圧迫骨折の痛みが長く続くときは、治療の流れ・継続・姿勢・心理面のどこかにつまずいていることが多く、そこを整えることで改善が期待できます。
- 圧迫骨折の痛みが良くならない主な理由は「正しい治療の流れを知らない」「治療を続けられない」「姿勢が悪いまま」の3つです
- 治療の柱は、リハビリテーション・装具(コルセット)・手術の3つ。現在は手術をしない保存的療法が中心です
- コルセットは2〜3か月間を目安に装着しますが、期間は医師やリハビリ担当者と相談して決めます
- 手術が必要かどうかは医師の判断であり、納得したうえで決めることが大切です
- 不安や心理的ストレスは痛みを強め、慢性化させる要因になります。痛みに意識を向けすぎない工夫も有効です

圧迫骨折の痛みが続く3つの理由

圧迫骨折の痛みがなかなか取れないとき、その背景には、治療内容・継続・姿勢という3つの問題が隠れていることが多いです。
当たり前と言えば当たり前のことですが、これらができていないことで、本来なら軽くなっていくはずの痛みが改善しないままになってしまうことが考えられます。順番に見ていきます。
理由① 正しい治療の流れを知らないから
そもそも、圧迫骨折の基本的な治療の流れを知らない可能性があります。
圧迫骨折には基本的な治療の進め方があります。何もしなければ、骨がつながらなくなったり、痛みが長く続いたりと、予後が悪くなることもあります。基本的な治療を知らないために、間違った対応をしてしまい、痛みが良くならないというケースが考えられるのです。
理由② 治すためのストレッチや体操を継続できていないから
2つ目は、治療を継続できないことです。
圧迫骨折を治すためのストレッチや筋トレ、良い姿勢を意識することを続けられないために、良くなるはずの症状が変わらないままになっている、と考えられます。
「継続する」ことは、誰にとっても難しいことです。逆に言えば、継続することさえできれば、圧迫骨折の痛みやしびれといった症状も軽減・改善していくことが期待できます。
やや根性論のように聞こえるかもしれませんが、ストレッチや筋トレ、施術などが一度で大きく改善することは、めったにありません。日々続けることで、圧迫骨折の痛みも徐々に軽くなっていくといえます。
たとえば、毎日少しでも体操やストレッチ、良い姿勢の意識ができていたのに、もう少し続ければ良くなるであろうタイミングでやめてしまう。こうしたことは実際にあります。学習・成長曲線と同じように、痛みやしびれの改善にも似たことが言えるのです。
理由③ 姿勢が悪い状態が続いているから
3つ目は、姿勢が悪いままになっていることです。
姿勢は、意識しないと悪くなるものだと考えてください。特に圧迫骨折後は背骨が変形する(くさび状につぶれる)ことが多く、その結果として姿勢が悪くなりがちです。今まで以上に良い姿勢を意識する努力が必要になります。
圧迫骨折後に見られる姿勢の悪化は、猫背が中心です。猫背は脊柱が前に曲がっている状態のため、背骨への負担が大きくなります。これはさらなる圧迫骨折の原因となり得るので注意が必要です(実際に、再発は多く見られます)。
姿勢を良い位置に保つことで、腰痛や圧迫骨折の再発リスクを軽減することができます。姿勢の悪化を仕方のないものとして諦めずに、できるだけ良い位置に保てるよう意識しておきたいところです。
圧迫骨折の治療の基本的な流れ

圧迫骨折の治療は、診断 → コルセットの作製とリハビリ開始 → 骨癒合を待つ期間 → コルセットを外して柔軟性を戻す、という流れで進んでいくのが一般的です。
具体的には次のような流れになります。
- 医師による診断を受ける
- コルセットを注文する(医師による処方)、リハビリの開始
- コルセットが完成するまでの間は、激しい動きをしない、悪い姿勢を避ける
- コルセットが完成したら正しく装着する(自分の判断で勝手に緩めない。位置がずれていたら修正する)
- コルセットを装着しても完全に動けなくなるわけではないので、動ける範囲で動き、良い姿勢を意識する(体幹をひねらないなど)
- リハビリを継続する
- 歩行器使用の指示など、医師の指示を守る
- 骨がつながるまでは、無理な動きをしないように我慢する
- コルセットに頼りすぎず、良い姿勢を意識する
- 医師からコルセットを外す許可が出たら外して、腰や体の柔軟性を改善していく
- 姿勢の維持、ストレッチ・体操などを継続して行っていく
まずはこの流れに沿って取り組んでみて、症状が軽減・改善するかどうかを確認してみてほしいと思います。リハビリの具体的な進み方や時期別の内容については、圧迫骨折のリハビリについての記事で詳しく解説しています。
圧迫骨折の治療は大きく3つ

