※この記事はリハビリテーションの専門家である、理学療法士2名の思考と考えを交えて紹介しています。
内容は絶対ではありませんが、国家資格を取得しており。
学んできた経験があります。
ですので、信憑性や信頼性は間違いない部分もあります。
しかし、個人的な意見や見解もあるので、解釈は人それぞれです。
共感する部分は、共感して頂き、納得できる内容は納得して頂けたら嬉しいです。
ですので、この記事の内容が絶対正しい。
とは思わずに、リハビリテーションの専門家の意見や見解である。
というように捉えてほしいと思います。
この記事があなたの参考になれば嬉しいです。
是非、宜しくお願いいたします。
運営者で理学療法士の平林です。
この記事では、後縦靭帯骨化症はどんな症状がおきるのか?
という疑問に答えていきます。
また、病態の初期と後期では症状も変わってきます。
さらに、症状や状態が違えば、アプローチする治療内容も違ってくるのです。
という事で、この記事を読むメリットは、
といった二点があります。 |
是非、最後まで読んで参考にしてください。
では、本日もよろしくお願いいたします。
1 後縦靭帯骨化症はどんな症状がおきるの?
後縦靭帯というのは、椎体の後方(脊髄の前方)にある靭帯で、それぞれの椎骨を連結するように脊骨全体にわたって存在しています。
この靭帯の一部が骨化(骨へ変化)して、脊髄や脊髄から枝分かれした神経根(しんけいこん)を圧迫することで様々な症状が出現します。
病変の場所によって、その症状に特徴があります(厳密には、同じ場所でも同じ症状が出るとは限りません)。
ただし、靭帯が骨化しても、すぐに症状が出るわけではありません(日本人の100人の内3人程度に骨化が起こると言われていますが、症状の出ない人が多い)。
骨化が進行して、かなり脊髄が押しつぶされないと(狭窄率50~60%など)症状が出ない場合もあります。
脊髄の通り道である「脊柱管」の太さには個人差があり、この管の直径が大きく、余裕があれば、骨化が進行しても症状が出にくいこともあるのです。
では以下に、頸椎、胸椎、腰椎での症状の出方の違いについてご紹介していきますね。
【頸椎後縦靭帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこっかしょう)とは】
→頸椎(第1から第7頸椎)で起こる後縦靭帯骨化症です。
頸椎は脊髄の最も上部にありますから、ここで脊髄への圧迫が起こると、手から足までの広範囲にわたって症状が出る可能性があります。
この点が一番の特徴です。
また頸椎は、後縦靭帯骨化症の中で最も起こりやすい部位で男性に多い(女性の約2倍)という特徴もあります。
脊髄は中枢神経ですから、脊髄が直接圧迫を受けることで中枢神経麻痺等の症状が出現することがあります(動きがぎこちない、足が突っ張るなど)。
そして、脊髄から枝分かれした神経根は末梢神経となります。
なので、末梢神経性の症状が出現する場合が多いのです。
【胸椎後縦靭帯骨化症(きょうついこうじゅうじんたいこっかしょう)とは】
胸椎(第1から第12胸椎)に起こる後縦靭帯骨化症です。
胸椎レベルになると手の症状がほぼなくなり、体幹から下肢までの症状が主となります(胸髄の1番目は手に関係します)。
発症の割合は頸椎ほど多くはありません。
頸椎後縦靭帯骨化症が男性に多いのに対して、胸椎では女性に多いという特徴があります。
頸椎と同様に中枢神経と末梢神経の症状がどちらも出現する可能性があります。
頸椎と比較して手術の成績が悪いという特徴もあります(車いす生活となる場合もあり)。
【腰椎後縦靭帯骨化症(ようついこうじゅうじんたいこっかしょう)とは】
腰椎(第1から第5腰椎)に起こる後縦靭帯骨化症です。
脊髄は平均的に第1~第2腰椎程度の高さで終わり、それから下は脊髄から枝分かれした馬尾(ばび)神経と呼ばれます。
枝分かれした後の神経が圧迫された場合、末梢神経の症状が多くなります。
腰髄神経、仙髄神経、尾髄神経が障害を受ける可能性があります。
2 後縦靭帯骨化症の原因は不明
疾患の原因についてはいまだ解明されてはいませんが、遺伝的な要因が重要視されています(1/4程度の確率で遺伝する)。
また中年以降に発症が多いこと、糖尿病の方に多いことなどから、加齢や糖尿病との関連もあると考えられています。
近年、実際に後縦靭帯骨化症に関わる遺伝子(RSPO2)が発見されたり、患者に特有のたんぱく質が発見されたりしています。
このような研究では動物を用いた実験が行われていますが、試験的に作られた物質によって骨化が抑制されるなど、明るい結果が得られています。
今後のさらなる研究と解明に期待したいところですね。
3 後縦靭帯骨化症の特徴的な症状を紹介
では、特徴的な症状についてお話していきますね。
【首、肩】
- 首(肩)に痛みやこりを感じる
- 首の動きが悪くなる(可動域の低下) → 注意:無理に動かさない!
