などがあります。
薬物療法は、疼痛があるときに消炎鎮痛剤や筋弛緩剤を使用したり、しびれに対してビタミンB剤を使用する事が多いです。
激しく痛みが生じている場合は神経ブロック(神経根、硬膜外など)を行って疼痛を抑えることもあります。
理学療法はリハビリテーションにおいて行われますが、内容は運動療法、物理療法があります。
運動療法においては、姿勢の改善、筋力の強化、ストレッチや日常生活動作(職業上の動作も含む)の指導などを行います。
必要に応じて、ヘルニアを積極的に改善させる徒手的療法を行う場合もあるでしょう。
物理療法は温熱療法や電気治療などを行い、疼痛の軽減や異常な筋の緊張を改善させたりします。
装具療法は、頸椎カラーなどの装具が適応になる場合もあります。(しかし、実際には頸椎カラーは効果がなく、逆効果であるという説もあるので、慎重に検討した方がいいでしょう)
頸椎カラーは首の動きを制限するもので、首を動かさなくする事によって症状が改善する場合があります。
保存的療法で改善が見られない、症状が進行したり、神経症状が重度である場合(歩行障害、膀胱直腸障害など)は手術による方法が選択される可能性が高くなるでしょう。
手術は首の前方から進入する場合と、後方から進入する場合がありますが、どちらも神経を圧迫している部分を取り除くという目的は同じです。
顕微鏡を用いて精密な手術が行われています。
取り除かれた椎間板の代わりに、自家骨移植(腸骨から取った骨)が施されたりします。
人工物(人口椎間板など)を挿入する場合もあります。
術式については、担当医によって、判断されるので相談して慎重に判断するのがいいでしょう。
2 頸椎椎間板ヘルニアはどんな症状を感じるのか?
背骨の中には脊髄が通っています。
この脊髄は中枢神経という神経になります。(中枢神経とは、人が体を動かす際に、脳からの指令を体に伝える役割をもつ超重要な神経になります)
この中枢神経がマヒしてしまうことで、足や手、体などが動かせなかったり、感覚がなくなったりしてしまうのです。
この脊髄から運動神経と感覚神経がそれぞれ枝分かれし神経根(前根と後根)となります。
枝分かれした神経は末梢神経(まっしょうしんけい)といって、指先や足先などの体の各部分に伸びていきます。
脊髄の首の部分(頚髄)から枝分かれした神経は腕、手、指、肩などに分布しています。
頸椎で椎間板ヘルニアが起こると、椎間板から突出した髄核によって神経が圧迫されます。
そして、ヘルニアの突出した場所やヘルニアの大きさによって、神経根や脊髄自体が圧迫されたりします。
すなわち、末梢神経障害と中枢神経障害の両方を生じる可能性があるのです。
ここが腰椎と大きく違う点です。
腰椎で圧迫される神経は枝分かれした後の馬尾(ばび)神経という末梢神経に当たります。(抹消神経とは、手や足先を動かしたり、熱い、寒いなどの感覚の指令を四肢・体幹に伝えている神経になります)
なので、中枢神経ではありません。
神経根(左右どちらか片方)が圧迫されると、手や肩に痛みやしびれが生じます。
症状の出始めは、寝違いのような軽い症状の場合もあります。
痛みやしびれの場所は、神経の圧迫されている場所によって違ってきます。
痛みが限局せず、広範囲に走る痛み(放散痛)が起こることもあるのです。
激しい痛みが生じることもありますが、数週間から数か月で改善することが多いでしょう。
ヘルニア(飛び出した髄核)が脊髄を圧迫すると、両手にしびれなどの症状が出る事が多いです。
手指の動きがぎこちなくなる、動くスピードが遅くなる、細かな動作がしにくくなるなどの運動障害(巧緻動作障害)を生じる場合があります。
脊髄自体を圧迫するため、足にも障害を生じる可能性もあるので、足のしびれや歩行障害などを生じる場合もあるのです。
重度の場合は膀胱直腸障害を起こすこともあります。
足のしびれの原因が首にあるとは気づかない場合もあるため、注意が必要いなってきます。
ですが、足の症状は大体が腰からなので、まずは腰に注目すればいいでしょう。
手や足両方に生じている場合に首の問題だけを考えるという思考がいいと思います。
参考程度にしてもらえたらと思う次第です。
3 完治の為に効果的な方法とは?