圧迫骨折の治療法は、リハビリテーション・装具治療(コルセット)・手術の3つに分けられます。現在は、手術をしない保存的療法が中心です。

治療① リハビリテーション
中心になるのがリハビリテーションです。
体を動かさない状態が続くと、筋力低下や関節可動域の制限が起こる可能性があるためです。入院するとベッド上でリハビリをすることもあり、廃用症候群の予防のために、早期から訓練を開始する場合もあります。
(廃用症候群とは、長期間ベッド上などで体を動かせない・動かさないことによって、筋肉や骨組織、関節、心肺機能などが低下してしまうことをいいます。)
痛みが強くてつらいときは、リハビリをやりたくないという気持ちになるかもしれません。しかし、筋力低下や可動域制限を防ぐにはリハビリが効果的で、早めに始めるほうが予後の面でも良くなりやすいと言えます。また、早期のリハビリは深部静脈血栓症(DVT)の予防にもつながります。
具体的な内容としては、骨折部位に負担をかけないようにしながら筋力を維持・強化するプログラムやストレッチを行います。歩行練習や日常生活動作の練習を経て、最後には退院後の自宅での過ごし方や再発予防、日常生活動作の指導も大切になります。
治療② 装具治療(コルセット)
圧迫骨折では、折れた(つぶれた)骨が癒合して安定するのを待たなければなりません。
骨が折れている状態で背骨が動きすぎると、うまく骨が固まらず偽関節(ぎかんせつ)などになり、背骨の不安定さが残って痛みが続くといった症状が出ることもあります。そこで装具(コルセット)を装着すると、骨癒合の妨げとなる背骨の動きを制限することができます。
装具にはいろいろな種類があり、症状によって変わります。硬いコルセットもあれば、バンテージのようなゴム状の伸びるタイプもあります。どれを使うかは医師と相談しながら決めていけるとよいでしょう。
骨折部位の背骨が固まるには数か月を必要とすると言われています。ですので、コルセットは2〜3か月間を目安に装着する必要があると言えます。
なかには、コルセットをしないと不安になってしまい、ずっと使い続けている方もいます。しかし継続的に使い続けることには良くない点もあるので、コルセットに依存しないようにする努力も重要です。使用期間については医師やリハビリの担当者と相談しながら進めていきましょう。装着期間の考え方はコルセットの装着期間についての記事でもまとめています。
治療③ 手術
圧迫骨折には、手術による治し方も存在します。ただし、圧迫骨折において手術が適応されることは比較的少ないと考えられます。
主な手術方法は次のとおりです。
- 固定術……骨を移植したり、金属製のネジや棒を使用して脊柱の一部を固定したりする方法
- 椎体形成術……骨折した部位にハイドロキシアパタイト(人工骨)などを充填して椎体を形成する方法
- BKP(バルーンカイフォプラスティ)……比較的新しい方法で、風船状の器具を使用してつぶれた椎体の中に骨セメントを充填する方法
いずれの手術を行うか、そもそも手術を行うかどうかは医師の判断になります。ここでは参考としてご紹介しています。
圧迫骨折に手術は必要なのか

