国家資格を取得しており、学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いないでしょう。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたらと思います。
何が言いたいのかというと、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、記事の内容はリハビリテーションの専門家の意見や考えである。
というように捉えてほしい。という事です。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
では、宜しくお願いいたします。
1 ALS(筋萎縮性側索硬化症)ってなに?
ALSとは、Amyotrophic laterral sclerosisの略で日本では、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)と言われています。
神経変性疾患で、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロンの障害です。
運動ニューロンが侵されると、手足や呼吸に関する筋肉が動かしにくくなり、衰え萎縮していきます。
つまり、体の関節や筋肉を動かせ!という指令を送る神経が傷害されてしまい、関節や筋肉が動かせなくなってしまう。
という状態です。
日本では指定難病とされており、好発年齢は40~60代とされていますが若くしてかかる人もいます。
男女比は約1.5倍で男性の方が多いとされています。
1-1 どんな症状があるのか?
ここでは、症状について紹介していきます。
【痛みやしびれ】 これには。様々な要因があります。
などが考えられます。 また、動けないことや同じ姿勢を取ることによる圧迫、精神的なものも要因になり得ます。 |
【不眠】 体の痛みや精神的不安、動かせない不快感。 呼吸障害による呼吸のしずらさ、痰の吸引なども安眠を妨げる要因になります。 |
【認知症】 ALSは認知面は保たれるとされていましたが、近年、前頭側頭葉型認知症を合併しやすいことがわかってきました。 前頭葉は、記憶・感情・行動などをコントロールする領域です。 側頭葉は、言葉を理解して表出するいわゆる言語野といわれる領域です。 前頭側頭葉型認知症になると、集中力や自発性が低下したり同じ行動を繰り返したり。 感情や衝動が抑えられなくなったり、また発語や言語の異常といった症状があらわれます。 |
以上の症状が基本的には、考えられるでしょう。
1-2 ALSの特徴
これより、以下に、ALSの2つの特徴と4つの比較的維持されやすい機能について記載していきたいと思います。
【四肢型】
など手足の筋肉の萎縮や筋力低下といった症状から出現します。 |
【球麻痺型】
など嚥下障害や構音障害の症状から出現します。 |
【比較的維持される機能とはなにか?】 |
眼球運動障害 手足が動かなくなっても眼球運動に関わる筋肉は侵されないので、眼球の動きで意思表示をしたり、ワープロを操作したりしてコミュニケーションを取ることが可能です。 |
膀胱直腸障害 自律神経系が侵されにくいので、尿意や便意は正常で失禁も起こりにくいです。 |
感覚障害 視力・聴力・臭覚・味覚・触覚などの体の感覚は侵されにくく保たれます。 |
褥瘡 臥床時間が長いと褥瘡が出来やすいのですが、ALSの患者さんには出来にくいようです。 痛みの知覚が正常なので体位交換など適切に訴えることが可能ですし、自律神経が侵されにくいので血流障害も起こりにくいのかもせれません。 皮膚のコラーゲンが変化するという説もあります。 |
※ALSの維持機能・症状※
1-3 症状の進み具合ってどんな感じ?
これより、
- 初期
- 中期
- 末期
という順に症状の進み方について紹介していきます。
【初期】 手足の症状としては、
などがあります。 喉や舌の症状としては
などがあります。 |
【中期】 筋力低下が進み、日常生活動作も低下していきます。 日常生活の中で介助量も増えていき装具や福祉用具の導入、動きやすい動作方法の獲得が必要になります。 |
【末期】 全身の筋力低下がいっそう進み、寝たきりの状態になります。 適切なポジショニングや体位交換、痰吸引や人工呼吸器の管理などが不可欠になります。 そのような状態になっても認知面は保たれる患者さんが多いので、コミュニケーションを取っていくために機器を導入したり環境制御も適宜行っていきます。 |