一般的に言うと、頸椎椎間板ヘルニアも完治させることができないわけではありません。
また、ヘルニアが治らなくても痛みやしびれは改善する。
といった事も珍しくありません。
症状が感じなくなれば、それは改善したと言っていいでしょう。
実際に、運営管理者の平林も私もこのようなケースを幾度となく体験しています。
頸椎椎間板ヘルニアと診断された患者さんを治療して、症状がなくなったという場面にあたっています。
なので、
頸椎椎間板ヘルニアは治らないわけではありません。
ここで、大切な知識として、神経の障害についてお伝えしておきます。
神経はある程度の圧迫には耐えられます。
正座を例にしてみましょう。
正座をした後に足がしびれて、その時に足に刺激入れる(触れる)と更に痛みを感じた経験ありますよね。
しかし、しばらくするとしびれは完全に消えていく(完治した)。
この経験は誰もがしたことあると思います。
ではもし、この正座を、体を全く動かさず、固い床の上で何時間も行ったらどうなるでしょうか。
おそらく足に麻痺を起こしてしまうでしょう。(脚を組んで野球観戦をしていた人が、試合終了後に腓骨神経麻痺を起こしたという実例を経験しています)。
神経は限界を超えると、回復できない状態となってしまいます。
まずこの神経の性質をよく覚えておいてください。
椎間板ヘルニアによる神経の圧迫は、正座を長時間している状態にたとえることができます。
ヘルニアによる圧迫が短時間であれば短時間の正座の後と同じように完治します。
ここが肝です。
程度の差はあれど。
完治させる第一の方法は、自分の体の状態に常に気を配ることです。
手に今までにないしびれや痛みなどを感じたり、首、肩にいつもとは違う寝違いのような感じを覚えたら、すぐさま首の検査を受ける(MRI、脊髄造影など)ことです。
第二に適切な治療をすぐに開始することです。
具体的な治療内容はヘルニアの状態(出ている場所、大きさなど)によって違ってきます。
なので、適切な治療としか言えませんが、基本的な考え方は、極力ヘルニア(突出した髄核)が神経を圧迫しない姿勢、運動方向を守ることです。
危険がない状態であれば、積極的に突出した髄核を戻す(悪化させない)手技もあります。
これを覚えておきましょう。
4 マッサージは効果あるのか?しても良いか?
痛みなどの症状が出ると、異常に力がはいってしまい、首や肩にこりを生じることがあります。
このような状態は頸椎にもよくないので、マッサージで筋の緊張をほぐすことは効果があるでしょう。
ただし、強いマッサージや直接頸椎付近をもみほぐしたり、強めに押すことはヘルニアを悪化させる危険性があります。
なので、もしマッサージを受ける場合は頸椎のヘルニアであることを告げ、軽くほぐすようなマッサージを行ってもらうとよいでしょう。
ただし、医師に確認することは必要です。
マッサージをする時は慎重になってほしいと思います。
5 手術は極力やらない方が良い。という話。
医師によって考え方は違うと思いますが、多くの医師が手術は最終手段だと考えているのではないでしょうか。
保存療法では改善が困難なほど症状が重度である。
または、手術しないと症状が進行し、重症化してしまうと判断された時でしょう。
先ほど、完治の方法として、神経を長時間圧迫しないこととお伝えしました。
そうであれば、早く手術をして圧迫を取り除いたほうがいいのではないか?
と矛盾を感じた方もいらっしゃるでしょうね。
理屈をいうと早く圧迫を取り除いたほうがよいのは事実です。
しかし手術を行うとなると、数々のリスクを伴います。
首という部位であること、脊髄が対象であることがリスクを高めています。
このリスクと改善(進行防止)を天秤にかけると、現実的には手術は最終手段となるでしょう。
なので、重い症状でも手術は最後の最後の手段である。
と思って頂きたいのです。
6 頸椎椎間板ヘルニアを治す為に最も効果のある方法とは?
