椎間板ヘルニアの原因を理学療法士がわかりやすく解説する

ヘルニアの原因を理学療法士が追究した

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理学療法士 イワモト
こんにちは。

mamotteライターで理学療法士のイワモトです。

あなたは、椎間板ヘルニアと聞くと、どんな事を想像しますか?

  • 腰が痛くなって歩けなくなるやつ・・
  • 痛くてとにかく歩けなくなるやつ
  • よくわからないけど腰に痛みを感じる
  • 太もものうらにしびれを感じて、歩くのがしんどそう・・・
  • なんか、腰に痛みが起きてつらそう

など。

ざっくりと思う事から、細かい部分の症状まで思う人もいるでしょう。

とにかく、腰に痛みやしびれを感じて、辛くなる。

という感覚の人が多いのかなと思います。

実際に、椎間板ヘルニアは、腰や首に生じやすい病態であり、手や足に痛みやしびれ、感覚異常などを引き起こす原因にもなります。

軽い症状から、重い症状まで人それぞれです。

もし、あなたが今、手や足、首、腰が痛い、しびれるなど。

こういった症状を感じているのであれば、それはヘルニアになっているかもしれません。

そんな時はどうにかして治さないといけないですよね。

という中で、椎間板ヘルニの原因を知って、適切な対処を行えば症状を治す事ができます。

という事から、今回は、【椎間板ヘルニアの原因を知って、症状の改善に繋げよう】というテーマで話していきます。

この記事を読んで得られる事

この記事を読めば

◎椎間板ヘルニアの原因を知って、治療に役立てる事ができる

◎椎間板ヘルニアを治す為の方法について、理解できる

といった2点が考えられるでしょう。

是非、最後まで読んで、気になるところは繰り替えし読んでほしいと思います。

では、本日もよろしくお願いいたします。


理学療法士 平林

※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。

なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。

執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。

ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。

それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。

しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。

というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。

  • どれが正しくて、どれが間違っているのか?
  • どれが自分に適している治療なのか?

個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。

ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。

間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。

【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。

ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。

そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。

mamotteライターの紹介


1 そもそも椎間板ヘルニアの原因ってなに?

椎間板ヘルニアの原因

椎間板ヘルニアの原因はいくつかありますが、主には椎間板に負荷が加わってしまう事にあります。

その主なものが悪い姿勢です。

悪い姿勢が癖になったり、続いてしまう事で超時間の負荷が加わってしまうと、椎間板ヘルニアになりやすい傾向があります。

下記に椎間板ヘルニアになってしまう過程と座位姿勢について紹介しますね。

背骨の状態と椎間板ヘルニアが作られるまでの過程

人の姿勢は主に脊柱によってつくられます。

理想的な脊柱は前後から見てまっすぐ、横から見て緩いS字カーブを描いています。

理想的な背骨のイラスト

理想的な背骨のイラスト ※1

一方、悪い姿勢では、脊柱は緩いCのようなカーブを描いた状態になってしまいます。(※1-2 下記の座位姿勢のイラストを参照)

悪い姿勢は椎間板の前側を押しつぶしている状態となります。

そうなると、椎間板内部の髄核は外側へ押し出されてしまう力が働いてしまいます。

その結果、悪い姿勢を長時間取り続けてしまう事で、ヘルニアを起こしやすい状態になってしまうのです。(※2椎間板の内部・髄核の移動 イラスト参照)

椎間板ヘルニアのイラスト

 椎間板の内部・髄核の移動 イラスト ※2

日常的な悪い姿勢による背骨へのストレス

座位姿勢のイラスト

※ 座位 良い姿勢と悪い姿勢 イラスト ※

良い姿勢の例

  • あごを引く
  • 背筋を伸ばす
  • 程よく前を見る
  • お腹を軽くひっこめる

といったポイントです。

しかし、これを長時間保て!というのは無理です。

誰もが難しいと思います。

で、基本的にはこのような良い姿勢を意識するのだけど、無意識になってしまったら、姿勢が崩れるのは仕方ありません。なので、その時に、気付いたら、また良い姿勢を意識する。

