※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いない部分もあります。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたら嬉しいです。
ですので、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、リハビリテーションの専門家の意見や見解である。
というように捉えてほしいと思います。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
是非、宜しくお願いいたします。
こんにちは。
mamotteライターで理学療法士のイワモトと運営者で理学療法士の平林です。
- 「首が痛い!」
- 「腕、手がしびれる!」
- 「肩が張る・凝る」
- 「なんか、腕や手に違和感を感じる」
など。
今、あなたはこのような症状ではありませんか?
もし、このような症状を感じていれば、もしかしたら、頸椎(けいつい)の椎間板ヘルニアかもしれません。
ヘルニアという言葉は聞いた事があると思います。
ヘルニアは首に起きる可能性もあるのです。
そこで、今回はこの頸椎椎間板ヘルニアについて紹介していきたいと思います。
頸椎椎間板ヘルニアは、あまり馴染みがないので、知らない人も多いでしょう。
頸椎とは、首の事を言います。
この首のヘルニアも腰のヘルニアになってしまう原因と一緒です。
悪い姿勢であったり、首への過度な負荷が原因で首のヘルニアになってしまうのです。
しかし、この首のヘルニアも治す事が可能です。
正しい知識と適切な対処の仕方であなたの辛い症状を治す事ができるのです。
今回は、この首の椎間板ヘルニアを治す為に必要な考え方をお伝えしたいと思います。
肩が痛い・凝る、腕が痛い・しびれる、手がしびれる。
などの症状でお困りのあなたの役に立つ内容かと思います。
是非、最後まで読んでいただきたいと思います。
それでは、本日もよろしくお願いいたします。
1 首の椎間板ヘルニアとはなにか?
脊柱(背骨)は椎骨(ついこつ)という骨が連結することで構成されています。
魚の骨を目にする機会があると思いますが、魚の背骨もよく見ると小さな椎骨が多数連結していますよね。
その小さな骨のつながりが背骨なのです。
そして、
人の椎骨と椎骨の間にはクッションの役目をする椎間板という円盤状のものが存在します。
この椎間板の外側は丈夫な組織(線維輪:せんいりん・という物質)でできています。
その内部には髄核(ずいかく)という水分の多い、ゲル状の物質が入っています。
人が起きて活動している間、この椎間板には常にストレスがかかっている状態です。
過剰なストレスや椎間板の老化などにより損傷してしまう(外側の線維輪が破れるなど)のです。
そうすると、内部にある髄核が繊維輪の破れた部分から飛び出してしまいます。
このような状態を椎間板ヘルニアというのです。
腰で起こることが多いですが、首で起こるのを頸椎椎間板ヘルニアと呼ぶのです。
飛び出した髄核は椎間板の後側を通っている脊髄や、脊髄から枝分かれした神経根(しんけいこん)を圧迫することが多く、痛みやしびれなどの原因となります。
また、首の神経は肩・腕・手を動かしたり、感覚を支配しています。
首のヘルニアになると、肩・腕・手が痛くなったり、しびれたりするのです。
こういった、状態が頸椎椎間板ヘルニアです。
是非、覚えておいてほしいと思います。
2 完治するのは難しいのか?
