※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。
なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。
執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。
ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。
それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。
しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。
というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。
- どれが正しくて、どれが間違っているのか?
- どれが自分に適している治療なのか?
個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。
ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。
間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。
【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。
ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。
そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。
1 脊柱管狭窄症の治療法の概要
治療法には、観血的方法(手術)と保存的療法(手術をしない)という二つの考えかたに分かれます。
この二つの考え方について紹介していきます。
その① 手術的治療(観血的方法)(手術のこと)
これは、手術の事をいいます。
その② 非手術的治療(保存的療法)(手術をしないこと)
これは、手術をしない治療方法です。
- 安静、投薬療法 (消炎鎮痛剤、血流改善薬など)
- ブロック療法 (神経ブロック)
- 運動療法 (筋力強化、ストレッチ、徒手的療法など)
- 物理療法 (温熱、電気治療など)
- 装具療法 (コルセットなど)
- 日常生活動作や姿勢の改善
などがあります。
この中で、一番初めに行うべきである治療法は運動療法と日常生活動作や姿勢の改善だと言えるでしょう。
というのも、運動と日常生活・姿勢の改善が根本的な治療になるからです。
あとの治療は、根本的な解決まではいかない事が多いので地道に継続していくしかありません。
なので、根本的な解決を目指す為には、運動療法と日常生活・姿勢の改善であると言えます。
ですが本質期には、【あなたの症状が楽になったり、改善すれば】どんな方法でもいいと思っているので、運動療法と日常生活・姿勢の改善以外の方法も試して、効果判定をするのが良いと思います。
2 手術が推奨されるケースの判断基準
結論から述べると、排便・排尿障害が生じたらです。
脊柱管狭窄症の症状が進行すると、排尿障害(尿が出ない、漏れるなど)や排便障害、麻痺による筋力低下を生じる場合があります。
麻痺が進行すれば歩行障害なども出現し、日常生活に大きな支障をきたす事でしょう。
このような症状が出現した場合は、神経へのダメージを最小限で食い止めるために、手術を考慮するステージかと思います。
というのも、排便・排尿障害は生命の危険にもつながるので、こうなってしまったら、手術でなんとかする。
という思考もありだと思うわけです。
それでも、手術は最後の最後の手段と考えてほしいと思います。
なので、一先ず、保存療法でチャレンジしつつ、それでも改善しない、軽減しない、変化しない。
といった場合に、そこで始めて手術を考慮する。
という流れが一番良いと思います。
【手術は最後の最後の最終手段】このように考えて頂きたいなぁと思うわけです。
3 脊柱管狭窄症の手術方法
脊柱管狭窄症の手術は、大きく分けて除圧術と固定術に分けられます。
下記に紹介します。
除圧術は脊柱の狭くなっている部分の椎骨(ついこつ)、靭帯、椎間板を削り取って脊柱管を拡大し、神経への圧迫を取り除く方法です。
内視鏡を用いて椎骨の後方(椎弓・ついきゅう)を切除する、内視鏡下椎弓切除術や内視鏡を用いない従来法があります。
内視鏡を用いる場合、入院期間は短く、およそ1週間程度です。
狭窄している部分に不安定性がある場合は、狭窄の原因部分を削り取った後に脊柱を固定します。
腰椎すべり症などを伴っている場合、この方法が採用されやすいです。
狭窄した部分を削り取った後、自分の腸骨(ちょうこつ)から切り取った骨を移植して、その後、金具(スクリュー、ロッド)を用いて削り取った部分を挟み込むように固定します。
近年では内視鏡を用いて行うことができるようになり、傷が少なく、入院期間も短く(2週間程度)と短くなってきています。
採用される術式は病院(医師)によって、また症状によって変わります。
実際に手術を受ける場合は、病院で採用している術式についての説明を受ける必要があるでしょう。
そして、納得いくまで、説明を聞く方がいいと思います。
