筋ジストロフィーのリハビリを紹介。効果的な方法の提案

筋ジストロフィーのリハビリについて

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理学療法士 イワモト

皆様こんにちは、mamotteライター理学療法士のイワモトです。

筋ジストロフィーは特定の認定を受けた難病の一つで、リハビリテーション(以下、リハビリ)が特に重要な役割を果たします。

筋ジストロフィーは認定された特定難病の中でも、リハビリテーション(以下、リハビリ)が極めて重要です。

この疾患を抱える患者にとって、リハビリは不可欠であり、これにより病気の進行を遅らせることが可能です。

さらに、日常生活での困難な動作が容易になるといった利点も見られます。

リハビリを継続することで、長期的には改善が見られる可能性も高いため、目に見える成果が出るまで時間がかかる場合があっても、リハビリをやる方がメリットは多いと思います。

このように、筋ジストロフィーの管理にはリハビリが欠かせません。

今回はその重要性に焦点を当てて解説していきます。

この記事を読んで得られる事

この記事を読めば

◎ 筋ジストロフィーに対する効果的なリハビリテーション方法を理解できて、病状の進行を遅延させることができるかもしれない

今回の内容を読んで、筋ジストロフィーのリハビリについて知っていただけたら幸いです。

では、本日もよろしくお願いいたします。


理学療法士 平林

※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。

なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。

執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。

ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。

それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。

しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。

というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。

  • どれが正しくて、どれが間違っているのか?
  • どれが自分に適している治療なのか?

個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。

ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。

間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。

【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。

ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。

そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。

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1 筋ジストロフィー治療における効果的なリハビリテーションの方法

筋ジストロフィーのリハビリについて。

まず、核心部分である具体的なリハビリについて解説していきますね。

方法① 関節可動域運動をしよう

基本的には、関節可動域の運動が重要です。

筋力が低下すると、関節の動きが制限されることがあります。

これによって筋肉が縮み、関節周辺の組織が硬くなり、結果として関節が伸びにくくなることがあります。

このような状態を拘縮と呼びます。

筋ジストロフィーにはいくつかの型がありますが、デュシャンヌ型筋ジストロフィーは拘縮が特に多く見られるため、関節の可動範囲を維持するための運動が非常に重要です。

関節が一度硬くなると改善が難しくなるので、早期からの対策が大切です。

筋ジストロフィーの主なタイプは以下の通りです:

  • デュシャンヌ型:主に幼児期に見られる
  • ベッカー型:発症が比較的遅い
  • 筋強直性筋ジストロフィー
  • 先天性筋ジストロフィー(福山型)
  • 肢帯型筋ジストロフィー
  • 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー

