圧迫骨折の看護にて必要な3つの考え方と注意すべき5つのポイントを紹介

圧迫骨折を治す5つの方法

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理学療法士 イワモト
こんにちは。

mamotteライターで理学療法士のイワモトです。

圧迫骨折は、高齢者に多い骨折の一つです。

  • おじいちゃんまたは、おばあちゃんが圧迫骨折にて、介護・看護が必要になった
  • 腰が痛くて、病院に行ったら圧迫骨折だった
  • 気づいたら、圧迫骨折になっていた

なんていう事は珍しくありません。

圧迫骨折は高齢者に意外と多い症状です。

今回は、【圧迫骨折で看護が必要になった方についてどのような対応が良いのか?】というテーマで記事にしました。

この記事を読んで得られる事

この記事を読めば

◎ 圧迫骨折で看護が必要になった方についての対応が知れて、その後の腰痛やしびれなどの改善に役立てる事ができる

といったメリットがあります。

最後まで読んで、少しでも共感していただけたら嬉しいです。


理学療法士 平林

※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。

なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。

執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。

ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。

それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。

しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。

というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。

  • どれが正しくて、どれが間違っているのか?
  • どれが自分に適している治療なのか?

個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。

ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。

間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。

【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。

ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。

そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。

mamotteライターの紹介


1 圧迫骨折の看護に必要な3つの考え方を紹介  

圧迫骨折の看護に必要

早速ですがここでは、圧迫骨折の看護に必要な3つの考え方についていくつかご紹介していきます。

  • 考え方その① 痛みをやわらげる・強くさせない工夫をする
  • 考え方その② 日常生活動作の手助けをする
  • 考え方その③ 二次的障害を起こさせないように意識する

上記の3点について考えを述べていきます。

(※あくまでも、参考として読んでください。)

考え方その① (圧迫骨折の)痛みをやわらげる・強くさせない工夫をする

その①として、まずは痛みを強くさせない工夫をしましょう。という話です。

  • 痛みのある部位はどこか?
  • どのような姿勢で痛みを感じるか。
  • どのような動作で痛みが強くなるのか?

などを知っておく必要があります。

これらのことを把握しておくことで、痛みが出そうな動作やしぐさの予防や回避運動ができるので痛みを感じなくて済む。

という事ができます。

なので、痛みについての情報を確認しておくことは非常に重要な点になるといえます。

考え方その② ADL(日常生活動作)の手助けを意識してみる

【痛みが強い初期は、手助けしちゃいましょう】

特に高齢者では、短期間の臥床で廃用症候群を起こしやすくて筋力の低下が急速に進行します。

※(廃用症候群とは、長い間の寝たきりによって手や足の筋力が低下してしまい、動くのも難しくなってしまった状態の事を言います)