- 肩の動きが悪くなる(筋力低下、麻痺、可動域の低下)
【腕、手】
- 腕や手にしびれ(ジンジン、ビリビリなど)を感じる
- 腕や手に痛みを感じる
- 感覚障害を生じる(鈍いなど)
- 手、腕の力が入りにくい(筋力低下)
- 手、指を使った動作がしにくくなる(箸を使う、ボタンのかけ外しをするなど)
【体幹】
- 体幹の動きが悪くなる(脊柱の可動性低下、筋力低下、麻痺など)→注意:無理に動かさない!
- 感覚障害を生じる(感覚が鈍い、灼熱感など)
【下肢】
- 足が突っ張る→ 突っ張り感は中枢性麻痺による痙性(けいせい)
- 足にしびれを生じる
- 足に感覚障害を生じる
- 足の動きがぎこちない
- 足に力が入らない(筋力低下など)
- 歩きにくい(歩行障害)
- 間欠性跛行(かんけつせいはこう)を生じる
※長距離を連続して歩行が辛くなるが、途中で休むと再度歩行可能となる。
【その他】
- 排尿、排便障害(尿が出にくい、残尿感、便秘など)
※重症化した場合の症状の1つです。早急の受診が必要です。
4 後縦靭帯骨化症の初期~後期と症状は変化する
症状の出方は様々で、骨化の部位によっても違いますが、多い例についてご紹介します。
4‐1 初期の症状
- 首のこり、違和感、手・腕・足のしびれなど
- 手指の動きがぎこちない
4-2 中期の症状は
- 字が上手く書けない、箸が上手く使えない、ボタンのかけ外しが困難になる
- 足の脱力や突っ張り感
- 歩行障害(軽度)
4‐3 後期の症状は
- 歩行障害(重度~歩行不可能)
- 排尿、排便障害(尿が出にくい、残尿感、失禁など)
出典:河合伸也ほか:後縦靭帯骨化症. 臨床所見. 骨・関節・靭帯3:567-72,1990)
5 マッサージやリラクゼーションで悪化するかもしれない。という話
現在も「癒しブーム」が続いているのかどうかは定かではありませんが、肩こりで民間の「施術」を受ける方は多いのではないでしょうか?