4 脊柱管狭窄症手術のリスクと注意点
全ての手術について言えることですが、手術リスクというものがあります。
身体に侵襲(生体を傷つけること)を加えますので、感染の危険、出血、傷が残るなどが生じます。
もともと別の病気がある場合はさらにリスクが増す場合もあるでしょう。
脊柱管狭窄症の手術では、内視鏡などが用いられるようになったため、従来よりもリスクは減ってきています。
しかし、まれに神経の症状(麻痺など)が強くなったりすることもあるのが事実です。
リスクとは言えないと思いますが、手術をしたのにしびれや痛みが残っているという場合も珍しくありません。
多くの術後の方と接してきましたが、痛みやしびれが強くなったという例は少ないですが。
逆にしびれが少し残っているという方は比較的多くいらっしゃいます。
この事から、手術をしても、100%完全に痛みやしびれが改善する・無くなる。
といった可能性は断定できなくて、わからないと考えていいでしょう。
神経は圧迫されている期間が長くなると回復できない程のダメージを受けることがあります。
手術をしても、この神経へのダメージが回復せず、しびれや筋力低下などの症状が残ることは仕方のないことかもしれません。
なので、手術をせず、麻痺が進行してしまうことのリスクを取るのか、手術をして、麻痺の進行を抑えるのか。
この双方を考える必要があるでしょう。
医師からリスクについて十分に説明を受けることがポイントになるかと思う次第です。
5 非手術治療と生活習慣の改善
リハビリや生活習慣の改善なども脊柱管狭窄症の治療の一つ
神経の症状が軽い場合は、手術をせず保存的に経過をみる場合もあります。
では、これより、手術以外の方法をご紹介します。
方法その① リハビリテーション
脊柱管狭窄症は病院でのリハビリ対象疾患となっていますので、保険を利用してリハビリを受けることができます。
まず整形外科を受診して、リハビリの処方を出してもらう必要があります。
リハビリでは全身の状態(筋力や歩行状態、痛み、しびれなど)、日常生活等を評価し問題点を見つけます。
見つかった問題点に対して治療プログラムを作成して実施します。
では、具体的な例をあげていきます。
【筋力を回復させる訓練を行う】
下肢の筋力低下を生じている場合があるので。
【関節の可動域訓練を行う】
筋の柔軟性が低下している場合、ストレッチを行ったり、関節の動きが悪い場合。
【姿勢の改善を行う】
神経症状の軽くなる動作の仕方や自分でできる体操を指導する。
【歩行訓練を行う】
歩行状態を改善させるため、適切な歩行補助具を選択する。
【その他、様々なアドバイスを行う】
などの治療プログラム考えられるでしょう。
方法その② 日常生活の工夫
腰部の脊柱は胸部などと比べて比較的動きが大きいため、動作の仕方によって神経症状の出方が変わってくる場合があります。
動作によって症状の出方を確認して、しびれなどの症状が強くなる方向の運動を避けるようにします。
たとえば腰を反らす動作で症状が強くなる(比較的多い)場合は、腰を反らす動作をしないようにします。
高いところにある物を取るなどの動作は腰を反らせてしまいますので注意が必要です。
歩行は全身にとっては良い運動になりますが、腰にとっては負担となってしまいますので、長時間の歩行は良くありませんので、歩行が長距離にならないようにします。
歩行補助具(押し車など)を利用することもよいでしょう。
また重い物を持ち上げるなど、一般的に腰に負担のかかる動作も避けましょう。
方法その③ 姿勢の改善
良い姿勢を意識する事。
姿勢によって症状の出方が変わってきます。
通常の良い姿勢(胸を張り、腰を少し反らす)で症状が強くなる場合があります。
このような場合は無理に良い姿勢をとる必要はありません。
腰を少し丸めて、軽く前かがみになる姿勢をとってよいでしょう。
寝る時は横向きで背中を丸めた姿勢をとったり、仰向けの場合は両膝の下に大きな枕や毛布を丸めて入れたりして腰が反らないように工夫しましょう。
歩行時は押し車(シルバーカー)を使用して、少し前かがみの姿勢をとると楽に歩行できる場合があります。
かかとの高い靴は若干腰を反らせる作用がありますから、かかとの低い靴の方が楽な姿勢を作りやすくなります。
長時間同じ姿勢を取り続けることは腰に負担がかかりますから、時々姿勢を変えたり、軽く体操などを行ったりすると良いでしょう。
症状の出る姿勢、運動は人様々です。
姿勢や運動で症状がどのように変化するのか、ご自分で状態を確認しながら、最も楽な姿勢・運動を見つけ出すようにしてください。
方法その④ 薬物療法
一般的に多く用いられているのは、消炎鎮痛剤(痛み止め)です。
通常の痛み止めに加えて神経性の痛みに効く薬が処方されることもあります。
その他に、血流を改善する薬や筋の緊張を下げる薬、抗うつ剤などが処方されます。
痛み止めでは根本的な解決とはなりませんが、血流を改善する血管拡張薬は痛みやしびれの改善に効果がある場合があります(神経への圧迫が軽い場合です)。
痛み止めは一時的に症状を楽にしますが、無理をしてしまう原因となります。
薬が効いている間に無理をしないような注意が必要です。
高齢になると程度の差はあれ、脊柱管は狭くなっていきます。
年を取ってから長距離歩けなくなった、しばらく休んだらまた歩ける
などという状態は脊柱管狭窄症が原因かもしれません。