頸椎椎間板ヘルニアは、一般的には完治が難しい(しびれなどの後遺症が残りやすい)と言われている疾患です。
これは、首という繊細な箇所なので、誰も治療方法を知らない。
という事がいえるでしょう。
腰でも、首でもヘルニアになってしまうと、神経を圧迫することで症状を引き起こします。
この、「神経を圧迫」というところがポイントです。
神経は弱く短時間の圧迫であればもとに戻ります。
正座の後のしびれは強いですが、しばらくすると完全に消えますよね。
これは、神経が回復できる限度以内の圧迫で済んだからです。
その他に例を挙げると、腕枕をしていて手がしびれた(軽い麻痺した)ということなどがあります。
脳梗塞は血管がつまって血が流れなくなることで起こりますが、短時間で血流が回復すれば、一過性の脳虚血発作として脳は回復し後遺症はほとんど残りません。
しかし、一定時間以上血流が遮断されると、脳の神経細胞は死んでしまい、回復できない後遺症(麻痺など)を残してしまいます。
このような神経の性質が、完治することを難しいものにしています。
逆に考えると、神経への圧迫が短時間であれば完治するということになります。
これは間違いない事実です。
現実的に完治が難しくなっているのは、神経への圧迫が長時間に及んでいるということになります。
これにはいくつか理由が考えられます。
第一に、症状の出始めた方が、頸椎椎間板ヘルニアの症状であることに気づかず、専門医の診察を受けていないということがあります。
寝違いのような症状や、わずかに手がしびれるなどの症状は日常の生活に影響が少なく、仕事を休んでまで早急に病院へ行くまでに至らないことが多いと思います。
「しばらく様子を見てみよう。」
よくある判断ですよね。
しかし、この思考が良くないのです。
この時点で神経への圧迫が起こり始めています。
症状がひどくなってあわてて受診したころには、すでに圧迫が長期化してしまっています。
そして、もう手の施しようがない・・・・・みたいな。(実際には、治る可能性もありますが。)
第二に、痛みやしびれの症状で受診し、椎間板ヘルニアは見つかったけれど、鎮痛剤などで症状を抑えるだけで、根本的な対策を行わなかった場合です。
痛みを抑えると、楽になるので無理をしてしまい、ヘルニアを悪化させてしまう危険もあります。
痛みを止めて仕事をするための投薬ではありません。
ヘルニアの対策をせず、同じ生活を繰り返してしまうと、神経への圧迫は長期化します。
第三に、手術のリスクを考えると手術を受ける決心がつかないということもあるでしょう。
手術を受けるまでの期間が長くなると、神経への圧迫はそれだけ長期化します。
頸椎椎間板ヘルニアの症状を知って、似た症状が出たらすぐに専門医の診察を受け、なおかつ適切な対策をすぐに実行に移すことで完治の可能性が高くなります。
是非、覚えてほしいと内容です。
3 注射や投薬では治らないのか?
では、注射や投薬などではどうでしょうか?
消炎鎮痛剤やブロック注射は主に疼痛をコントロールするために使用されます。
疼痛が軽減されても、飛び出した髄核自体がなくなるわけではありません。
なので、根治治療とは言えません。
薬の二次的な効果として、疼痛を軽減することにより正常な脊柱の動きが改善され、結果的にヘルニアの症状が軽くなる場合もあるでしょう。
薬で症状が楽になると、無理をしてしまってさらにヘルニアを悪化させる危険もあります。
注射、投薬をしている間に、姿勢の改善、日常生活動作の改善なども並行して行うとヘルニアは改善の方向へ向かいます。
なので、薬だけに頼らないようにすることが大切です。
4 首の椎間板ヘルニアの手術は危険なのか?
では、頸椎椎間板ヘルニアの手術は危険なのでしょうか?
頸椎椎間板ヘルニアの手術に限らず、手術には多かれ少なかれ必ず危険があります。
ただ頸椎の場合は中枢神経である脊髄付近であること、食道、気管、血管、神経などが近くにあることなどの不利な条件があるため、リスクはその分高くなるでしょう。
完璧に手術は成功しても脊髄が腫れて、脊髄の圧迫を引き起こしてしまうことなどのまれな反応が起こることもあります。
多くの手術を行っている医師もいらっしゃいますので、病院は限られますが、低リスクで行うことは可能だと考えられます。
5 リハビリで治るか?気休めなのか?
次に、リハビリで治す事ができるのか?