手術が必要な方には必要ですが、必要ではない方も大勢いる、というのが実際のところです。適応の判断は医師が行うものであり、自己判断で決めるものではありません。

現在では、治療法としては手術をしない保存的療法が多く選ばれています。しかし、骨折部位が非常に不安定であったり、神経障害が強く出ていたりする場合には、手術を検討する必要も出てきます。
そのうえでお伝えしたいのは、手術をするかどうかは十分に考えて決めてほしい、ということです。
- 本当に手術が必要か、必要ではないかをよく考える
- 主治医とよく相談する
- 必要に応じてセカンドオピニオンを受ける
- リスクも理解したうえで、自分が納得して決める
手術をして症状が変わらなかった、かえってつらくなったという方がいるのも事実です。そうなったときに後悔しないためにも、納得したうえで決めることが大切だと考えています。
繰り返しになりますが、手術の要否を判断するのは医師です。ここで書いていることは、判断の材料としてご自身が理解しておくためのものだとお考えください。
圧迫骨折の痛みには心理的な要素も影響します
圧迫骨折の痛みが取れないとき、メンタル的な要素、心理的な不安や負担が関係している場合があります。ここも整えていきたい部分です。
不安が痛みを強めることがある
「病は気から」という言葉がありますが、これは結構当たっている面があります。何年も続いている腰痛などでは、精神的な理由によって症状が強くなっている場合もあります。
腰そのものに機能的な原因はそれほど見当たらないのに、腰の痛みを感じている。そうした場合は、心理的・精神的な要素が関係していそうだと考えられます。
不安を感じると精神的なストレスとなり、交感神経の働きが活発になります。すると脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、普段は感じることのない痛みまで感じてしまうことがあるのです。
不安になる → 脳内の神経伝達物質のバランスが崩れる → 痛みを感じる物質が出てしまう → 痛みを感じてしまう
このような負のスパイラルに入ると、なかなか痛みが取れない状態になります。
ですので、痛みが取れないことを不安に思いすぎないようにすること。これも大切な取り組みのひとつです。
さらに言えば、痛みそのものをあまり気にしないように努力できるとよいでしょう。痛みを感じている以上、完全に無視するのは難しいのですが、「気にしないでおこう」という気持ちを持てるといい、という意味あいです。痛みのことを常に考えてしまうと、どんどん痛みを強く感じてしまう場合があるからです。
不安は解決策を実行することで減らせます
何かに対する不安や危機感は、備えや予防に役立つものです。しかし、それを必要以上に長引かせるとデメリットになります。不安による精神的なストレスは、慢性疼痛の原因となるからです。
不安は、解決策を実行することで解消していきましょう。姿勢を良くしたり、適度なストレッチや体操を実行したりして前向きな対策を行えば、不安を少なくすることができると思います。
意識を向ける方向を変えるだけで感じ方は変わります
理学療法士である筆者の一人が、痛みを「気にしない」ように努力する効果を体感した経験があります。
突発性難聴(低音型)となり、かなり回復したものの、耳鳴りが残って続いていました。普段の生活のなかで、この耳鳴りは意識を耳に集中するとよく聞こえます。でも、耳鳴りに意識を向けなければ気になりません。
つまり、「意識をどこに置くか、どこに向けるか」次第で感じ方は大きく変わってくる、ということです。
痛みにも同じことが言えます。さすがに骨折した瞬間の強い痛みを気にしないでいることは不可能ですが、弱い慢性的な痛みに意識を向けないことはできるのではないか、と考えています。
強い痛みには注意を払う必要がありますが、ちょっとした痛みであれば、意識を向けなければ感じずに済む場面もあるでしょう。試してみる価値はあると思います。ただし、あくまで参考程度に捉えてください。
圧迫骨折の痛みは時間の経過とともに軽くなっていくことが多い
多くの方は、時間が経つにつれて痛みが軽減していきます。ほかの骨折と同じように、初期の強い痛みは徐々におさまっていく傾向があります。
ただし、骨折の部位や状態によって、いつ痛みが消失するかを正確に言うことは難しいです。「いつの間にか骨折」という言葉があるように、強い痛みを伴わない骨折もあり、痛みの出方はさまざまです。そのため、症状が長引いてしまう場合もあります。
痛みが長引くメカニズムにはさまざまな理由がありますが、そのひとつに、痛みが気になって不安が積み重なり、どんどん痛みを強く感じてしまうという心理的な要素の影響があります。
「そのうち痛みは落ち着いていくだろうから、あまり気にしないようにする」。このくらいの気持ちでいるほうが、痛みは楽になりやすいのではないかと思います。
また、圧迫骨折は珍しい骨折ではなく、多くの方が経験されています。症状の程度はそれぞれですが、時間の経過とともに痛みを気にすることなく日常生活を送っている方も少なくありません。過度に怖がる必要はありません。
圧迫骨折全体の基礎知識については、圧迫骨折のまとめ記事もあわせてご覧ください。
姿勢と生活環境の見直しが痛みを変えます
圧迫骨折の痛みを軽くしていくうえで実行しやすいのが、良い姿勢の意識と、生活環境の工夫です。
良い姿勢を意識するための注意点

