※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いない部分もあります。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたら嬉しいです。
ですので、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、リハビリテーションの専門家の意見や見解である。
というように捉えてほしいと思います。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
是非、宜しくお願いいたします。


運営者で理学療法士の平林です。
筋ジストロフィーとリハビリについて考えてみました。
筋ジストロフィーの患者さんにはリハビリは必要です。
リハビリをする事で病状の進行を遅らせる事ができたり、やりづらかった日常生活の行動が楽になる。
などの効果が表れます。
リハビリは行う事で結果はついてくるのには間違いありません。
目に見える結果を感じるのがおそいかもしれませんが、効果があるのは間違いないのです。
という事で、筋ジストロフィーにもリハビリが必要なのです。
そこで、今回は筋ジストロフィーとリハビリというテーマで話していきます。
この記事を読むと得られるメリットは
という3点があります。
|
今回の内容を読んで、筋ジストロフィーのリハビリについて知っていただけたら幸いです。
では、本日もよろしくお願いいたします。
1 筋ジストロフィーに有効なリハビリとはなにか?

まず、核心部分である具体的なリハビリについて解説していきますね。
1-1 関節可動域運動をしよう
筋力が低下してくると、十分に関節を動かすことができなくなります。
その結果、筋肉が短縮(短くなる)したり、関節周囲の組織が固くなったりすることで関節が伸びなくなる場合があります。
それを拘縮(こうしゅく)と言って、この拘縮を起こす事があります。
で、
筋ジストロフィーには様々なタイプがありまして。
その中の一つである、デュシャンヌ型筋ジストロフィーという分類だと、特に拘縮を起こす割合が高く、関節可動域を保つための運動が重要となってきます。
関節は一旦固くなってしまうと、改善させることが難しくなります。
なので、早い時期から対策を行っておくことがポイントとなります。
筋ジストロフィーの種類については、
- デュシャンヌ型(幼児期に多い)
- ベッカー型(発症がおそい)
- 筋強直性筋ジストロフィー
- 先天性筋ジストロフィー(福山型)
- 肢帯型筋ジストロフィー
- 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
という事で、
比較的初期からハムストリングス、下腿三頭筋、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)の短縮は起こりやすいので、この点に配慮してストレッチなどを行うと良いでしょう(筋肉の損傷に注意)。
特に腸脛靭帯は、膝・足関節にも影響を与えるので、重要なポイントと捉えてください。
![]()
下腿三頭筋のストレッチ例
出典: 厚生労働省精神・神経疾患研究開発費
筋ジストロフィーの集学的治療と均てん化に関する研究「筋ジストロフィーのリハビリテーション・マニュアル」
1-2 筋力トレーニングをする
筋肉は使いすぎると、筋力が低下することがあります(過用性筋力低下、オーバーユース)。
これは健康な筋肉でも起こり得ることです。
筋肉に障害が生じる筋ジストロフィーにおいては、これに注意しなくてはいけません。
身体機能を向上させるための運動は必要ですが、ハードすぎると筋肉にダメージを与えてしまい、逆に悪化させてしまう場合もあるのです。
なので、負荷が強くなりすぎないように調整しながら行うようにする必要があるのです。
で、
目安としては、運動中や翌日などに筋肉痛が出ない程度となります。
痛みが出る場合は負荷が強すぎると判断し、運動量を少なくしましょう。
運動に対する意欲が低下している場合は、遊びやレクレーション、スポーツを通した運動をトレーニングとするなど、工夫を加えましょう。
1-3 日常生活動作運動の練習
日常生活を自力で行うことは、自立した生活を送るために必要でしょう。
筋力低下によって動作が難しくなった場合は、代替の方法を用いたり、補助用具を導入したりして、できるだけ自立した生活ができるようにサポートします。
行動範囲を維持するという目的のために、移動の訓練を行うことも大切で。
その為には、安全な歩行を行う為に、装具や歩行補助具、ヘッドギアなどを用いるなどして。
工夫を加えましょう。
また、
歩行による移動が実用的でない場合は、車いす(電動車いす)を利用することも検討の一つです。
車いすの操作方法に慣れておくこともQOLを維持するためには大切な要素と言えるでしょう。
では、ここで、日常生活動作維持のための工夫例をご紹介しますね。
B.F.O(Balanced Forearm Orthosis)と呼ばれるものです。
筋力が低下した状態で、手の動作を行いやすくします。
B.F.Oの例
![]()
出典:Technotools
また、
コミュニケーションツールとしてのスイッチなどもリハビリによって工夫されたものが多く作り出されたりしています。
スイッチの1例
ピンポンスイッチ
![]()
出典:「筋ジス患者の使いやすいスイッチ・コントローラーの工夫」
筋ジストロフィー患者のケアシステムに関する総合的研究
PT・OT共同研究連絡会
1-4 姿勢・動作の見直し
良い姿勢を維持するのには最低限の筋力が必要です。
したがって、
筋力が低下すると良姿勢の保持が難しくなってきます。
さらに、姿勢の崩れは関節可動域の制限(関節拘縮)や関節の変形に結びつく場合もあります。
なので、
姿勢が崩れないように意識をする。
事は大切であると言えます。
で、良い姿勢を保つための方法として。
鏡で自分の姿勢を確認しながら、できるだけ良好な姿勢を保持する練習をします。
そこで、
どうしても良い姿勢を保持できない場合は、ベルトやクッション、台などの補助用具を使用して、筋力の不足分を補いましょう。
これをするだけで、
【良い姿勢を保持する為の腹筋や背筋は鍛えられます】
なので、良い姿勢を保持する練習だけで、良い姿勢は維持できるのです。
その中で、脊柱の側弯が起こることもあります。
これに対しては、体幹装具や姿勢保持装置などで予防・対処するしかありません。
骨の変形には勝てないので、進行予防を目的として行います。
車いすが必要になった時は、車いす上での姿勢を良好に保つために、シートの形状を整えたりすることもしましょう。
動作についても、効率的な動作の方法を身につける努力をしましょう。
この部分は、私達、リハビリのプロに聞いてください。
お伝えできますので。
また、
必要に応じて筋力が保たれている部分の力を使った代償動作などを修得します(ただし、筋肉に無理な負担がかからない様に注意します)。
以上がリハビリの内容と言えるでしょう。
参考にして欲しいです。
2 リハビリの必要性を語る

