

執筆者・運営者は、理学療法士や作業療法士のリハビリテーションに関する国家資格を取得して、実際の現場で学んでます。
記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持ったセラピストの意見です。
共感できる部分は共感して頂き、納得できる内容は納得していただけると幸いです。
また、記事の内容は自信を持って提供していますが、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。
世の中には、沢山の治療方法、治療スタイルや考え方があって。
個人的な意見や見解も沢山あり、どれが正しくて、どれが間違っているのか?
これは、個人の解釈によって大きく違ってきます。
ここで言えるのは、実際に試してみないとわからない。という事です。
【100%これが正しい】という意見はないと思っています。
人それぞれの見解があるので、ここで紹介している内容やお話も個人の理学療法士としての意見である事を踏まえていただきたいと思います。
そして、この記事があなたの役に立てば幸いです。
1 筋ジストロフィーの治療はリハビリが効果的。作業療法士が語る

筋ジストロフィーの治療としては、投薬(薬物)療法とリハビリテーションが中心になります。
現在、筋ジストロフィーに対する根本的な特効薬は残念ながらないとされています。
しかし、研究や開発が進み、様々な新薬が開発されているのも事実です。
その中で、今できる治療をしっかりと継続して行っていくことしかありません。
その1つの有効な方法として、リハビリテーションがあります。
私は作業療法士として、筋ジストロフィーの方を担当した経験の中で、リハビリテーションは有効だと感じています。
リハビリは、【やらないより、やったほうがまし】なのは間違いありません。
なので、リハビリテーションには取り組んでほしいと思います。
これより、理学療法と作業療法について紹介していきます。
参考にしてください。
【理学療法】
筋ジストロフィーの初期段階には、拘縮や変形予防のための関節可動域訓練、また、転倒予防対策が中心に行われます。
筋ジストロフィーは、進行性の病であり、少しづつ、日常生活動作が難しくなってしまう。
といった特徴があります。(期間は人それぞれ違います。)
病気の進行に伴い、装具や電動車いすの導入や使い方の訓練などによる生活範囲の維持を目指したプログラムを行っていきます。
筋ジストロフィーは、最終段階的に、自力で呼吸をする事が難しくなってしまう場合もあります。
その為に、肺を柔軟にして、健康な状態に保つことを目的に呼吸器リハビリテーションも行います。
筋ジストロフィー症は進行性の疾患ですので、徐々に体力が衰える傾向もあります。
できることが限られてくるといわれています。
ですが、生活範囲は無理のない範囲で、遂行していただき、大きな制限は強制していません。
また、筋力増強を目指した筋力トレーニングは、過度に筋肉を使いすぎてしまう可能性もあり、筋肉を痛めるリスクが高いので、身長に進めていく必要があります。
病気の進行に伴い、脊椎・胸郭の変形が強くなると、座位保持が困難になり、呼吸への影響が大きいなどの問題から手術による矯正もする場合があります。
参考にしてください。
【作業療法】
理学療法と同様に、早期には拘縮や変形の予防を目指した関節可動域訓練や転倒予防へのアプローチを行います。
作業療法としては、摂食嚥下訓練、社会参加の支援を目的としたIT訓練などが中心となります。
- 飲み込みの練習
- 発声の練習
- 手指の細かい動作練習
- パソコンを打つ、物を作る
など。
実用社会生活をしていく上で、動作獲得の練習などを行います。
健康維持やQOL(生活の質)を維持していく目的になります。
筋ジストロフィーは、症状が進むにつれて、嚥下機能や咀嚼機能が衰えるといわれています。
嚥下や咀嚼が衰えると、十分な栄養摂取が困難となります。
食べ物や唾液が気管に入ること(誤嚥)が起こるようになり、誤嚥性肺炎や窒息などのリスクも高くなります。
なので、現在の症状の評価を十分に行い適切な食物形態での食事を勧めていけるように訓練します。
誤嚥のリスクが高い方には経管栄養や胃瘻造設などを検討し、本人や家族にたいする指導も行います。
長期間にわたる在宅生活になるため、予期せぬトラブルや災害が起こることも考えられます。
その場合でも非常時に備えた救急対応訓練や、電源や予備物品の確保、家族や医療機関との連絡方法などの手順を一緒に確認しておく必要はあるでしょう。
ベッドサイドに手順シートを貼っておく。
緊急連絡先のリストを作っておくなども有効かもしれません。
参考にしてください。
2 筋ジストロフィーの進行を防ぐ3つのポイント