2 ALSの原因として言われているものは?
ここでは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の4つの代表的な症状について紹介していきます。
【グルタミン酸過剰説】
ALSは運動ニューロンの障害です。
ニューロンとは神経細胞全体をさします。
神経細胞と神経細胞の間を神経伝達物質を介して、脳から筋肉へと運動の命令が伝わっていきます。
神経細胞間の隙間をシナプスといいます。
そのシナプスのグルタミン酸を再び取り込む機能が損なわれ、神経細胞のまわりがグルタミン過剰の状態になり、神経細胞が死滅するといわれています。
【環境的因子説】
ストレスが要因という説がありますが、はっきり解明されていません。
進行を速める要因のひとつではあるようです。
グアムや西ニューギニア、日本の紀伊半島にALSの多発地帯があり、その地域の発症率は平均の50~100倍とされています。
生活スタイルが大きく違うというわけではないので、土壌や飲料水などの観点から研究がすすめられてますが。
これもまた、はっきりと解明されていません。
【神経栄養伝達物資欠乏説】
神経を成長・修復させる為に必要な栄養が不足し、その結果運動ニューロンが破壊されるという説があります。
【家族、遺伝的要因説】
ALS患者のうち、遺伝性の患者は5~10パーセントで必ずしも遺伝するとは限りません。
むしろそうでない場合のほうが多いのです。
遺伝子の突然変異によって活性酸素を解毒する酵素が作れなくなり、運動ニューロンを死滅させる。
という説があげられていますが。
それにあてはまるのも遺伝性の患者の中で20パーセントほどで、解明されていない部分のほうが大きいのが現状です。
3 ALSの診断について
3-1 ALSはどの診療科にいけばいいのか?
手足や喉の初期症状から、内科、整形外科、耳鼻咽喉科を受診する患者さんが多いようです。
しかし、ALSについては神経内科を受診されるのがいいでしょう。
3-2 ALSの発症から診断過程の流れについて
手足や顔面や眼球の動き、腱反射やバランスや感覚などから運動神経が障害されているかを調べます。
そして、MRIや筋電図などから運動神経の障害の程度を調べます。
3-3 ALSの発病率について
1年間に人口10万人あたり1~2人といわれています。
日本では、平成27年において患者総数は9434人で、50~70代が多くを占めています。
4 ALSの治療について?
これより、ALSの治療について述べていきます。
症状や病気を治す・完治させる。
という事は難しいのですが、残存機能を残す努力をする!
という事が非常に大切になります。
そのためには、治療としてリハビリや心身のケアが必要になります。
その方法を紹介しています。
4-1 運動療法
筋力低下に伴い、起き上がりや立ち上がりなど日常生活動作の低下に対し、効率良く動きやすいやり方を練習します。
ただし、痛みや疲労に注意しながら過度の負担にならぬよう気を付けないといけません。
初期~末期全体を通して関節の可動域の維持は重点的に行い、出来るだけ全身の可動域が維持出来るようにします。
4-2 栄養管理
- 筋力の低下
- 嚥下障害による栄養摂取不良
- 呼吸障害によるエネルギーの消費
などから。
初期~中期にかけては痩せやすいのでカロリーを意識して取ることが望ましいです。
しかし、後期に人口呼吸器を導入するとなると、必要なエネルギーは減少しカロリーも抑える必要が出てきます。
病期によって対応は異なってきます。
むせが気になる場合は、とろみを付けたり食事形態を変えるなど工夫します。
胃ろうの造設を検討する場合もあります。
医師・栄養士・看護師・言語聴覚士など、医療チームによって必要なことが検討されます。
4‐3 呼吸管理
呼吸筋の低下とともに肺活量も低下し、呼吸不全や嚥下障害や排痰障害を起こします。
また、誤嚥によって気道感染を併発しやすいので、様々な点で管理が必要となります。
排痰への対策としては、体位排痰方や吸引器などによって、安全な排痰を促すようにします。
呼吸筋の維持や胸郭の柔軟性の維持を目的とした肺理学療法も有効です。
進行の程度により体外式の鼻マスクや人工呼吸器の使用や、気管切開しての人口呼吸器の導入も検討されます。
医療的な管理やリスクも伴うため、本人や家族の意思を医療チーム側に伝えよく話し合うことが望ましいです。
4‐4 心理面、心のケア
症状の進行に対する恐怖感はもちろん。