といったような意識づけでいいでしょう。

悪い姿勢の例

  • せもたれに寄りかかり過ぎる
  • 背中を反りすぎている
  • 猫背の傾向が強い
  • 首が前にでてしまっている

など。

腰を反りすぎや丸まりすぎといった姿勢になります。

過度な運動負荷の積み重なり

自分の体を支えるだけでも椎間板には大きな力がかかっています。

おじぎをしただけでもその力はさらに大きくなり、骨のもろい方ですと骨折するほどの力がかかります。

物をかつぐ、運ぶ、長時間の中腰での作業などの過度な運動負荷は椎間板に大きなストレスがかかりヘルニアの原因となります。

また近年、若年層でも椎間板ヘルニアの発症が増えています。

これは、小学生や中学生など若年層の時からハードな練習を行うことによって、必然的に脊柱・椎間板に大きなストレスを与えてしまっているという事が言えます。

過度にスポーツを行うこともヘルニアの原因となってしまう場合もあります。

しかし、スポーツが必ず椎間板ヘルニアの原因になる。というわけではありません。

子供のころの過度なスポーツでも椎間板ヘルニアにならない人の方が多いので。

それほど気にしないでいいでしょう。可能性がある。という程度に思っておいてください。

遺伝の可能性もある

人の構造はほぼ似ていますが、若干個人差があります。

脊柱の構造も全く同じではなく、骨の強さや椎間板の強さなど様々です。

遺伝的な要因で、ヘルニアを起こしやすい状態となる場合もあるのです。

親、兄弟にヘルニアを罹った人がいて、特に腰に負担をかけることもしていないのにヘルニアになった場合などでは、遺伝的な原因も考えられるでしょう。

しかし、この遺伝の可能性だけを原因としてしまうのは良くありませんので、気を付けておきましょう。

背筋・腹筋の筋力低下

椅子に腰かけて力を抜いてみてください。

背中が丸くなりませんか?

逆に背筋をのばしてみてください。

腰のあたり、背骨の両側の筋肉に若干力が入っているでしょう。

このように、良い姿勢を保つためには若干の筋力が必要です。

特に脊柱を前後から支える背筋や腹筋は重要です。

強い腹筋はお腹の中の圧力(腹圧)を高めて内部から脊柱を支える作用があります。

これらの筋力が弱ってしまうと、脊柱を良い姿勢に保つことができなくなるのです。

背筋は背筋を伸ばす為に、常に僅かに力が働いている状態です。

なので、背筋の力がないと背骨が曲がったり、下っ腹が前に突き出たり、猫背になったりと。

悪い姿勢になりやすくなります。

腹筋・背筋の筋力は必要不可欠といっていいでしょう。

2 なんで椎間板ヘルニアは起きるのか?

椎間板ヘルニアは何故起きるの?

椎間板は脊柱(背骨)の椎骨(ついこつ)と椎骨の間にあるクッションのようなものです。

椎間板の中には髄核(ずいかく)というゼリー状のものが入っています。

この髄核が外側に飛び出したものを椎間板ヘルニアというのです。

腰椎ヘルニアの髄核の移動

椎間板の内部・髄核の移動 イラスト

椎間板に非常に大きなストレスがかかったり、長期間ストレスがかかり続けるなどで髄核が押し出されてしまいます。

老化などによって組織が弱くなっている場合はさらに起きやすくなります。

3 椎間板ヘルニアの原因は腰痛の約5パーセントという真実

腰痛の5%

まず、下記のイラストをご覧ください

腰痛の原因の図

腰痛の原因の図

意外だと感じられる方もいらっしゃるでしょうが、椎間板ヘルニアによって腰痛が起こることは少ない事がわかります。

椎間板ヘルニアによって起こるのは神経症状が多く、坐骨神経痛と言われるような、腰から離れた部位(足など)に痛みやしびれが出ることが多いです(首でヘルニアが起きれば、手にしびれが出たりします)。