肩こりで整形外科や脊髄外科へ行くことが一般的になっていないからかもしれません。
ここに盲点が潜んでいます。
初期の後縦靭帯骨化症の症状に首・肩の痛みやこりのようなものがあります。
元来肩こりの人であれば、症状の違いで気づくかもしれませんが、そうでない人の場合であれば、単なる肩こりと感じてしまうかもしれません。
肩こりだろうと推測した人は民間の施術を受けることとなります。
運悪く靭帯の骨化が進行し、かつ構造的に壊れやすい状態だと、施術によってこの部分が壊れてしまうことがあります。
壊れた靭帯(骨化している)は、時に脊髄を損傷してしまいます(壊れなくても急激な脊椎の動きで脊髄を傷める可能性もあります)。
その結果、それまで出ていなかった症状が一気に出現することとなります。
救急車で病院へ搬送ということが現実に起こっています。
この現実に対して国内各業界では安全対策を強化しているようです。
しかし、X線撮影やMRIなどの画像診断は医師のみが可能です。
病院以外で後縦靭帯骨化症の診断をすることは不可能です。
したがって、
肩こりや、ちょっとした手のしびれであったとしてもまず整形外科医や脊髄外科の診断を受けることが必要です。
さらに言うと、整形外科では後縦靭帯骨化症の治療を行っている医師の診察を受けることがベストです(整形外科の中でも専門が分かれています)。
脊髄外科は脊髄や脊柱に関する疾患の専門です。
病院はこちらで検索できます。
参考URL:日本脊椎外科学会
たかが肩こりと思うことなく、最低限、頸部のレントゲンだけでも撮影しておくと安心でしょう。
家族に後縦靭帯骨化症の人がいたり、自分自身が糖尿病を持っていたりする場合、症状がなくても定期的な撮影も有効だと思います。
靭帯の骨化が発見されたら、無理に動かさないような配慮が必要です(その他医師の指示に従ってください)。
間違っても背骨を「ボキボキ」とやるような施術を受けてはいけません。
だいたい、後縦靭帯骨化症を理解している整体師やマッサージ屋さんなんて、ほぼいません。
国家資格を保有していない者が行っている例もありますので、十分気を付ける必要があるでしょう。
6 まとめ
今回は後縦靭帯骨化症の症状についてお伝えしました。
後縦靭帯骨化症は難病に指定されている疾患で、原因はまだ解明には至っていませんが、遺伝子に原因があると考えられています。
主に頸椎に起こることが多い疾患ですが、脊柱のどの部位にでも起こる可能性があります。
そのような理由があるため、発症部位によって症状の出方は様々です。
初期の症状には首、肩の症状や手・腕のしびれが多く見られ、重度化すると歩行障害や排尿障害などを生じることもあります。
重度化した場合は手術による治療が必要なこともありますが、必ずしも重度化するということばかりではなく、症状が進行しない場合もあります。
症状の変化に留意して、定期的な画像診断で骨化の状態を確認していくことが重要です。
また、脊柱に衝撃が加わるなどがきっかけで、骨化した部分が骨折し、脊髄損傷を起こす危険性もありますので、日常生活の行動についても十分な配慮が必要です。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
参考URL: 脊椎手術.com
※ 編集を終えて・最後に ※
どうでしょうか?
後縦靭帯骨化症の症状について考えてみました。
実際に後縦靭帯骨化症と診断された方は、症状がそれぞれです。
僕が過去に担当したケースでは。
① 首の後縦靭帯骨化症と診断された女性 50代 症状:腕から手が重い、かるいしびれを感じる。 といった状態でした。 医師からは、手術も進められたそうですが、手術はしませんでした。 この患者さんは結果的には、リハビリによって、症状が軽くなって、現在では仕事も復帰できており、日常生活の負担も軽くなっています。 完全に症状が消えたわけではありませんが、QOLの向上はしています。 |
② 首・腰の後縦靭帯骨化症と診断された60代 男性 症状:腕から手の先まで常にしびれを感じている という状態の男性です。 この方、歩くのは押し車を使用していて。 歩行補助具がないと歩けない方です。 で、手術もしています。 私がリハビリを担当する3年前に首と腰を後縦靭帯骨化症の手術をしているのですが、症状はそれほど大きく変わっていない。 との事です。 本人としても、手術をした意味が今になっては、わからないなぁ・・・。 と言っておりました。 リハビリを進めていく上で、症状が少し軽くなる部分もありますが、この患者様もまた、すべて改善するまではいきませんでした。 |
とまぁ、この2人の方のように、後縦靭帯骨化症といっても、同じ症状がでるわけではない。
という事を理解していただけたらなと思います。
そして、
手術をしたからといって、治るわけではないよ。
という部分も頭に入れておくといいのかなぁ。
と思う次第です。
今回の内容があなたの役に立てば幸いです。
本日も最後までありがとうございました。
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皆様こんにちは。
mamotteライター理学療法士のイワモトです。
背骨の靭帯が骨に変化していく病気に「後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)」というのがあります。
指定難病の1つとされている疾患です。
今回は、この「後縦靭帯骨化症」の原因や特徴的な症状(発症部位別)、症状の変化、などについてお伝えします。
参考にしていただければ幸いです。