痛みがないとなかなか病院へは行かないことも多いでしょうから、隠れた脊柱管狭窄症の人の数は多いと思います。
神経は短時間の圧迫であれば回復します。
例えば長時間正座をすると足がしびれますが、しばらくすると回復します。
しかし、この神経への圧迫が長期間続くと、手術をしても回復が困難なほどになってしまいます。(しびれ、筋力低下が回復しない)
術後のリハビリをしていて、もう少し早く手術していれば・・と思うこともあります。
手術可能な状態ならば、早めに決断して手術を受けた方が一般的に障害は残りにくくなります。
近年は内視鏡手術など、身体に負担のかかりにくい手術法も導入されていますから積極的に検討することをおすすめします。
ただし、狭窄の原因や部位によってはリスクが高くなることもありますから、十分に医師から説明を受けることが必要です。
6 脊柱管狭窄症の治癒体験談
では、これより、脊柱管狭窄症が治った方のホントの話を紹介したいと思います。
私が脊柱管狭窄症と診断されたのは、1年前のことです。
丁度、二人目を生んだ半年後でした。
前々から腰痛はあったのですが、ここに来て突然発症したのです。
右腰の痛みと右腰から右太ももの裏に激痛が走るほどのしびれが生じます。
常に感じているわけではないのですが、歩き始めや動き始めに感じることが多く生活に支障を感じていました。
我慢できなくなって、病院を受診したところ脊柱管狭窄症と診断されたのです。
この時から、私のリハビリが始まりました。
病院を受診したその日にリハビリの指導を受けました。
主に、腰の柔軟性をあげるためのストレッチと正しい姿勢を意識する。
という2つだけを集中して行いましょう。とのことでした。
私は指導された通りに、毎日実践しました。
実践して、2カ月が経った頃、歩くのも辛かった症状が少しづつ減っていたのを覚えています。
効果を感じる2カ月間は、大きな変化もなく、『ちょっといいかなぁ』程度でした。
しかし、2カ月が経つと不思議と辛かった歩き始め動き始めのしびれ・痛みが減っていたのです。
この時に、改めてリハビリのストレッチと姿勢を意識する。
といった効果を感じることができました。
そして、この調子で腰のストレッチと姿勢を意識する事を中心に、リハビリを継続していきました。
で、だいたい6カ月が経ったころにほとんど症状を感じなくなったのです。
あれから、1年たっていますが、今では、調子が悪い時や体の不調を感じた時に少し痛みを感じる程度です。
しびれを感じることはなくなりました。
現在でも、指導されたストレッチと良い姿勢を意識することは実践しています。
私の症状が良くなったのは、この腰のストレッチと良い姿勢を意識する事だなぁ。
と思っています。
如何でしょうか?
脊柱管狭窄症を克服した方の実際の体験談です。
参考にしていただけたらと思います。
7 まとめ:手術以外の治療方法で挑戦して、手術は最後に検討しよう
今回は脊柱管狭窄症の治療についてお伝えしました。
脊柱管狭窄症は高齢になると起こりやすい、誰にでも起こりえる症状です。
最近長距離を歩くことができなくなったなど気になる症状が出てきたら、早めに整形外科の診察を受けましょう。
早めに適切な治療法(動作・姿勢の改善を含む)を開始すれば手術をすることなく、過ごすことができる可能性もあります。
何よりも、早めの行動が大切になるのです。
今回の話があなたの力になれば嬉しく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営管理者 理学療法士 平林
脊柱管狭窄症の治療はリハビリを行うべきである!その5つの理由を紹介
脊柱管狭窄症を治すためには、リハビリを行うべきです。
その理由を5つ紹介しています。
脊柱管狭窄症を治す・軽減・改善させるためのリハビリや考え方を紹介しています。
参考にしてほしいなと思います。
脊柱管狭窄症はほぼ治らないと思っている方が多いことでしょう。
治るとしても手術しかない。と思ってしまっている方も少なくないです。
しかし、脊柱管狭窄症は手術じゃなくても、リハビリで対処する事は多いに可能だと思います。
実際にリハビリだけで脊柱管狭窄症の症状が改善したという人は何人もいます。
諦めずに、治す努力をしていけたらいいなぁと思っています。
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こんにちは。
mamotteライターで理学療法士のイワモトです。
この記事にたどりついたという事は、ひょっとしたら、『脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)を治したい!!』と強く思っているのではないでしょうか?
といったような症状で、ひょっとして苦しんでいるのではないでしょうか。
実際に、脊柱管狭窄症のしびれや痛みは軽減、改善させることもできる場合は多いです。
人によって差はありますが、しびれや痛みが軽くなったり、楽になる人はいるのが事実です。
という事で今回は、【脊柱管狭窄症の治し方(治療について)】というテーマで話していきます。
この記事を読めば
◎ 脊柱管狭窄症の治療について知って、症状の改善、軽減を目指す事ができる。
といった事が言えます。
最後まで読んで、脊柱管狭窄症に負けない知識を身に着けてほしいと思います。
では、本日もよろしくお願いいたします。