考えてみたいと思います。
手術を行わない場合に最も有効な方法がリハビリ(ここは治療的訓練の意味)です。
全く気休めではありません。
- ヘルニアが起こった原因
- 頸椎の状態(アライメント、可動域)
- 姿勢
- 筋力
- 日常生活(仕事含む)
などを広範囲にわたって評価し、適切なプログラムを作成し実施します。
手術を行う必要のない状態では、このリハビリで行う治療的訓練は非常に有効だと思います。
何よりも、我々、理学療法士は実際に経験もしています。
【頸椎椎間板ヘルニアと診断された患者さんの症状を改善させた】
という経験、実績などがあります。
もちろん、病院によって専門性があるので、頸椎疾患を専門的に行っているところでリハビリを行うとより高い効果を望めます。
そのようなリハビリ施設をさがすのも良いでしょう。
※ 理学療法士 イワモトの意見・考え ※
頸椎椎間板ヘルニアだけでなく、疾患の症状やその症状が出たときにどう対処すればいいのかということを一般の方は知らないことが多いように感じます。
もっと早く対策していればここまで悪化しなかったのではと思うこともあります。
学校教育の保健体育教科において、学習する対象疾患の種類を増やし、疾患の症状や対処法など医療的な部分を強化していただければよいのではないかと感じます。
症状を知っていれば適切な行動がとりやすくなると思います。
将来のある若い方が後遺症に悩まされるのを見るとつらいです。
リハビリは効果(治療的)があるとお伝えしましたが、大きな治療効果がなく、気休め程度ととらえられる場合があるのも事実です。
発症して初期、改善の可能性のある時期に医師からの指示でリハビリを開始すると効果があるのですが、
手術をして数か月経過したのに麻痺やしびれが残っているという理由で処方が出されたとき、正直なところ治療的な効果は得られないことが多いです。
もちろん患者さんは貴重な時間を割いて改善を求めて病院に来られるわけですから、リハビリの効果にも期待されます。
しかし、神経の特徴でお伝えしたように、神経の回復には限界があります。
ある限度以上の損傷を受けると、リハビリをしても治すことができず後遺症が残ります。
リハビリでは、回復できるものには主に機能回復訓練を行いますが、回復が困難な場合は、残された機能を最大限利用して社会復帰するための訓練に重点を置くようになります。
社会に復帰することがより重要と考えた方法です。
例えば、
箸が使いにくければ補助箸を使う練習をする、歩行障害があるなら歩行補助具を使用して歩行訓練するという考え方です。
もちろん回復する可能性はゼロではありませんから、機能回復訓練も並行して行うのですが、麻痺やしびれの改善を体感できない場合も多く、患者さんからすれば、「リハビリしても治らない」「気休め」と感じることとなります。
こうしたところで治療者側と患者さん側でのリハビリの目的のギャップに悩むことがあります。
6 まとめ
今回は頸椎椎間板ヘルニアについてお伝えしました。
この疾患は完治が難しいと言われていますが、早く対策をすることで完治の可能性が高くなります。
症状に気づいたら、症状が軽くても検査を受けて適切な治療を開始することが重要です。
症状が出始めたら、それまでと同じ生活を行わないことです。
治療的な姿勢、動作を心がけ、首への負担を軽くしましょう。
なによりも、発症前から対策(首へ負担をかけない)をしておくことをお勧めします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆者:mamotteライター 理学療法士 イワモト
編集・追記:mamotte運営者 理学療法士 平林
※ 編集を終えて:最後に ※
頸椎椎間板ヘルニアと診断されても、不安にならないでください。
頸椎椎間板ヘルニアも、手術をしなくても治す事は可能だと言えます。
というのも、私が実際に何人もの頸椎のヘルニア患者さんを治してきた経験と実績があるからです。
これは、私がすごいわけでもなく、治療方法のシステムに沿って、施術をした結果と言えます。
で、何が言いたいのかというと、不安にならずに、まずは、どうしたら今の症状を治す事ができるのか?
という事を考えましょう。
というのを伝えたいのです。
自慢をしたいわけでもなく、本気でリハビリだけでも、頸椎椎間板ヘルニアは治せるのです。
で、手術は、最後の最後の手段にしましょう。
というように、考えた方が良いと思うわけです。
このような思考の方が増えれば、首のヘルニアで悩む人が少なくなるのではないかなぁと思うわけです。
是非、参考にしてほしいなと思います。
前の記事はこちら → 頸椎椎間板ヘルニアについての治療を紹介しています。
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※ 理学療法士 イワモトの考え ※
参考までに、根本的な治療薬として、飛び出した髄核を溶かすコンドリアーゼという薬が開発されています。
しかし、日本では承認待ちの状態であり、病院でこの薬を使用することはできません(2018年1月現在)。
米国でもまだ承認をうけていないようです。
コンドリアーゼは髄核の成分のみを分解する酵素です(他の組織への影響が少ない)。
髄核を分解することで、除圧して神経への圧迫を軽減します。
効果には不十分な点もある様ですが(米国の場合)、期待したい薬です。
これに効果があれば、手術で髄核を取り除くことなく、注射器での薬物注入で治療可能となりますね。
早期からこの治療を行い、髄核が縮小すれば完治の可能性が上がると考えられます(それ以外の対策も必要ですが)。
その他に日本で承認されていない治療法でキモパパイン注入療法があります。
こちらはタンパク質分解酵素で、髄核を分解します(その他のタンパク質へも影響があります)。
欧米では使用されているようですが日本では承認されていません。
アナフィラキシーショックなど重篤な副作用があるからかもしれません。
このあたりの髄核を分解する治療法は今後進化しそうです。
この治療法の場合でも的確に注射針を挿入する技術は必要ですし、リスクがないわけではありません。