※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いない部分もあります。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたら嬉しいです。
ですので、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、リハビリテーションの専門家の意見や見解である。
というように捉えてほしいと思います。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
是非、宜しくお願いいたします。

皆様こんにちは。
mamotteライター理学療法士のイワモトです。
「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」という病気があります。
筋力が徐々に低下していく病気ですが、同じような症状が出る「筋ジストロフィー」とはどのように違うのでしょうか?
今回の記事では筋ジストロフィーとALSの症状や違い、病気に対する心構えなどについてお伝えします。

運営者で理学療法士の平林です。
今回は筋ジストロフィーとALSの違いについて話していきます。
この二つの病状は似ている様で症状は違います。
一度は聞いた事がある病気だとは思いますが、イメージできない人の方が多いでしょう。
この二つの病状は特定難病疾患にされています。
今回は、この二つの病状を知ってほしいと思います。
そして、
筋ジストロフィーとALSの認知度が広がって、一人でも多くの患者さんの力になれたら嬉しく思います。
この記事を読んで得られる事は、(メリット)
|
といった事があります。
是非、最後までよんであなたの役に立てば嬉しいです。
では、本日もよろしくお願いいたします。
目次
1 筋ジストロフィーとALSの違いとは?

最初に筋ジストロフィーとALSの違いについて解説します。
1-1 筋ジストロフィーって何?
筋ジストロフィーとは身体の筋肉(骨格筋や内臓の筋肉など)が壊れやすく、壊れても再生されにくいという症状を持つ病気の総称です。
総称ですので、「筋ジストロフィー」という病気が1つだけあるわけではなく、様々な原因で起こる多くの種類があります。
遺伝子に原因があることがわかっていて、すでに50以上の原因となる遺伝子が解明されているようです。
症状の主なものは運動機能障害ですが、それ以外にも呼吸筋障害、心筋障害など生命に関わる症状が出現することもあります。
心筋や呼吸筋の障害が生じると、寝たきりになってしまう方も少なくありません。
また、
進行性の病状であり、如何にして症状を進めないか?悪化させないか?
という部分が我々の役割でしょう。
筋ジストロフィーはいくつかの種類があって、その種類を以下に紹介しておきます。
筋ジストロフィー |
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臨床病型 |
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1-2 ALS(筋萎縮性側索硬化症)って何?
ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、上下肢(手足)や呼吸に関係する筋力が低下していく病気です。
症状の始まり方は一通りではなく。
手の力が弱くなることから始まったり、食べ物が飲み込みにくいことから始まったりします。
筋ジストロフィーと同じように筋力が低下していきます。
筋ジストロフィーでは筋肉が壊れるのに対して、ALSでは筋肉を動かす神経(運動神経)が障害されるという特徴を持っています。
また、
ALSでは感覚や内臓の機能は障害を受けないと言われています。
原因は特定されていませんが、一部の遺伝子異常が発見されており、解明が進んでいるところです。
このALSも進行性の病状なので、如何にして悪化させないか、進行を予防するのか?
という部分が我々の役割になります。
ALS(筋萎縮性側索硬化症) |
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臨床病型 |
その他、呼吸筋の麻痺が出る例や体幹筋の障害、認知症を伴う例もある。 |
2 特定難病疾患ってなんなの?

特定難病疾患は、平成27年に施行された法律(難病の患者に対する医療等に関する法律=難病法)によって「指定難病」と呼ばれるようになりました。
2-1 どんな疾患があるの?
平成30年4月から医療費助成が開始された疾患(特発性多中心性キャッスルマン病)を含めて331の疾患が指定されています。
すべての疾患をご紹介することはできませんので、主なものをいくつかお伝えします。
主な指定難病 |
|
【指定難病の要件】
①発病のメカニズムが解明されていないこと
※原因の遺伝子が判明していても、病態が解明されていない場合も含む。
②治療法が確立していないこと
※対症療法や症状の進行を妨げる方法はあるが、根治療法がない。
継続的な治療が必要である。
③長期の療養を必要とすること
※基本的に生涯にわたり症状が続く(潜在する)もの。
④患者数が日本国内において一定の人数に達しないこと
※人口の0.1%程度以下を目安とし個別的に判断する。
2-2 特定難病疾患は治る可能性はあるのか?
特定難病疾患(指定疾患)の要件に
- 「治療方法が確立していない」
- 「長期の療養を必要とする」
というものがあります。
これは治らないということではなく。
対症療法はあるが根治のための治療方法が確立されていない、継続的な治療が必要である。
というような場合も含まれます。
したがって、
すべての特定難病疾患(指定疾患)が治療不可能ということではありません。
完治はしないけれども治療でコントロールできる場合もあります。
現在も病気の解明に力が注がれていて、原因も解明されつつあります。
なので、
今後の治療法の確立に期待したいところです。
2-3 どのような対処をすればいいのか。
現在、難病法によって、難病指定医のみが難病を診断することができるとされています。
したがって、
すべての病院で診断を受けて治療を受けることはできません。
各都道府県に難病指定医療機関がありますので、専門の指定医による診断を受け、専門的な治療を行うことが必要です。
【日常の注意点】
では、日常生活上での注意点について話していきますね。
①転倒に注意する
歩行補助具、装具の利用、プロテクターの装着、車いすの併用などを検討する。環境整備(段差の解消、手すりの設置等)
②感染対策
麻疹・風疹、おたふくかぜ、水痘などの予防接種を済ませておく。
インフルエンザの季節は予防接種を受ける。感染の機会を増やさないなどの対策をします。
③誤嚥に注意する
むせを感じたら、そのまま続けて食事をせず、とろみをつけたり、食事の形態を工夫したりしてむせを防ぎます。
誤嚥によって窒息や肺炎のリスクが上がりますので注意が必要です。
とろみ剤は介護用品店やドラッグストアで購入できます。
3 筋ジストロフィーとALSに負けない為に必要な事