なので、患者さん本人が無理のない範囲で、できる動作を促してADLの遂行を助けます。

食事や整容など、腰への負担が少なくて自分でできる動作は、できるだけ介助をしないで行ってもらうようにしましょう。

基本的には、

  • 【自分でできる事は、行ってもらう】
  • ちょっと難しそうだなぁと感じたら手伝う

といったスタンスがいいかなぁと思います。

考え方その③ 二次的障害を起こさせないように努力する

これは、このような意識で接した方がいいでしょう。

というのも、臥床期間が長くて骨折の影響で神経に圧迫を起こすと、二次的に障害を起こす危険性があるからです。

二次的障害というのは、例えば、腰が痛くて動けない。

となった場合、動けない事によって、足の力が弱くなってしまった。

みたいなことです。

この場合、一次障害が、腰の痛み。

で二次障害が足の力が弱くなる。という事になります。

という中で、以下に、3つの代表的な二次的障害を紹介していきます。

【膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)】

これは、排泄において、コントロールができなくなってしまう状態の事です。

圧迫骨折が原因で神経に生涯が起きて生じます。

膀胱直腸障害の話

膀胱直腸障害 

排尿や排泄のコントロールが上手くいかなくなる事

自律性神経因性膀胱が生じる

 ↓

排尿反射が減弱。尿が出なくなる

これは、すぐに医師に報告しましょう。

長時間排尿がない場合は自律性神経因性膀胱の恐れもあるし、便秘も生じることがあります。

尿と同様にチェックしておきましょう。 

【皮膚状態の維持】

圧迫骨折を起こすと、自由に寝返りを打つことが困難になる場合があります。

その際に、褥瘡(じょくそう)といって、床ずれが起きないようにする必要があります。

この褥瘡は、寝返りなど、身動きがとりづらくなると生じて。

圧迫骨折後早期から硬性コルセットを着用することがあるので、これらが褥瘡の原因となるので注意が必要です。

なので、皮膚の状態を定期的に観察し、赤くなっているところがないかなどを確認しましょう。

そして、皮膚を清潔にしておくこと、保湿などのケアをして褥瘡の予防に努めるのがいいでしょう。 

【しびれなどの神経症状】

次に、神経症状について話したいと思います。

姿勢や動きによって神経への圧迫を起こします。

なので、体位変換や姿勢の注意をして、少しでも症状を出さないような努力をしましょう。

コルセットをすでに使用している場合、装着の仕方が悪いと固定力が下がるし、効果は全くありません。

正しく装着されているかのチェックも必要になります。

また、圧迫骨折で神経症状が出るのは、傾向として少ないです。

なので、しびれや感覚が鈍いなどの神経症状を感じた場合は、改めて、検査をするのがいいでしょう。 

といように、これらの事を理解しておいて欲しいなと思う次第です。

2 圧迫骨折で注意するべき看護ポイントを5つ紹介する。

圧迫骨折の看護5つのポイント

ここでは、注意するべき看護ポイントについて紹介していきたいと思います。

  • ポイント① 褥瘡
  • ポイント② 筋力低下
  • ポイント③ 廃用症候群(はいようしょうこうぐん)
  • ポイント④ 尿路感染
  • ポイント⑤ 便秘

上記5つについて、述べていきます。

参考にしてください。

ポイント① 褥瘡(じょくそう)

褥瘡とは、床ずれの事を言います。

長い間、同じ部位に負担を与えてしまう事で、赤スレや床ずれが生じてしまう事を言います。

寝返りが困難となりますので、褥瘡の予防は重要項目です。

なので、皮膚の状態を定期的にチェックして欲しいなと思います。

【注意すべき点】

  • お尻や股関節の外側(仙骨部、大転子部など)
  • 硬性コルセットを装着している→コルセットと皮膚の接している部分

褥瘡は定期的に体位変換をすれば、生じることはありません。

こまめに行えれば、難しくないでしょう。

ポイント② 筋力低下

筋力低下には2種類あります。

1つ目は廃用症候群によるもの。

2つ目は神経障害によるものです。

神経障害では膀胱直腸障害を生じることがありますが、筋力低下を起こすこともあります。

足関節の背屈や拇趾の背屈(伸展)筋力などを時々確認しておきましょう。

(背屈とは、足首や足の指を上に背ける動作の事をいいます。)

大まかにはつま先を上に上げることができるかをチェックしておきます。

左右差が認められる場合は要注意です。

医師からの許可が下りれば、下肢の筋力増強訓練を開始します。

ポイント③ 廃用症候群(はいようしょうこうぐん)

これは、長期間の臥床などによる心身機能の低下です。

筋力低下や関節可動域の低下などがありますが、高齢者では認知機能の低下、呼吸機能の低下、骨密度の低下など様々な機能低下が生じます。

廃用性症候群の解決の為には、医師の処方に従って理学療法士などと協力して機能訓練(運動や体操)などをしましょう。

ベッドでも、足首を上、下に曲げるように動かすだけでも違います。

ちょっとした、動きでも行う方がいいので意識してほしいところです。

ポイント④ 尿路感染(にょうろかんせん)

