
目次
1 椎間板ヘルニアはリハビリで治る。
椎間板ヘルニアはリハビリで治す事が十分に可能です。
症状の出始めで、神経障害が軽いときであれば、それもすぐに治る可能性が高くなります。
椎間板は線維輪と髄核という物質で構成されており、線維輪の中心に髄核という物質が位置しています。
この椎間板の中心部分から髄核が飛び出してしまう事が椎間板ヘルニアといいます。
この髄核が
- 3分の1飛び出してしまったり
- 2分の1飛び出してしまったり
- すべて飛び出してしまったり
する事で、症状や治り方が、若干変わってくると言われています。
なので、極力、髄核が飛び出す量を最小限に留める方がよいのです。
この飛び出した髄核(ヘルニア)は自然と消失する場合もあります。
これが消失するとともに神経症状は無くなる事もあるでしょう。
また、自然と消失する以外にも、後に紹介する運動療法やストレッチなどで治す事はできます。(実際に運営者である理学療法士平林は椎間板ヘルニアを簡単な体操で治している事実もあります。)
なので、椎間板ヘルニアはリハビリで治す事は可能である。
というのを強く言いたいのが一番です。

また、
危険性の高い生活をしている方(重いものを担ぐ、中腰での作業が多いなど)は、髄核が飛び出す前にあらかじめ対策をしておくのが理想です。(髄核が飛び出してしまう理論は、他の記事をご覧いただくとわかります。)
また、事実として、症状が軽かったり、治療が早ければ早い程、治りも早くなります。
ですので、腰や足に痛みやしびれで何かおかしいな・・・と感じたらすぐに治療や対策を行う方が良いでしょう。
2 具体的に効果のあるリハビリって何か?

病院で行われるリハビリは医師からの処方がないと行えません。
しかし、リハビリというものは病院で行うものだけではありません。
やり方を覚えて、自宅や勤務先、外出先でおこなうものもリハビリです。
むしろこちらの方が重要な場合もあります。
病院のリハビリで実際に行われている効果のある方法(自宅でできるものもあります)をご紹介します。
2-1 運動療法という、筋トレや体操をしよう
運動を用いた治療法を運動療法といいます。
椎間板ヘルニアに対して行う、筋力を強くするためのトレーニングや体操も運動療法の一つとなります。
まず筋トレですが、筋トレの目的は一つではありません。
姿勢改善のため、脊柱(背骨の事)の保護安全な動作を行うためなど様々な目的があります。主に理学療法士が筋力を評価して、筋トレのプログラムを立てます。
よく行われるのは体幹筋(主に腹筋や背筋)の筋トレです。
体幹筋を鍛えることで、姿勢を改善し、動作時の腹圧を高める(脊柱の安定化・天然のコルセットとして働く)ことができます。
体幹筋のトレーニングはやり方を間違えると逆効果(ヘルニアを悪化させる)となり、正しい方法で行う必要があるので注意が必要です。
正しい方法は理学療法士が専門なので指導して貰えます。
また、
神経の障害で一部の筋に筋力低下を起こしている(麻痺などの事)こともありますから、筋力低下を起こした筋の筋トレも行います。(この場合は、麻痺した神経を使えるように賦活させる訓練を行うのが多いです)
また、よく腰痛体操と呼ばれますが、体操を用いた対策も沢山あります。
筋力アップを主な目的とはしていませんが、ヘルニアの改善に有効な動作を取り入れたものとなっているのです。
マッケンジー法など、うつぶせの姿勢になることから始めて、手をついて徐々に体幹を伸展(上体を反らす)させていくという、ヘルニアに効果のある体操が有名でしょう。
これは、歴史の長い、実績のある方法です。
そのほかにも、日常生活で正座を取り入れたりする方法などさまざまな体操が考案されています。
自分にあった体操を行うことでヘルニアの改善に効果があると言えるでしょう。
体操は日常の生活の中で簡単に行えるものが多いですので、自宅などでも継続して行いましょう。