では、これより、筋ジストロフィーとALSの患者様にへの考え方についてお伝えします。(これは、個人的な意見も含まれているので、参考として、共感してほしいなと思います。)
3-1 病状を理解する
筋ジストロフィー、ALSの病状は人によって違います。
ある人の症状がこうだからといって、自分もそうなるというわけではありません。
症状の出方、進行の仕方も様々です。
多様な病状があることを理解することが先決です。
決してネガティブな例(重症例)のみを探して、悲観的にならないようにして欲しいと思います。
筋ジストロフィーは重症例を除けば、生命の予後は比較的良好な場合も少なくありません。
ALSになったとしても、現代のテクノロジーを活用しながら社会貢献に寄与することも可能です。
著名な物理学者「ホーキング博士」がその代表例です。
病状を正しく理解することで、可能性を高めることができるのです。
3-2 進行させない気持ちを持つ
物理学者のホーキング博士は21歳でALSを発症し、余命2年の宣告を受けましたが、医師の診断に反し76年の人生を全うしています。
博士は診断を受けてからも、決してネガティブになることはなく、人生を楽しんでいたそうです。
極端な例ではありますが、気持ちのあり方は身体に影響を与えます。
免疫系への影響などもあるでしょう。
できるだけネガティブにならず、前向きに生活を送ることが大切です。
3-3 リハビリを行う
- 拘縮や変形を予防するために関節可動域訓練を行う
- 転倒の予防(歩行補助具、装具などの使用、車いすの使用)
- 車いす駆動訓練(電動車いすの操作含む)
- 呼吸訓練(肺理学療法)
- 摂食嚥下訓練、福祉用具の活用
- IT訓練(パソコンの操作など)
※筋ジストロフィーでは筋損傷のリスクがあるため、積極的な筋力増強訓練は行わないことが一般的です。
ALSは必要に応じて行っても良いですが、訓練の中心とならないようにする必要があります。
4 まとめ
今回は筋ジストロフィーとALSの違いや対処法などについてお伝えしました。
簡単に言うと、筋ジストロフィーは筋肉自体の障害、ALSは筋肉を動かす運動神経の障害ということができます。
どちらも筋力が低下する点では共通していますが、症状の出方は様々です。
それぞれの病気について正しく理解して、適切に対処する必要があります。
指定難病については指定医による診断、治療が必要ですので、難病指定医療機関で専門的な治療を受けます。
また、転倒や感染、誤嚥に注意するなど、日常生活の中での配慮も大切です。
あまり悲観的にならず、先を見据えたリハビリテーションを行うことで、生活の質を最大限維持することが可能となるでしょう。

※ 理学療法士イワモトの意見・考え ※
「できるだけネガティブにならず、前向きに…」とお伝えしました。
矛盾するようですが、そんなに簡単にポジティブになんてなれないということは理解しています。
過去に指定疾患を持つ方に接する機会がありました。
その時の私は表面的には笑顔で接しても、心の中では無力感との葛藤であったことを記憶しています(未熟でしたので)。
リハビリは時に残酷な側面を持っています。
毎日筋力増強訓練を行っているのに、どんどん筋力が低下してしまうことがあります。
リハビリを行っているのに、改善しない…すなわち、リハビリでは回復しない病気だということを悟らせてしまうのです。
しかし、
現実を知り、絶望を乗り越えて病気を受容し、前向きに生きていく姿に、私は多くのことを教えられました。
その方々は私にとって、貴重な先生という存在です。
病気と闘いながら生きていく姿は周りの者にも勇気と感動を与えます。
「禍福は糾える縄の如し」です。
最後まで読んできただきありがとうございました。皆様のご健康をお祈りいたします
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者理学療法士 平林

※ 編集を終えて・最後に ※
実際に、私もALSと筋ジストロフィーの患者さんを担当させて頂いた事があります。
その方は、お二人とも、共通している事がありました。
それは、日々、1日を真剣に生きている。
って事です。
だんだんと自分が弱っていく事を知っていながらも、生活をしている姿をみていました。
40代後半の女性と30代前半の男性でして。
ざっくりな状態は、
- 話はできるが、体は動かず首を動かす事ができるALSの患者さん
- 体に痛みを感じながらも、下肢の装具や杖を使って歩くのができる筋ジストロフィーの患者さん。
の方です。
ホントに毎日が症状との闘いと言っており。
体調が良い日は、問題は少ないのだけど。
体調が悪いと話ができない程辛かったり。
動くのも嫌になるしできない。という状態でした。
こうやって、日々生きる事に頑張っていると思うのです。
なんか、凄いですよね。
五体満足の我々には、100%わかる事ができないのですが。
わかろうとする気持ちは常に持っているつもりです。
このような姿を見ていく中で、我々リハビリを担当する役割としては、
如何に進行を進ませないか?
患者さんの希望やニーズは何なのか?
という事に集中して取り組んで行くべきだと思うのです。
僕は、このように患者さんの気持ちに寄り添えるような療法士になりたいなと思います。
今回の話が少しでも参考になれば嬉しいです。
本日も最後までありがとうございました。


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大変勉強になりました、有り難う御座います。患者さんの気持ちになってやつておられることに頭が下がります。また新しい知見がありましたら、ご披露下さい。ご健康をいのります。
宮谷様
コメントありがとうございます。
mamotte運営者で理学療法士の平林です。
ご丁寧にありがとうございます。
少しでも読者様のお力になれたらと想い、ほそぼそと記事を継続させていただいております。
今後も少しでも役に立てるような内容を発信していきたいと思っております。
このようなコメント励みになります。
誠にありがとうございます。