筋ジストロフィーは、進行を遅らせる・防ぐ。
事が主に目的になります。
その中で、3つの重要点があります。
- 呼吸機能の低下
- 心肺機能の低下
- 嚥下機能の低下
この3つが重要な点だといえます。
下記に3つの重要点について、紹介していきます。
重要点①【呼吸機能低下・進行予防】
呼吸筋力が低下することで、有効な咳ができなくなり、適切に排痰ができなくなります。
さらに、肺胞換気量が低下することで、呼吸困難を起こしやすくなるといわれています。
呼吸機能の低下や進行を防ぐ方法としては、定期的に呼吸器の評価を行い、呼吸リハビリテーションをしていくことが大切です。
その段階にあった訓練方法や介助法(機械を使用するなど)を指導してもらい、安全な生活が送れるように備えておきましょう。
また、リハビリスタッフと一緒に咳をする訓練や、呼吸訓練を行う事は有効だと言えます。
重要点②【心機能の低下・進行予防】
筋ジストロフィー症では、運動機能の低下や呼吸器の装着などで心機能の低下が見つかりにくいことが多いのが特徴です。
このような場合でも、感染などで負荷が高くなると、心不全の悪化をきたして重篤な事態に至ることがあります。
定期的な評価で経時的な変化を把握して適切な投薬や生活指導などを受けるようにしましょう。
具体的には、心機能低下については心保護剤を中心とした対応を行います。
不整脈については薬剤のほか、ペースメーカーや除細動器、心臓カテーテルによる焼灼術が適応になることもあります。
重要点③【嚥下機能の低下・進行予防】
咀嚼・嚥下能力が低下すると、十分な栄養が摂取できず、食べたものや唾液が気管に入る誤嚥という状態になることがあります。
普段の様子や嚥下機能評価を参考に、嚥下訓練や食形態の調整、補食等を調整していきます。
十分な栄養摂取が困難な場合や、誤嚥リスクが高い場合は経管栄養や胃瘻造設も検討していきます。
状態によって、医療的処置も変わってきます。
日々の体の変化を確認していく事が必要です。
これらの3つの機能障害を予防する事で、進行を遅らせる事が可能になると言われています。
ですので、日々の生活やリハビリテーションとして練習をする中で意識して、行ってほしいなと思います。
3 筋ジストロフィーの治療費はどうしているのか?

筋ジストロフィーは難病に指定されており、その治療の過程は長期にわたります。
長く治療を行っていく中で、治療費、医療費も気になるところかと思います。
治療費も高額になることがほとんどで、ご本人さんやご家族の負担は大きくなってしまう現実もあります。
難病や高額医療に対する助成や制度もどんどん検討されてきているので、このような制度を駆使していきましょう。
という事で、実際にどのような制度があるのか?
簡単に紹介していきます。
制度その① 高額医療費請求制度の使用
これは、簡単にいうと同一月(1日~末日まで)医療費が一定の金額を上回ってかかった場合に、必要書類を提出することで超えた分が払い戻されるというシステムです。
必要書類とは、『健康保険高額療養費支給申請書』というものです。
診療報酬書などの添付が必須になるので、検討される場合はしっかりと領収書などの保管が大切です。
また、払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書の審査を経て行います。
なので、診療月から3ヵ月以上かかる場合があります。
請求してから払い戻しまで時間がかかるため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付する「高額医療費貸付制度」という制度もあります。
是非、参考にしてください。
制度その② 難病医療費等助成について
現在、難病とされている病名数も増えてきているようです。
このように難病にかかっている患者さんの医療費負担を軽くすることを目的として導入されたのが『難病医療費助成制度』です。
医療費助成の対象となるのは、原則として「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の場合です。
確立された対象疾病の診断基準とそれぞれの疾病の特性に応じた重症度分類等が、個々の疾病ごとに設定されています。
ここで重要となるのが、『どのくらい重度であるのか』ということになります。
指定難病の患者であっても、症状が軽いと助成は受けられません。
しかし、症状が軽くても、高額な医療費がかかる治療が継続して必要な人は「軽症者の特例」として助成が受けられることがあります。
なので、都道府県の担当窓口(保健所や健康センター)に問い合わせてみるとよいでしょう。
助成をうけるにあたって一般的な流れは、
- 申請…必要書類を各都道府県の担当窓口へ提出する
- 都道府県による審査…病状の程度が基準に達しているか、などの審査を行う
- 都道府県から医療受給者証の交付…審査の結果、基準に達していると認められた場合に交付される。
といった流れになるので、有効活用してみるのがいいでしょう。
4 まとめ:筋ジストロフィーにはリハビリテーションは必須、がんばって取り組もう
筋ジストロフィーは、まだまだ研究途中の段階で、はっきりとした原因や予防策、治療法がわかっていません。
しかし、日々研究は進んでいることも事実です。
その中で、投薬療法やリハビリテーションが中心になります。
リハビリテーションの内容は、症状の進み具合やできる動作によって変わってきます。
ここは、治療担当者と相談しながら進めていきましょう。
そして、今できる最大の治療や支援をしっかりと受けられるよう、家族や周りの方も正しい知識をもつことが大切です。
医療費は高額になることがほとんどです。
使える制度を駆使しながら、治療や医療負担の軽減を図りましょう。
国も様々な施策を検討・導入しているのは事実です。
まだまだ、足りていない事は多いのかなと思いますが。
今できる事を全力で行うという気持ちが良いのかなぁと思います。
今回の話があなたの役に立てたら嬉しく思います。
本日も最後までありがとうございました。
執筆者:mamotteライター 作業療法士 はるまま
追記&編集:mamotte運営管理者 理学療法士 平林
筋ジストロフィーの遺伝について。
筋ジストロフィーとはなんなのか?といった記事も参考にしてください。


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作業療法士で2児のママ、mamotteライターのはるままです。
今回は、筋ジストロフィーについて。
筋ジストロフィーに対して、リハビリが効果的だ!!
という事をお伝えする内容です。
このような事を含めてお伝えしたいと思います。
この記事を読めば
◎ 筋ジストロフィーの治療には、リハビリが効果的であり、病状の進行予防につなげる事ができる。
といった事が理解できるかと思います。
是非、参考にしてほしいです。
では、本日もよろしくお願いいたします。