体操は短期間行って、症状が改善したから終わりということではありません。
再発予防のためにも生涯続ける。
という意識(ちょっと重いですが、それくらいのつもりで)が必要でしょう。
2-2 適切なストレッチをしよう
ストレッチもまた運動療法の一つとなります。
まず、正常な脊柱の可動性を確保する必要があります。
よい姿勢を保つのに妨げになっている筋の短縮(筋肉が縮んでいる)を改善したり、動作の妨げになっている筋の柔軟性を増したりさせます。
筋が硬くなって正常な動作ができなくなることで、結果的に脊柱に負担がかかることがありますから、ストレッチは有効な手段となります。
腰椎の椎間板ヘルニアでは症状として「タイトハムストリングス」といって太ももの後ろ側の筋肉が固く短くなりやすいので、このような筋のストレッチも必要となります。
2-3 物理療法も良い方法である
リハビリでは運動療法がメインに行われていますが、物理療法も取り入れています。
物理療法とは、電気や温めたり、牽引したりして、物理的な治療をして痛みを取り除こうという考えです。
ストレッチを行う前や、緊張の上がった(筋肉に異常な力が入っている)筋に対して、温熱療法(ホットパック、マイクロウェーブなど)を行うことで筋をリラックスさせます。
低周波(電気)治療なども疼痛の軽減や筋のリラックスのために行われます。
その他、歴史の長いけん引療法(脊柱を引っ張って椎間を開く。マッサージ効果)なども行われます。
2-4 徒手(手技)療法といった、施術もおススメ
異常な筋緊張(筋肉異常に硬くなっている事)のある部位に対してマッサージを行ったり、脊柱の可動性を高めたりするなどの手技があります。
関節の特徴として、動きにくい関節の隣の関節は動きすぎるということがあります。(この逆もるのですが)。
- ハイポモビリティ(hypomobility)
- ハイパーモビリティ(hypermobility)
という言葉が使われたりします。
例を挙げると、
【第3番目の腰骨と第4番目の腰骨の動きが悪いと、その上にある第2番目の腰骨と第3番目の腰骨の動きが大きくなったり、下にある第4番目の腰骨と第5番目の腰骨の動きも大きくなったりします】
このように動きにアンバランスが生じるとヘルニアの原因になることがあるのです。
この椎間の動きを正常化するために徒手的療法と言って、治療者が直接、手を使って、関節をバキバキしたり、関節を引き伸ばしたりして、治療をを施すという方法があるのです(モビライゼーションやAKAなど)。
このような脊柱(椎間関節など)にアプローチする手技は高度な技術を要するため治療者の技術によって、大きな差が生まれてくるでしょう。
3 椎間板ヘルニアは首と腰に発症しやすい
人は進化の過程で二足歩行をする動物になりました。
この点ではほかの動物と比べて特殊だと言えます。
二足歩行によって両手がフリーになり、手先が器用になって便利にはなったのでしょうが、その代わりに腰痛が起こるようになったと言われています(前足で体重を支えなくなったため)。
椎間板ヘルニアの原因として、老化や遺伝などもありますが、やはり椎間板への過度なストレスが大きな原因となっているでしょう。
腰は重い上半身を常に支え、さまざまな動作で酷使される場所です。
必然的に腰椎の椎間板には大きなストレスがかかってしまい、椎間板は損傷しやすくなるのです。
椎間板の損傷は椎間板中心部にある髄核が飛び出す原因となり、これが椎間板ヘルニアとなります。
特に腰の下側付近(第4、5腰椎間の椎間板など)にはストレスが多く、発症しやすい部分です。首についていうと、人間は重い頭部に対して首が細い傾向にあります。
細い頸椎(けいつい)、発達していない筋肉で重い頭部を支えているので、首も過度なストレスが加わり障害が出やすい部位であると言えるでしょう。
下を向いた姿勢が多くなったことや、首の筋力が低下したことなども原因としてあるでしょう。
