※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いない部分もあります。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたら嬉しいです。
ですので、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、リハビリテーションの専門家の意見や見解である。
というように捉えてほしいと思います。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
是非、宜しくお願いいたします。
皆様こんにちは。
mamotteライターで理学療法士のイワモトと運営者で理学療法士の平林です。
腰が痛い時にあなたはどうしますか?
ストレッチをする、痛み止めを飲む、とりあえず休む、一先ず我慢する、腰痛ベルトをしてみるなど考えるかと思います。
この中でもごく簡単にできるのが、腰痛ベルトをすることだと言えます。
- 「腰が痛いけど、仕事に行かなくてはいけないし・・・・」
- 「腰が痛いけど、子供の大事な行事に参加しなくてはいけない」
- 「重要な会議だし、休んでられない」
なんてことがあるでしょう。
そんな時に活躍するのが、腰痛ベルトです。
今回は、この腰痛ベルトについて話したいと思います。
- 腰痛ベルトの効果
- 腰痛ベルトの弊害
- 腰痛ベルトの選び方
の上記3点を踏まえて話しています。
この記事を読むことで、あなたに適した腰痛ベルトがわかるのと、腰痛ベルトの使い方を身に着けることができるでしょう。
上手く腰痛ベルトを使用しながら、腰痛の予防と改善に繋がるようにして欲しいと思います。
それでは、本日もよろしくお願いいたします。
目次
1 腰痛ベルトの具体的な効果を紹介する

まず腰痛ベルトという言葉についてですが、市販の柔らかいベルトから医療用のコルセットにいたるまで幅広くもちいられています。
腰痛に対して腰に巻くもの全般を腰痛ベルトと呼んでいます。
コルセットと呼んでもいいでしょう。
腰痛ベルトの効果についてですが、文字通り腰痛に対して効果があるということになります。
では、なぜ腰痛に効果があるのかについて考えてみましょう。
1-1【固定の効果】
まず、固定の効果です。
腰痛の原因である腰部への過度のストレスは、腰椎(ようつい)の動き過ぎ(屈伸)によることがあります。
なので、
幅が広めである程度の硬さを持ったベルトをしっかりと装着することで腰椎の動きが制限され、腰痛が軽減します。
幅の広いベルトを巻くと動きにくいので、動きたくなくなる→動く量が減るということも多少あるでしょう。
また、
出産の後などに仙腸関節(せんちょうかんせつ)の障害が出て痛みを生じることがあります。
仙腸関節は腰椎下部の仙骨(せんこつ)とその両隣にある腸骨(ちょうこつ)の間にある関節です。(おしりの骨の一部)
ここに炎症が生じて痛みが出た場合に、骨盤をベルトで締めて固定すると、仙腸関節の痛みが軽減することがあります。
このような場合にも固定の効果があります。
1-2【姿勢改善の効果】
次に姿勢改善の効果です。
固定の効果と似ていますが、単に固定するだけでなく、腰椎の生理的彎曲(わんきょく)を促す効果があります。
理想的には腰椎部分は前方に凸の、軽く反った状態が良いとされています。
ベルトの中でもコルセットと呼ばれるものになりますが、この理想的な彎曲をサポートするプレート(S字プレートなど)が入ったものがあります。
このようなベルトを使用することで、姿勢が改善します。
悪い姿勢(腰が丸くなる)で腰痛が生じている場合に効果があります。
1-3【腹圧上昇(お腹の中の圧力を上げる)の効果】
次に腹圧上昇(お腹の中の圧力を上げる)の効果です。
例えば重いものを持ち上げる時、自然と息を止めてぐっと力を入れることを経験すると思います。
これは腹圧を高めるために息を止めているのです。
腹圧を高めると内部から腰部を支え、腰椎を安定化させます。
これも二次的な固定の効果と言えるでしょう。
腹筋など、体幹筋の補助をする効果ということもできます。
重量挙げの選手が腰に巻いているベルトが代表的な例ですね。
重いものを扱ったり、介護で移乗介助が多かったりする場合などは効果的です。
1-4【精神的な安心の効果】
最後に精神的な安心効果です。
人は安心感を求めます。
やわらかいサポーターでも関節に巻くと、安心感があり、痛みが楽になることがあります。
疼痛の感じ方は脳の働きによって違ってきます。
ベルトを巻くことで、疼痛の閾値(いきち)が上がり(疼痛を感じにくくなる)、軽い腰痛であれば感じなくなる可能性があります。
以上、4点が腰痛ベルトの効果と言えるでしょう。
2 腰痛ベルトによって、生じる弊害とは?