ここでは、リハビリの必要性を語りたいと思います。
筋ジストロフィーに対するリハビリの必要性は高く、様々な面からアプローチするものです。
以下にリハビリの必要性、リハビリの目的について主なものをお伝えしますね。
リハビリの目的 |
|
などと。
生きていく上で必要な事全てに関して応用していかなくてはいけません。
なので、リハビリが必要と言えます。
3 本当にリハビリで治るのか?

筋ジストロフィーに対するリハビリテーションの効果についてお伝えします。
まず、治るか、治らないか?というと。
治る可能性は低いかなぁと思います。
難病疾患であるが故に原因の解明がされていませんし。
改善した。
という報告もありません。
もしかしたら、改善した人もいるかもしれませんが・・・・
なので、リハビリで筋ジストロフィーは治る。
って言ってしまうと、それは嘘になりますし。
治るのであれば、全世界中の筋ジストロフィーの患者さんが治っているでしょう。
これを踏まえて話していきますね。
3-1 治るとは言えない。
病気の本質的な部分(遺伝子)に対して、リハビリの手技、アプローチを施すことはできませんので、病気そのものを治すことはできません。
筋ジストロフィーは遺伝子レベルでの原因であるため、病気を治すためにはそのレベルでの治療が必要ということになります。
ただし、リハビリによるアプローチと現代のテクノロジーを利用することで、質の高い人生を送ることが可能だと言えます。
平均寿命を延ばす効果もあることは言うまでもありません。
なので、リハビリで治す。
というよりは、
【病状の進行を遅らせる】
【今できない行動をできるようになる】
【少しでも生活が楽になれるようにする】
といった事がリハビリの目的として言えるでしょう。
3-2 症状の進行を遅らせるのが目的
前項でも少し触れましたが。
病状の進行を遅らせるのがリハビリの主な目的の一つです。
リハビリを行わなければ、拘縮や変形、筋力低下が早く進行し、日常生活動作遂行が困難となる場合もあります。
さらに、呼吸機能が低下して生活の質が下がり、寿命も短縮してしまう。
というケースもあります。
リハビリは障害に対する予防と、その時に患者が持っている能力を最大限に生かせるようなアプローチを行います。
その結果、可能な限り症状の進行を抑えて、生活の質を低下させないようにすることができると言えます。
なので、
筋ジストロフィーでも、リハビリを行い、病状の進行を遅らせるように取り組むのは必要と言えるのです。
4 日常生活がもうリハビリのような物である