特に注意が必要なのは、ハムストリングス、下腿三頭筋、腸脛靭帯の短縮です。

これらの部位のストレッチは推奨されていますが、筋肉を傷めないよう注意が必要です。

特に腸脛靭帯は、膝や足の関節に影響を与えるため管理が重要です。

なので、関節可動域運動、ストレッチは重要なリハビリ方法だと言えます。

下腿三頭筋のストレッチ例

出典: 厚生労働省精神・神経疾患研究開発費
筋ジストロフィーの集学的治療と均てん化に関する研究「筋ジストロフィーのリハビリテーション・マニュアル」

方法② 筋力トレーニングをする

筋肉を過度に使いすぎると、筋力低下(過用性筋力低下)が起こることがあります。

これは健康な筋肉にも生じ得る現象ですが、筋ジストロフィーのような筋肉の障害がある場合には特に過度の使用に注意が必要です。

体機能を向上させるための運動は重要ですが、負荷が過大になると筋肉にダメージを与え、症状を悪化させる可能性があります。

そのため、運動時には負荷を適切に調整することが大切です。

運動の適切な目安としては、筋肉痛が運動中や翌日に発生しない程度で行うことが望ましいです。

もし痛みがある場合は、負荷が強すぎる証拠ですので、運動量を減らすべきです。

また、運動への意欲が低い時は、楽しい活動やスポーツを取り入れてトレーニングを楽しむよう工夫すると良いでしょう。

方法③ 日常生活動作運動の練習

自力で日常生活を営むことは、自立した生活を維持する上で非常に重要です。

筋力が低下して動きに制限が出た場合、さまざまな代替手段や補助具を用いて、できる限り独立した生活が送れるようサポートすることが大切です。

例えば、移動能力を維持するためには、適切な訓練が必要であり、安全に歩行するための装具や歩行補助具、ヘッドギアなどの利用が役立ちます。

また、歩行が困難な場合には、電動車椅子の使用も検討すべきです。

車椅子の操作に慣れることが、生活の質を向上させるためにも重要になります。

さらに、日常生活において便利な工夫として、B.F.O(バランスド・フォアアーム・オーソーシス)の使用もあります。

これは筋力が弱まっている状態でも手の動きをスムーズにするための装置です。

  B.F.Oの例

   出典:Technotools

また、
コミュニケーションツールとしてのスイッチなどもリハビリによって工夫されたものが多く作り出されたりしています。

スイッチの1例

ピンポンスイッチ

出典:「筋ジス患者の使いやすいスイッチ・コントローラーの工夫
筋ジストロフィー患者のケアシステムに関する総合的研究
PT・OT共同研究連絡会

方法④ 姿勢・動作の見直し

適切な姿勢を維持するためには、必要な筋力が必須です。

筋力の低下により、正しい姿勢を保つことが難しくなると、それが関節の可動範囲の制限や変形につながる可能性があります。

姿勢を正しく保つ重要性はこの点からも理解できます。

姿勢を確認する一つの方法として、鏡を使って自分の姿勢をチェックし、意識的に良い姿勢を保つ練習をすることが挙げられます。

自力で姿勢を維持するのが難しい場合は、ベルトやクッション、支持台などの補助用具を使って筋力不足を補うことができます。

良い姿勢を保持することにより、自然と腹筋や背筋が鍛えられ、姿勢を保つだけで良い効果が期待できます。

脊柱の側弯症などの問題がある場合には、体幹装具や姿勢保持装置を使用するのが一般的です。

車椅子の使用が必要になった場合には、車椅子上でも良好な姿勢を保つために、シートの形状を調整することが大切です。

また、効率的な動作方法を学ぶことは、専門家の助言を求めることをお勧めします。

筋力が残っている部分を活用した代償動作を学ぶことも効果的ですが、筋肉に過度な負荷がかからないように注意が必要です。

これらの点はリハビリテーションの重要な要素ですので、ぜひ参考にしてください。

2 リハビリテーションの重要性:なぜ必要なのか?

筋ジストロフィーのリハビリの重要性について

ここではリハビリテーションの重要性についてお話ししたいと思います。

筋ジストロフィーに対応する上で、リハビリテーションは非常に重要であり、多面的にアプローチする必要があります。

ここでリハビリの目的とその必要性について詳しく解説します。

リハビリの主な目的は以下の通りです:

  • 関節の拘縮や変形の予防
  • 筋力の維持と体の発達を促進する運動
  • 歩行や車いす、電動車いすの使用による移動能力の確保
  • 食事、排泄、更衣、整容、入浴などの日常生活動作の能力を維持し、拡充するための自助具や福祉用具の活用と調整
  • 姿勢の維持(車いすのシーティング調整やベッド上での適切な肢位の保持)
  • 呼吸訓練(胸郭の可動性を維持し、排痰を助けるため)
  • 心理的支援
  • 活動性の維持と拡大
  • 生活の質(QOL)の改善

これらの目的は、快適で健康的な生活を送るために必要な要素を全てカバーしているため、リハビリテーションは欠かせないものと言えます。

3 リハビリはどれほど効果的?実際の治療成果を考える

リハビリで筋ジストロフィーは良くなるのか?

筋ジストロフィーに対するリハビリテーションの効果についてお話しします。

この疾患が完全に治る可能性は非常に低いと言わざるを得ません。

筋ジストロフィーは遺伝的な要因による難病で、現時点でその原因を完全に解明し、根本から治療する方法は確立されていません。

それでも、リハビリテーションを利用して症状の進行を遅らせることは可能です。

根本的な治療が難しい現状を考慮しても、リハビリを行うことで日常生活の質を向上させたり、平均寿命を伸ばす効果が期待されます。

残念ながら治るとは言えない事実がある

遺伝的な要因が原因である筋ジストロフィーは、リハビリテーションの技術やアプローチによって遺伝子レベルで治療することはできません。

したがって、リハビリテーションが病気そのものを治すことは不可能です。

この病気の治療には、遺伝子レベルでの介入が必要になります。

ただし、リハビリテーションを通じたアプローチや現代の医療技術の活用によって、生活の質を向上させ、平均寿命を延ばす効果が期待できます。

そのため、リハビリテーションの主な目的は以下の通りです:

  • 病状の進行を遅らせること
  • これまで行えなかった活動ができるようになること
  • 日常生活を少しでも楽にすること

これらの目的に焦点を当てることで、筋ジストロフィー患者がより良い生活を送ることが可能になります。

症状の進行を遅らせるのが目的

先ほども触れた通り、リハビリテーションの主な目的の一つは、病状の進行を遅らせることです。

リハビリを行わないと、拘縮や変形、筋力の低下が急激に進行し、日常生活の活動が困難になる可能性があります。

さらに、呼吸機能が低下することで生活の質が低下し、寿命も短くなる恐れがあります。

リハビリテーションは、これらの問題を予防し、患者の持つ能力を最大限に活かす方法を提供します。

これにより、症状の進行を極力抑え、生活の質を保つことができます。

したがって、筋ジストロフィーを抱える場合でも、リハビリテーションを行って病状の進行を遅らせることは非常に重要です。

4 リハビリとしての日常活動: 生活全体が治療になる

日常生活がリハビリになる時代

日常生活がリハビリテーションの役割を果たすことがあります。

たとえば、立ち上がるのが辛いときには、足の筋力を強化し、関節の柔軟性を高めることを目指して、立ち上がりやすくなるようにします。

歩くときに痛みがある場合は、その痛みを取り除いてスムーズに歩けるようにし、重いものを持ち上げるのが難しいときには、腕の筋力を鍛えて持ち上げやすくするのがリハビリの目的となります。

つまり、日常生活で感じる困難な動作を改善すること自体がリハビリテーションになります。

特に、日常生活の遂行が困難な場合、その行動自体が訓練となり、リハビリテーションの効果をもたらします。

筋ジストロフィーを抱える人々にとっては、日常のあらゆる活動がリハビリの一環となり、生活そのものが訓練の場になります。

これによってリハビリテーションと日常生活の境界はなくなり、毎日を全力で生きることが治療に直結します。

この考え方は、リハビリテーションと日常生活の関連を理解する上で非常に重要です。

5 常に進化する医療: 最新治療薬の研究がされている

筋ジストロフィーの治療薬について
理学療法士 イワモト

※ 理学療法士イワモトの意見・考え ※

アメリカではデュシャンヌ型筋ジストロフィーに対する遺伝子を対象とした治療薬が承認されています。

日本でも「エクソン・スキップ療法」という同様の方法での研究が進められており、未だ多くの課題がありますが、将来的には非常に有望な治療法と見られています。

さらに、ウイルスベクターを利用した遺伝子治療や再生医療の分野でも研究が進展しており、動物実験で成功が報告されています。

これらの研究は、遺伝子レベルでの病気の原因を解明し、新しい治療法を開発するための活動が活発に行われています。

日本においては、これらの高度な研究が行われており、実用化の可能性も高いとされていますが、新薬の承認には通常時間がかかります。

ただし、近年は新薬の承認プロセスを速める特例措置が導入されており、治療薬の承認までの遅れ「ドラッグ・ラグ」が短縮されつつあります。

これにより、治療を待つ患者の不便が少なくなることが期待されています。

6 まとめ:筋ジストロフィーはリハビリで進行を遅らせる事はできると言われている。

この記事では筋ジストロフィーのリハビリについて詳しく解説しました。

筋ジストロフィーのリハビリは色々な方法があって、拘縮や変形の予防から筋力をキープすること、姿勢や動作の改善、自助具や福祉用具の使い方の調整、精神的なサポートまで含まれます。

やるべきことや必要なことが山ほどあるけど、それは人によって違います。

リハビリは日常生活とすごく密接に関わっていて、日々の生活を送ることがそのままリハビリにつながるんです。

最新のテクノロジーも治療やリハビリにどんどん取り入れられているけど、リハビリの必要性自体はこれからも変わらないでしょう。

あなたの症状が少しでも楽になることを心から願っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林


理学療法士 平林

※ 編集を終えて・最後に ※

この記事を通して、筋ジストロフィーと診断された方の力に少しでもなれたらと思っています。

筋ジストロフィーと診断されて、一生懸命生きている人が沢山います。

自分の病状が進行性である事を知りながらも、必死で楽しく生きている人がいるのです。

それを知ると、五体満足が当たり前になっている我々って・・・・

なんでしょうね。

五体満足は恵まれているんだよ。

と考えさせられませんか・・・。

苦労もなく歩ける、立てる、息を吸える。

それが当たり前になっている我々。

確かに、五体満足なのが、大多数ではありますが。

ちょっと、このような考え方や思い込みを変えるべきかなぁと思うのです。

五体満足ではない方も沢山いる。

この事実をもっと沢山の人に知ってほしいかなぁと。

勿論、五体満足ではない人が沢山いる事を知っている人もいるでしょう。

全ての人がそうである。

と言っている訳ではありません。

今回は、筋ジストロフィーとリハビリをテーマにして。

難病疾患を患って、五体満足ではないけど、必死に一生懸命生きている人がいる。

という事実を少しでも多くの人に知ってもらいたいなと思うわけです。

という事で、本日も最後までありがとうございました。

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