これは、尿に濁りがないか、体温の上昇はないかなどに注意しておきます。

ただの腰痛で起こることもありますが、圧迫骨折によるものと鑑別する必要があります。

ポイント⑤ 便秘

便秘の原因は、食事量の減少、長期の臥床、神経障害などが考えられます。

排便についても注意しておきましょう。

水分の摂取量も重要です。

3 圧迫骨折かもと思ったら病院の受診を考えよう

圧迫骨折かもしれない

圧迫骨折は、「いつの間にか骨折」などと呼ばれることもあります。

骨粗鬆症などで骨がもろくなると起こしやすくなります。

その① まず、病院で診てもらおう

いつもの腰痛だろうと判断するのは危険です。

もしかしたら、圧迫骨折以上の腰痛が生じている可能性もあります。

なので、整形外科のある病院を受けるのがいいでしょう。

適切な治療を行わないと、痛みが長引いたり、しびれや感覚低下などの神経症状が出現したりするなどの危険を生じることがあります。

その② 痛い動作は極力避ける

圧迫骨折を起こしている恐れもあるので、痛みの出る動作は極力避けましょう。

脊柱(腰椎部分)の動きが出ないように注意します。

背骨を極端に動かしてしまうような動作には注意しましょう。

4 圧迫骨折を治す事はできないのか?

圧迫骨折を治す

圧迫骨折で骨折した部分を治すには手術しかありません。

しかし、痛みは軽減・消失を目指す事はできます。(日常生活は問題ないレベルまで)

現に、圧迫骨折になった方でも、日常生活において、比較的問題なく過ごされている方も沢山います。

なので、安心していいかなぁと思う部分はあります。

で、基本的には、硬性コルセットを装着して体幹を固定する事が多いです。

つぶれた椎体が癒合する(かたまる)まで待ちます。

約3カ月を目安として保存的治療が中心となります。

圧迫骨折の痛みが一生無くならない訳でもありません。

時間の経過と共に、圧迫骨折の痛みは軽減することはあります。

なので、数カ月経っても腰が痛くて、変わらないといった場合は、圧迫骨折意外の影響があると考えて良いでしょう。

  • 姿勢が悪い
  • 筋力が低下している
  • 血流が悪い

といった要素によっても痛みは感じます。

なので、このような可能性を考慮する必要があるのです。

【手術】

これは、最終の最終の最後の手段として考えておく方がいいと思います。

椎体の圧迫、変形が強く神経症状が出た場合 → 固定術

圧迫骨折を起こした部位に骨セメントを注入 → 椎体を形成する経皮的椎体形成術

これらは、効果があると言われています。

(※実際のところは、患者さん次第なので、100%信じる事はしないで欲しいなと思います)

保存的治療がうまくいかず偽関節となってしまった症例に対して、2012年から保険適応となっていますが、まだ、どこでも受けられる手術ではありません。

ぶっちゃけ、腰に手術をするので長期的な予後で考えても何かしらの症状は残ってしまう場合もあるかもしれません。

こればっかしは、正直わかりません。

手術後に症状が残る人もいるだろうし、なくなる人もいるでしょう。

また、一時痛みが無くなる人もいれば、数か月後、数年後にまた腰に痛みが生じてしまう。

という人もいるでしょう。

手術が終わった後、一生再発しません。

というのは、言い難い事だと思う次第です。

5 圧迫骨折になっても痛みは治る。

圧迫骨折の痛みは辛い

圧迫骨折でも、骨が癒合すれば痛みは治まるし、気にならない程度まで改善する。

といった状態になるでしょう。

圧迫骨折は腰骨の骨折ですが、痛みを感じるかどうかは人それぞれです。

また、圧迫骨折は半年~1年経てば陳旧性(古い傷という考え方)となるので痛みが軽減しやすいとも言われています。

なので、逆に半年~1年の間でも痛みがある場合は他の原因もあるのではなかろうか?