腰部椎間板ヘルニアの人に腰痛が多いのも事実ですが、これは筋・筋膜性腰痛症などを合併していることも多いでしょう。

上記の図からもわかるように、腰痛の8割は原因が不明なのです。

ですので、腰の痛みだとしても、椎間板ヘルニアの可能性もありますし、そうでない可能性もある。

という事です。

また、腰に痛みがないからヘルニアではないだろうという判断は危険ですので安易に考えないようにしましょう。

4 日常生活で注意するべきポイント

日常生活で注意する点

日常生活での姿勢や動作が椎間板ヘルニアの原因となっている場合があります。

ポイントをお伝えしますので参考にしてみてくださいね。

ポイント① 姿勢の影響について

まずは姿勢です。

姿勢によって椎間板にかかるストレスが変わってきますので、良い姿勢を心がけましょう。

【運転時】

特に長時間続けて運転する方はヘルニアを起こしやすくなります。

骨盤が後ろ側に倒れて背中が丸くなりやすい

できるだけ背筋を伸ばすように意識します

 

しかし、長時間意識し続けるのには無理があるので、丸めたバスタオルなどを腰の後ろ側に挟む方法が有効です。

運転席専用のクッションも販売されていますので利用してもよいでしょう。

また時々休憩を取って、外で体を後ろに反らせるなどの体操も行いましょう。

【デスクワーク時】

長時間のデスクワークもヘルニアの原因になります。

基本的には運転時のポイントと同様です。

できるだけ背筋を伸ばすように意識します。

個人の椅子を持ち込んでよいのであれば、坐位姿勢を考慮して設計された椅子が販売されていますので、

このような椅子も考慮してよいでしょう。

また、オフィスの椅子用の腰痛対策クッションもあります。

立って体を後ろに反らすなどの体操の時間を設けることも必要です。

【長時間の立位時】

立位は坐位ほど姿勢を崩しやすくはないですが、それでも長時間になると椎間板にストレスがかかります。

坐位と同様にできるだけ背筋を伸ばして良い姿勢を保つ意識が大切です。

片足を台などにのせられる状態であれば、前側においた台(10㎝程度でも可)に片足をのせておくだけでも腰への負担が軽減されます。

しっかりとしたコルセット(できればオーダー品)を用いる方法もあります。

可能であれば、短時間でもよいので仰向けに寝たり、ストレッチを行ったりすると良いでしょう。

ポイント② 動作の影響について

動作の仕方は重要です。

特に仕事で物を持ち上げる、運ぶなどをする場合は注意が必要です。

日常生活でのちょっとした動作も意識して行いましょう。

なかなかできていないことが多いですよ。

【物を持ち上げる】

物をもちあげる動作もOKな動作とNGな動作があります。

知っておく事で、物をもちあげる際に役立つので知っておくと便利でしょう。

NG動作

  • 床にある物を持ち上げる場合、膝を曲げずに持ち上げてしまう
  • ごみを拾うときなどは手だけ伸ばして拾ってしまう

OK動作

  • 膝を曲げて腰を落として物を持ち上げる
  • 物が重い場合はできるだけ物と体を近づけて持ち上げる

ただし、膝を曲げると痛いなど膝に問題がある場合は無理に行う必要はありません。

膝を曲げる動作は大変ですが、このしゃがむ動作は下肢の筋力強化にもなりますので、腰と脚、両方に効果があります。

【高い物を取る】

高い所にあるものを取る動作も腰に負担がかかります。

面倒でも踏台や脚立などを使って、できるだけ手を伸ばさないで取ることが基本です。

<踏台がない場合のポイント>

  • 足を一歩前に出す
  • 足をのせるところがあればのせる
  • 片方の膝を壁につける

上記のように片方の股関節を曲げる工夫をすると負担が少なくなります。

【体をひねる】

特に物を抱えたまま体をひねる動作は腰に負担がかかります。

例えば、荷物の積み込み、積み下ろしなどの動作には、このひねる動作を伴うことが多いでしょう。

この動作は避けた方がよいので、できるだけ体をひねらず、足を動かして体全体の向きを変えるようにしましょう。

特に重いものを抱えているときは注意が必要です。

ポイント③ 体重管理や筋力UPなど

姿勢や動作以外にもヘルニアの予防・改善のポイントがあります。