症状が出始めたらすぐに診断を受けて、早急に対策を行うことが大切です。
この、すぐに対策をすることが最も効果のある方法に結びつきます。
まず、発症した原因を突き止めましょう。
姿勢、仕事の内容、日常生活などから可能性のある原因をあげて、改善していきます。
姿勢や日常生活の仕方に原因がある場合、同じ姿勢、生活をしていたのでは改善しません。
例を挙げると、毎日長時間下を向いてのスマホ操作は首に負担がかかりますから、やめなければなりません。
しかしこれらは、姿勢の工夫を加えれば対処できるので、問題ないでしょう。
また、頭部が前に突き出た姿勢もよくありませんので、顎を引いた理想的な姿勢に矯正(無理のない範囲で)する必要があります。
首に衝撃のかかるスポーツは、残念ですが中止した方が良い場合もあります。
しかし、頸椎カラーをしてのスポーツ動作や首の筋肉をしっかりと付ける。
頸椎の正しい使い方を身に着ける。
ことで、首への負担を最小限にできるので、スポーツを辞めるというところまでしなくてもいいとも思います。
仕事でどうしても首を下に向いたり、首を突き出す姿勢が多いなど。
仕事が原因という場合、とても難しい問題ですが、将来を考えて異動、転職を検討する必要がある時もあるでしょう。
しかし、仕事を簡単にやめるわけにもいかないと思います。
そこで、仕事上でも姿勢を意識したり、休息をとることで対処していくのがいいでしょう。
また、原因を断つということも大切な時もあるので、検討するのあいいと思います。
次に、適応になる場合(安全に効果を見込める場合)ですが、後方へ突出した髄核を前に戻す運動を行います。
椎間板の前方に力がかかると髄核は後方へ移動しますので、反対に椎間板の後方に力をかけて椎間板内部の髄核を前方へ移動させるのです。
具体的には椅子に深く腰かけた姿勢で、しっかりと背筋を伸ばします。
背もたれと腰の間にバスタオルなどを丸めてはさんでもいいでしょう。
頭部はまっすぐ前を見た状態から、顎を後ろに引いていきます。
顎だけでなく、頭部全体を立てたまま後ろに平行移動させる感じです。
これによって、頸椎の生理的彎曲(軽度前彎)を作り出します。
姿勢が悪く頭部が前に出ている方(多くみられます)にとっては、この運動で椎間板前方にかかる力が減少します。
ストレートネックと言って頸椎がまっすぐな方がいらっしゃいますが、この運動を行って頸椎の生理的彎曲を促してみましょう。
症状が悪化する場合はすぐに中止してください。
日ごろの努力が最も効果があります。
姿勢、動作などの改善に力を注いでみてください。
うまくいけば、ヘルニアのさらなる脱出がストップし、すでに出てしまっている髄核部分は吸収されて消失します。
こうなれば完治可能です。
すでに重度の症状を生じている場合(膀胱直腸障害、歩行障害など)は、手術が第一選択として選ばれることもあるでしょう。
7 まとめ
今回は頸椎椎間板ヘルニアの治療についてお伝えしました。
神経障害の治療はスピードが勝負です。
神経への圧迫が長期化すると後遺症を残す可能性が高くなります。
症状が出たらすぐに対策を実行しましょう。
適切に行えば、完治の可能性が高まります。
理想としては症状が出る前からの予防をしておくのがベストです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
編集&追記:mamotte 運営者 理学療法士 平林
※ 編集を終えて:最後に ※
mamotte運営管理者の理学療法士 平林です。
頸椎椎間板ヘルニアも腰椎椎間板ヘルニアの原因と一緒です。
原因も似ており、首か腰かの違いだと思っていいでしょう。
頸椎椎間板ヘルニアを治す為にも、正しい姿勢の意識と適切な運動が大切になってきます。
あなた自身に適した運動方法をみつけるのが良いと思うのです。
そのためにも、正しいヘルニアの知識を持ち、諦めず治療をしつづける気持ちが必要だと思うのです。
実際に私達、理学療法士や他の治療家もあなたの症状を本気で治したいと思っているはずです。
しかし、
治療というのは、試してみないとわからない。
というのが事実です。
治療を施す前から100%治す。
という事ができません。
是非、諦めずに治るまで治療をつづけてもらいたいなと思います。
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※ 理学療法士イワモトの意見・考え ※
頸椎椎間板ヘルニアの手術を受けるとなると、悩みますね。
骨や骨化した靭帯が脊髄を圧迫していてなおかつ進行しているのであれば間違いなく手術以外選択肢はないと思います。
ヘルニアとなると圧迫しているものが髄核であり、消失する可能性があるというところが悩ましいところです。
脊髄付近の手術では完璧に成功しても脊髄の後遺症が残ることがまれにあります。
頸椎の椎間板ヘルニアの後遺症としてはまれですが、手術後、脊髄が強い浮腫(浮腫:はれる)をおこすことがあります。
脊髄が狭い脊柱管の中で腫れると、行き場のなくなった脊髄は圧迫されることとなります。
圧迫された神経は限界を超えると死んでしまいます。
結果的に下肢などに麻痺を起こしてしまうことがあります。
特に胸髄は可動性が少なく、脊柱管に余裕がないので、首、腰以上にリスクが高いようです。
手術前は歩行できていたのに、胸椎の術後(手術にミスはありません)に歩行ができなくなり車いす生活となった方を目の当たりにしていますので、実際にこのようなリスクは0ではありません(極まれです)。
もし手術を受けなかったらということも考えますが、手術をしなかったら病気が進行して、結果的に歩行はできなくなっていたでしょう。
手術を受ける場合は、効果とリスクについて十分に説明を受けて、納得してから受けましょう。
頸椎椎間板ヘルニアの場合、後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)のように自分では止められない疾患と違って、対策によって改善させる余地が残っています。
できるだけ早く対策をお願いします。