と考えられるので原因を考えてみましょう。

背骨の柔軟性などが低下していれば、痛みは起きやすくなります。

つまり、一概に、圧迫骨折だけが原因で腰がずっと痛い!!!

というのは少ないかもしれない。ということです。

しかし、中には骨が癒合せず偽関節となり痛みが残存してしまう場合もあります。

安静にしているときは痛みが治まっているが、動いた時とか長く座った時などに痛みが出ることが多いです。

このような症状に対しては経皮的椎体形成術が有効な場合もあります。

理学療法士 イワモト
※ 理学療法士イワモトの意見・考え ※

骨粗鬆症が酷いと、寝返りしただけでも骨折を起こすことがあります。

このような場合は、骨折を予防することは困難かもしれません。

しかし、多くの場合そこまで骨がもろくなることはありません。

日常生活で圧迫骨折を起こさないように注意するのはできるでしょう。

長い間、同じ姿勢をとるのは良くありません。

むしろ、圧迫骨折を促してしまいます。

ですので、姿勢には注意するべきでしょう。

また、下にあるものを持ち上げる動作です。

膝を使わないで腰を曲げてしまうと、体を前に倒した瞬間、腰椎に過度な力が加わって圧迫骨折になってしまう場合もあります。

前かがみになる動作を避けるのも一つのポイントです。

今までは圧迫骨折の治療といえば、コルセットを用いた保存的療法がほとんどでした。

近年、保険適用になった椎体形成技術は技術的に訓練を行った医師だけが可能であり、そのような点でまだ普及に至っていません。

今後手術療法が普及して、椎体形成術が主な治療法となれば、痛みの後遺症や長期間のコルセットの装着から解放されることもあるかもしれませんね。

6 まとめ:圧迫骨折は適切な看護をする事で、良くなる可能性は多い。

今回は、圧迫骨折の看護に必要な事は何か?をテーマに伝えしました。

圧迫骨折は痛みが強かったり、二次的な障害を起こしたりする危険もあるので看護の役割が重要になります。

  • 痛みをやわらげる工夫をする
  • ADL(日常生活動作)の手助け
  • 二次的障害を起こさせないようにする努力

この三つをまずは、意識して看護を行う事が必要でしょう。

そして、圧迫骨折になっても痛みは治る可能性はあるので、治療と予防に努め続けていきましょう。

執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト

追記・編集:運営者 理学療法士 平林


理学療法士 平林

※ 編集を終えて:最後に ※

圧迫骨折の看護という視点で今回は書いてみました。

いかがでしたでしょうか?

圧迫骨折は高齢者に多い症状で、気付かないうちに生じている事が多々あります。

それでも、半年~1年以内では痛みが治まる傾向があります。

圧迫骨折によって、活動量の制限が生じてしまうと褥瘡や筋力低下、廃用症候群など。

心身機能の低下を起こしてしまう場合もあります。

このようにならないように、圧迫骨折になってしまったとしても適切な看護を受けて、適切な処置・治療を受けるのがいいでしょう。

適切な対処を行えば、痛みは治るものであり、症状も改善する。

と言えるでしょう。

意識してほしいと思います。

今回の話が少しでもあなたの役に立てば嬉しく思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


 

【不安解消】圧迫骨折の痛みが取れない理由を紹介

圧迫骨折になる人は多くいますが、症状(痛み)が改善しない人が多いのが実際です。

圧迫骨折の痛みが治らない理由3つを紹介しています。

  • その① 圧迫骨折の正しい治療法を知らないから
  • その② 治療を継続する事ができないから。(つまり、辞めてしまうから)
  • その③ 日常的に悪い姿勢になっているから。(姿勢が悪い!)

といった3つの点を中心にして記事にしています。

読んでいただけば、圧迫骨折の症状改善のために役にたつと思います。

参考にしていただけたらうれしいです。

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