仕事を失うことに対する生きがいや社会的役割の喪失感、経済的な不安などALSの患者さんの心理的苦痛は非常に大きいといえます。
しかし、最後まで認知面は保たれる場合が多いこともあり、いかに一人の人間として尊厳を持って接するかということが大切になってきます。
尊重してコミュニケーションを取っていくのが良いでしょう。
症状の進行に伴い体がどんどん不自由になっていくわけですが、過度の同情や哀れみは重要ではないと思います。
どんな小さなことでも自分で出来ることはしていただく、自分で決めていただくなど。
過度な介護にならぬよう気を付けそのつど意思を確認し、コミュニケーションをしていきましょう。
5 ALSの方にしてあげるべき事
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方に対しては、身体状況以外の面のサポートが重要になります。
だんだん進行していく疾患ではありますが、症状の程度に応じて対応していく事が必要です。
以下に、サポートできる活動を述べていきたいと思います。
5-1 コミュニケーション方法の考慮
症状の進行とともに発語、筆談やジェスチャーなどが難しくなってくるので、状態に合わせたコミュニケーション方法を取っていきます。
文字盤やカード、わずかな力や顔面・眼球の動きで反応するスイッチなどがあります。
また、インターネットを使うにあたり、パソコンのスイッチ操作や視線入力装置などを導入します。
5-2 経済的支援の活用
様々な医療費の制度があります。
- 指定難病医療費制度
- 高額医療費還付制度
- 身体障害者手帳による障害者医療助成制度
- 生命保険の入院給付金
などがあげられるでしょう。
5-3 ALSで受けられる助成制度の活用
診断を受けたらまず、特定疾患医療受給者証の申請を行います。
交付され、症状が進行したら39歳以下の場合、身体障害者手帳の申請をし障害者福祉サービスを使います。
40歳以上の場合、介護保険を申請し要介護認定を受けサービスを使います。
住宅改造や福祉用具・医療機器の給付やレンタル、特定疾患特別介護手当、訪問介護補助など様々なサービスがあります。
仕事を休業した場合は、障害者手当や税金の控除、交通運賃の割引などがあります。
6 まとめ
いかがでしょうか?
ALSという疾患は難病指定になっており、改善させるという事が難しい病状です。
改善させる事が難しくても、進行を進めさせない。残存機能を最大限に使えるように生かす。
という事が重要です。
ALSになってしまったら、もう何もできないという気持ちを持ってしまうかもしれませんが、そうではありません。
ALSでも、できる活動は積極的に行っていくべきでしょう。
そして、適切な環境調整をサポートしていく事が必要です。
私達、医療者や家族、支援者は、ALSの患者さんの為にも、生活の質や生きがいをいかに保っていくのか?
という部分に意識を持ち、サポートしていく事がいいでしょう。
是非、このような気持ちを持って頂きたいなと思います。
執筆者:mamotteライター 作業療法士 ナカガワ
追記・編集:運営者 理学療法士 平林
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作業療法士でmamotteライターのナカガワです。
あなたは【アイスバケツチャレンジ】という寄付金活動を覚えておりますか?
頭の上からバケツに氷が入った冷たーい水をかぶる。
という、夏にやっても寒いと思うアレです。
で、このアイスバケツチャレンジは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病疾患の研究を支援するために、アメリカで始まった寄付金活動の事です。
氷水を被るかALS協会に寄付をするかどうか。
という活動がメディアで広がり、世界中で多くの有名人が参加し、話題になりましたね。
それで、ALSという病気の名称を知った人も多いと思いでしょう。
でも、ALSという難病が認知されたけど、実際にどんな症状で、どんな病気なのか?
という事は知らない人の方が多いのではないでしょうか?
そこで、今回はALS(筋萎縮性側索硬化症)って何?という事をテーマにして、記事にしました。
この記事を読めば、ALSってなんなのか?が理解できるでしょう。
是非、最後まで読んで、ALSについての理解を深めて貰えたら嬉しいです。
では、本日もよろしくお願いいたします。