悪い姿勢は背骨の前方がつぶれやすくなるため、背中が丸くなりがちです。重力に任せて背中を丸めてしまうと、さらに背骨の前方に力がかかるため、悪循環を起こしてしまいます。
この悪循環を起こさないためには、背中が丸くならないように意識することです。
良い姿勢を保つためには、コルセットなどの補助道具を使用する方法もひとつですが、自分自身で意識することが一番効果が高くなります。早い段階から姿勢に意識を向けるようにしましょう。
生活環境も姿勢に影響します
床や地面に座ると、腰や股関節の構造から姿勢が悪くなりやすくなります。床にお尻をつけると腰が丸まりやすくなるためです。
床や畳に座る場合は、座布団をお尻の下に敷いたり、お尻を高くしたりする工夫が必要です。生活環境を一気に変えることは難しいので、できる範囲で腰に強い負担をかけない工夫をしていけるとよいですね。
なお、ストレッチや体操を行う際は、無理な負荷が再発の危険につながるため、優しく・ゆっくり・継続することが基本です。
すぐ医師に相談すべきサイン
次のような症状がある場合は、様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。
- 足のしびれや脱力がある、力が入りにくい
- 排尿・排便の異常(出にくい、我慢できないなど)がある
- 痛みが以前より強くなってきた、または長引いている
- 発熱がある
- 新たに転倒した、しりもちをついた
圧迫骨折は、痛みを感じないまま起きていることもあり、最初は軽い骨折だったものが時間の経過とともに進行することもあります。腰に痛みが出たときは、ひとまず受診しておくのがよいでしょう。痛みがなくても、背骨に違和感がある、姿勢が悪くなったと感じる場合も同様です。早めの対応が再発予防につながります。
よくある質問
Q. 圧迫骨折は手術をしないと治らないのでしょうか?
現在は、手術をしない保存的療法が中心です。骨折部位が非常に不安定であったり、神経障害が強く出ていたりする場合には手術を検討することもありますが、手術が適応されるケースは比較的少ないと考えられます。必要かどうかを判断するのは医師です。気になる場合は主治医に相談し、必要に応じてセカンドオピニオンも検討してください。
Q. コルセットはいつまで着けていればよいですか?
骨折部位の背骨が固まるには数か月を必要とすると言われており、2〜3か月間が装着の目安とされています。ただし実際の期間は状態によって異なるため、医師やリハビリ担当者と相談しながら決めてください。不安からずっと着け続けてしまう方もいますが、依存しないようにする努力も大切です。
Q. 痛みがなかなか取れず不安です。どうすればよいですか?
痛みが長く続くことは少なくありません。不安によるストレスは痛みを慢性化させやすくするため、姿勢を整える、無理のない範囲でストレッチや体操を続けるなど、前向きな対策を実行して不安を減らしていくことが助けになります。ただし、痛みが強くなってきた、しびれや脱力があるといった場合は、我慢せず受診してください。
まとめ
- 圧迫骨折の痛みが続く主な理由は、正しい治療の流れを知らない・治療を継続できない・姿勢が悪いままの3つです
- 治療の柱はリハビリテーション・装具(コルセット)・手術の3つで、現在は保存的療法が中心です
- コルセットは2〜3か月間が装着の目安ですが、期間は医師やリハビリ担当者と相談して決めます
- 手術には固定術・椎体形成術・BKPなどがありますが、要否の判断は医師が行います。納得したうえで決めることが大切です
- 不安や心理的ストレスは痛みを強め、慢性化させる要因になります。痛みに意識を向けすぎない工夫も有効です
- 多くの方は時間の経過とともに痛みが軽くなっていきます。過度に怖がる必要はありません
- 良い姿勢の意識と、床に座るときの工夫などの生活環境の見直しが、痛みの改善につながります
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や不安がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
最新記事 by 平林康平 (全て見る)
- ぎっくり腰で動けないときの対処法|起き上がり方 - 2026年8月24日
- 肥満と腰痛の関係|体重増加による腰の痛みと対策 - 2024年5月28日
- 腰痛の背後に潜む?専門家が指摘する可能性のある12の病気 - 2022年5月4日












私は半年前の12月下旬に背骨を骨折して治療中でしたが、なかなか痛みが取れず以前は1時間以上歩くことが出来たのですが10~15分歩いたら背中、腰が痛くなって歩けなくなってしまいました。
痛み止め薬や貼り付けパットなど色々ためしました。
最近になってこの記事を読んでなるほどと思い早速実行して考え方も不安から治るんだと思い出したら痛みも感じなくなって以前のように歩けるようになりました。大変に有難う御座いました。
柏田様
とても嬉しいコメントありがとうございます。
運営者で理学療法士の平林です。
この記事が少しでもお役にたてたのでしたら、とっても嬉しく思います。
症状の方が、以前のように歩けるようになっているとの事で。
それは、ホントに良かったですね。
それも、柏田様ご自身が腰痛を治す為に諦めなかった行動が今の結果に至っているのだと思います。
その過程で、当サイトが少しでもお役に立てたという事で、とても嬉しく思います。
まだ、サイト内の記事の整理などもできていない部分も多いのですが。
今後もお役にたてるような記事を載せていきたいと思いますので。
引き続きよろしくお願いいたします。
運営者:理学療法士 平林