【体重管理】

やはり体重が重くなると、それに比例して椎間板にかかる負担が大きくなってしまいます。

体重に応じて椎間板が強くなってくれればよいのですが、そうはなりませんので、肥満を避けてできるだけ適正体重を保つことが必要となります。

【筋力低下の予防】

背筋や腹筋の筋力低下が原因で姿勢が悪くなったり、力を入れる時に十分な腹圧が得られなかったりして腰に負担がかかることがあります。

また下肢の筋力が低下すると、しゃがみ込む動作がしにくくなり、腰に負担のかかる動作になってしまうことがあります。

背筋や腹筋などの体幹筋、下肢の筋力低下を予防することで、ヘルニアの予防につなげることができます。

理学療法士 イワモト
※ 理学療法士 イワモトの意見・考え ※

病院で整形外科の医師とセラピストの間で椎間板ヘルニアのリハビリテーションについての議論がありました。

私たちPTは腰椎椎間板ヘルニアに対して体幹筋の筋力強化を基本的な訓練としてとらえていましたが、医師は筋力強化不要の立場でした。

理由の1つに、体幹筋が弱いとは思えない(むしろ強い)人がヘルニアになっており、あえて体幹筋を強化する必要性はないのではということがあげられました。

体幹筋の強化を疑いもしなかった私は軽く衝撃をうけました。

しかし、よく考えてみると若くて筋力の強い方がヘルニアになっていることも確かです。

その後私は老人ホームで介護にかかわる仕事を経験しました。

その職場では腰を痛めている男性の介護職員が多いのです。

筋力の強い男性はヘルニアを発症しています。

ああなるほど、筋力が強いと1人で介助することも増えて、腰に負担がかかる機会が多いのだろう。

このような状態は介護の現場に限ったことではありませんね。

筋力が強いと思いものを持ち上げられますし、無理な体勢での作業もこなせます。

ここに落とし穴がありました。

筋力が強いことが腰への負担を増加させていたのです。

筋力が強いことはよいことですが、鍛えることのできない椎間板は筋力とその結果生じるストレスに耐えることができません。

筋力の強い方も腰に負担のかからない動作を心掛けて、無理をしないようにしてくださいね。

5 まとめ

椎間板ヘルニアの予防・改善のためには、日ごろから腰に負担のかからない姿勢や動作を心掛けることが大切です。

若く元気で筋力も強いと、ついつい無理をしてしまいますが、この無理が蓄積されてヘルニアの原因となってしまいます。

長い間の積み重ねで発症することも多いですから、健康な時から予防しておくことをおすすめします。

ヘルニアは改善させることができる場合も多いです。早めの対策を実行しましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

皆様のご健康をお祈りいたします。

執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト

追記・編集:運営者 理学療法士 平林


理学療法士 平林
※ 編集を終えて・最後に ※

椎間板ヘルニアになってしまうと、ホント辛いですよね。

何人もの患者さんみてきました。

軽い症状から重い症状まで。

ちょっと腰が痛い程度の人から、歩くのも這いつくばって、やっと病院い辿りつきました。

みたいな人まで、様々いらっしゃいました。

その中ですべての人に共通して言えることは、【諦めなければ、治る可能性はある】という事です。

どんなヒドイ痛みでも、時間はかかるにせよ、痛みが軽減していく可能性はあるのです。(手術しないでね。)

なので、もし、椎間板ヘルニアで症状が辛くて苦しい。

という状態になっても、まずは、治療に取り組んでほしいなぁと思う次第です。

あなたのが椎間板ヘルニアの症状が少しでも軽減すればいいなぁと思います。


椎間板ヘルニアの症状を徹底解剖!痛みやしびれを解決しよう

ヘルニアになってしまう理由を知っているのと知らないのでは、予後の大きな差がつきます。

この記事では基本的な腰痛対策の記載があります。

腰痛の症状を知っておくことで症状の上下もあるでしょう。

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