腰痛ベルトを装着することに何か害はないのでしょうか?
よく腹筋や背筋の筋力が低下するなどと言われているので、ご心配の方もいらっしゃるかもしれませんね。
これより、ベルトの弊害について考えてみることにします。
【腹筋が弱くなるのか?】
【ベルト装着 = 筋力低下】ではありません。
腹圧を上げるためにベルトを使用しているからといって、自分の筋力を全く使わないわけではありません。
ベルトを装着していても、ベルトの下で腹筋は働いています。
それでも筋力低下の心配があるのであれば、適度に筋トレを行えば解決する問題です。
ただし腹筋が低下するような状況もあります。
痛みがひどくて体を動かせないときや腰椎の圧迫骨折があって、硬性コルセットを装着している場合(積極的に動かせない場合)などです。
通常の日常生活や仕事が可能な状態の人がベルトを使用したからと言って、心配するほどの筋力低下が起こることはないと思っていいでしょう。
痛みの強くならない方法で腹筋の筋トレを並行して行えばさらに良いし、問題ないと言えるでしょう。
その筋トレ方法は、やはり、リハビリのプロに相談するのがいいでしょう。
【背筋が弱くなるのか?】
背筋についても腹筋と同じで、それほど筋力低下を心配する必要はないでしょう。
背筋(脊柱起立筋など)はたとえベルトをしていても、お辞儀をしただけで強く収縮しています。
日常の生活ができる人であれば、ベルトのせいで筋力がかなり落ちたなどということにはなりません。
ベルトのせいというよりも、腰に痛みがあり、全力を出せないために筋力が低下するということはあり得ます。
【体幹・腰の柔軟性の低下】
この柔軟性の低下によって、腰に痛みを発症させてしまう可能性も多いにあります。
腰の柔軟性が低いと、曲げる、反らす動作ができづらく、動きの制限を生じさせてしまいます。
そして、次第に、動きの制限が加わり、ちょっと腰を曲げるだけで痛みを感じたりしてしまう。
というのが考えられるのです。
【その他】
ベルトはきつめに装着しないと効果がありません。
なので、それに伴った圧迫感があります。
ベルトを締めたまま動くと摩擦や圧迫で不快な感じを受けることはあるでしょう。
暑い時期に蒸れる、汗をかくということもあります。
また、ベルトに依存的になりやすい性質もあります。
なによりも、この依存してしまう。
というのがやっかいです。
『ベルトをしていないと不安だわ・・・』
という心理状態になってしまう事が危険なのです。
やはり、ベルトをするのと、しないのとでは、しない方が良いのには間違いありません。
ベルトの弊害としても、腰の可動域制限が生じてしまうのはよくありません。
ベルトに頼ってしまうとこの可動域制限が顕著に作られてしまう事が言えるのです。
3 腰痛ベルトは依存度が高くなってしまう。