生活しているだけで、それがリハビリみたいなものである。
という考え方もできます。
- 立つ事が辛い
- 歩くのが痛くてできない
- 物を上に持ち上げるのが難しい
など。
これらを。
- 立つのが辛いから、楽に立てるように足の力を鍛える、関節の柔軟性を改善する
- 歩くのが痛いから、痛みを治して歩けるようにする
- 物をもちあげられないから、腕の筋力をつけて、ストレッチをして持ち上げられるようにする
といった事がリハビリの内容になります。
つまり、
できない、難しい事をできるようにする事がリハビリになります。
その中で、
そもそも、日常生活を送る事自体が辛い、難しい場合は、日常生活を送ろうとする行動自体が練習となっている。
という意味です。
なので、
筋ジストロフィーの場合は、生活自体がリハビリでもあり、日常生活でもありますよ。
といった。
元も子もないようなお話なのです。
しかし、
これが事実であり、実際でもあるので。
リハビリと生活を分ける必要はなく。
リハビリにも取り組むし、日常生活も一生懸命送る。
という考え方がいいのかなぁと思うのです。
これも参考にしてほしいと思います。
5 常に最新の治療薬の研究はされている


※ 理学療法士イワモトの意見・考え ※
アメリカではデュシャンヌ型筋ジストロフィーに対する治療薬が承認されています。
遺伝子に働きかけるタイプです。
国内でも、この種の研究が行われていて、「エクソン・スキップ療法」と呼ばれています。
まだ課題が残されているようですが、今後期待できる治療法です。
その他、ウィルスベクターを用いた遺伝子治療の研究も行われていて、動物実験では効果を認められたものもあるようです。
また、再生移植治療も注目されています。
現代においては遺伝子レベルの研究が盛んに行われて、今までは原因がわからなかった病気も徐々に解明されるようになってきていています。
日本では優れた研究がなされていますので期待が持てますが、実用的な治療方法として承認されるまで長い年月を要します。
近年特例が設けられ、新薬が承認されるまでの時間がかかる「ドラッグ・ラグ」は解消されつつあります。
さらに承認のスピードがあがれば、治療に対して、もどかしい思いをすることが少なくなるのではと感じます。
6 まとめ
今回は筋ジストロフィーに対するリハビリについてお伝えしました。
筋ジストロフィーに対しては様々な側面からリハビリのアプローチを行います。
拘縮・変形の予防、筋力の維持、姿勢・動作の改善、自助具や福祉用具の使用・調整、精神面への援助など様々なものがあります。
やれる事は沢山あるし、やらなくてはいけないことも沢山あります。
その対象者様それぞれなのです。
リハビリは生活と直結したものです。
生活の質を保ちながら、日常の生活を行っていくこと自体がリハビリともいえます。
今日、治療やリハビリの場面で最新のテクノロジーが活かされるようになってきましたが、リハビリの必要性は今後もなくなることはないでしょう。
あなたの病状が少しでも良くなる事を望みたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林

※ 編集を終えて・最後に ※
この記事を通して、筋ジストロフィーと診断された方の力に少しでもなれたらと思っています。
筋ジストロフィーと診断されて、一生懸命生きている人が沢山います。
自分の病状が進行性である事を知りながらも、必死で楽しく生きている人がいるのです。
それを知ると、五体満足が当たり前になっている我々って・・・・
なんでしょうね。
五体満足は恵まれているんだよ。
と考えさせられませんか・・・。
苦労もなく歩ける、立てる、息を吸える。
それが当たり前になっている我々。
確かに、五体満足なのが、大多数ではありますが。
ちょっと、このような考え方や思い込みを変えるべきかなぁと思うのです。
五体満足ではない方も沢山いる。
この事実をもっと沢山の人に知ってほしいかなぁと。
勿論、五体満足ではない人が沢山いる事を知っている人もいるでしょう。
全ての人がそうである。
と言っている訳ではありません。
今回は、筋ジストロフィーとリハビリをテーマにして。
難病疾患を患って、五体満足ではないけど、必死に一生懸命生きている人がいる。
という事実を少しでも多くの人に知ってもらいたいなと思うわけです。
という事で、本日も最後までありがとうございました。


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皆様こんにちは、mamotteライター理学療法士のイワモトです。
筋ジストロフィーは特定指定難病の1つですが、リハビリテーション(以下リハビリ)の必要性が高い疾患です。
今回は、なぜ筋ジストロフィーにリハビリが必要なのか、有効なリハビリにはどのようなものがあるかについてお伝えします。
筋ジストロフィーのリハビリの参考にしていただければ幸いです。