一度ベルトの安心感を味わってしまうと、外すことに対しての不安感が生じやすくなります。
これは、当然の事で誰にでも感じる部分でしょう。
だって、痛みがある状態が腰痛ベルトをすることで痛みが軽減する。
というのを実感してしまうと、そのように感じてもおかしくありません。
人間の心理だと思います。
なので、おそらくベルトなしで動くことへの恐怖感、不安感が生じてしまうのは当然だと思われます。
実際にベルトを装着することで痛みが軽減するときはさらに依存度が増すでしょう。
また、
ベルト以外の腰痛対策も並行して行っている場合(リハビリ体操や投薬、ストレッチなど)、ベルトの効果なのか?
それ以外の効果なのか?
わからないと思います。
そういう時は、ベルトの効果があると感じているのであれば使用し続けても問題ないと思います。
しかし、
腰痛ベルトだけに頼るのは良くありません。
やはり、腰痛ベルトは極力つけないようにする。
という意識が何よりも大切です。
この思考はぜひ、持っておいてほしいと思います。
4 腰痛ベルトの適応を紹介~あなたに対して良いベルトの選び方~
動作によって腰痛が出る、痛みが増すような場合や長時間腰かけているときに痛みが出る場合はベルトを試す価値があるでしょう。
特に重量物を扱う方の場合は痛みがなくても予防的に使用しておくとよいでしょう。
また産後に仙腸関節に痛みが出てきた場合も適応になります。
その他腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、それらに対する術後などにもよく使用されます。
市販品は多くの種類が販売されていますが、信頼のおけるメーカー製のものをお勧めします。
用途によって数種類のタイプがありますから、ご自分の症状や使用する場面に応じて使い分けましょう。
できるだけ販売店で試着することをおすすめします。
主なものをご紹介します。
具体例として医療用の装具なども製作している日本シグマックスの製品をご紹介します。
市販品もあり、スポーツ用もありますので適したものを見つけやすいと思います。
『スタンダードタイプ』
腰椎のS字サポートも入っています。
日常生活で使用する場合このようなタイプで良いでしょう。
固定力もあります。
『幅が狭いタイプ』
日常生活の活動性が高い場合は幅の狭いものが動きやすいです。
ただし若干固定性は下がります。
仙腸関節の障害などに使用できる骨盤をサポートするタイプです。
産後の仙腸関節痛などに良いでしょう。
女性用の目立たないランジェリータイプもあります。
『スポーツタイプ』
動きが大きい場合は、スポーツタイプがあります。
スポーツ用は柔軟性が高いため固定力は若干下がりますが、固定力を上げたタイプもあります。
骨盤をサポートするタイプから、固定力に合わせて幅のバリエーションがあります。

5 まとめ
今回は腰痛ベルトについてお伝えしました。
腰痛ベルトは万能ではないですが、腰部の動きを制限したり、腹圧を高めて腰椎を安定化させたりするなどの効果があり、腰痛軽減に役立ちます。
ご自分の症状に合ったベルトを使用すると効果が得られやすいでしょう。
特に重労働(重いものを扱うなど)の方にはおすすめします。
しかし、
ベルトだけでは根本的な改善にはなりませんので、ストレッチや筋トレ、日常動作、姿勢の改善などを並行して行うとよいでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:mamotteライター 理学療法士 平林

※ 編集を終えて;最後に ※
腰痛ベルトは使い方次第でかなり有効かと思います。
適切な使い方と使う時の思考を間違えなければ使用するべきだと思います。
やはり、依存をつくってしまうのは良くありません。
腰痛の依存を高めてしまうと、腰痛を治す事も難しくなると言えます。
なので、腰痛ベルトは適切な使い方と正しい思考が必要になると思うのです。
それは、
・腰痛ベルトの使用は、外に出かける時だけ、仕事の時だけ、何か作業をする時だけ。
などのポイント、ポイントだけで使用する。
・腰痛ベルトは依存度を高めてしまうのと、可動域制限を生じてしまうので、極力つけないようにする。
という2点が重要かなぁと思うわけです。
このことも意識しながら、あなたの腰痛改善に役立てたらうれしく思います。


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※ 理学療法士 イワモトの 意見 ※
実際にベルト(コルセット含む)を使用している方と多く接してきましたが、緩めに装着している方が多いように思います。
そんなに緩かったら装着する意味が・・・と感じてしまうのですが、やはり圧迫感があったり呼吸が苦しくなったりということで緩めにつけているのでしょう。
ベルトとしての本来の機能は果たせていないのですが、それでも精神的な効果があるようで、つけているだけで安心という方が多いですね。
本来は締めて使うものなので、ここぞというとき(重いものを持ち上げるなど)は締めなおして、腹圧が十分に高まるような使い方をするとよいと思います。
使用法を心得ている方は、メリハリをつけて使用されていますね。
起きている間、漫然と使用するのではなく、ここは必要だと感じるときに強めに締めて活動するとよいです。
一日中きつく締めておくのは無理があります。
ベルトを締めると安心感もあり腹圧も上がるので力が出やすくなりますが、無理して重いものを持ち上げたりすると椎間板には大きなストレスがかかります。
ベルトを締めたからといって椎間板が強くなるわけではありませんから、その辺りは加減しながら動作を行うことが大切です。