首と腰に共通な理由として、首(頸椎)、腰(腰椎)は可動範囲が広い(椎骨間の関節の動きが大きい)ということも理由の一つとなるでしょう。
胸椎は脊柱の中では動きが少ない部位で、ストレスが比較的少ないので胸椎の椎間板ヘルニアは少ないと言えるのです。
4 ヘルニアの手術は最終手段が良い!という考え
椎間板ヘルニアは、症状が急速に進行し、早急に手術をする必要がある場合もありますが、
症状が軽ければリハビリによる方法(姿勢の改善、日常生活動作の改善も含む)を実施することで改善する可能性は十分にあります。
実際に手術を必要とするほど重症のヘルニアはそれほど多くはありません。
まずは保存的な療法を行い、それでも神経症状が改善しない場合に手術を検討する方がよいでしょう。
ただし特殊な状況もありますので、専門家の経験と知識にも頼って判断しましょう。
基本的には医師も、手術は最終手段だと考えていることが一般的だと思います。
現在は侵襲(生体を傷つけること)の少ない内視鏡を用いた手術などもありますので、個人的には手術を行う場合はこのような方法をお勧めします(手術可能な医師が限られますが)。
5 手術は最後の最後の最終手段の方がよい

※ 理学療法士 イワモトの思考・考え ※
私自身ヘルニアの症状が出ていますが、手術は最終手段と考えています。
それは今のところ症状が常時ではなく時々で、重度ではないからです。
また日常生活で腰に負担のかかりにくい動作を心がけたり、体操をしたりもしています。
そのような方法で何とか維持できているので手術をするほどではないと判断しています。
しかし一方で、私の家族が腰椎椎間板ヘルニアで、ひどい痛みと歩行障害に見舞われたときは、手術による方法が最善と判断しました。
この時は内視鏡手術を行いました。
予後(術後の経過)は良好です。
ひどい痛み、歩行障害、膀胱直腸障害(尿が出ない、便秘など)などの症状が出たときは保存的療法では危険な時がありますので、専門家(経験豊富な医師など)に相談して手術による治療法も検討する必要があると思います。
6 まとめ
今回は椎間板ヘルニアのリハビリについてお伝えしました。
椎間板ヘルニアは多くの場合、手術を必要とせず改善させることができるでしょう。
リハビリを早期から行うことはよい選択と言えます。
ですので、【早期治療】を心がけて頂けたほうが良いと思っています。
椎間板ヘルニアは、リハビリで治せる。
という気持ちを持ち、治療に育む事が必要だと思います。
リハビリを担当する理学療法士はプロなので、知識と技術をもって誠心誠意対応します。
その担当者を信じてあなたの症状を治すように努力してくれると思います。
少なくても、私やmamotteのライター、運営者の平林はそのように思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆様のご健康をお祈りいたします。
執筆者:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集者:mamotte運営者 理学療法士 平林

※ 編集を終えて・最後に ※
運営者の理学療法士 平林です。
椎間板ヘルニアと診断されると、不安になり、さぞかし怖くなることでしょう。
軽いヘルニアの場合だと、腰が痛いのに、投薬だけで様子をみましょう。
と言われたり、症状が重いと、手術を進められた事があるかもしれません。
そんな中で、椎間板ヘルニアはどんなに症状が重くても、リハビリのような体操で治す事は可能なのです。
100%治すとは言えませんが、治せる可能性は多いにあります。
リハビリのような、簡単なストレッチや、体操指導で、治ってしまう例も少なくありません。
実際に、私は椎間板ヘルニアを中心にあらゆる腰痛を簡単な体操と姿勢の指導や日常生活の注意点の指導だけで改善させてきています。
これはリハビリではなく、治療体操です。
しかし、【簡単な体操と姿勢の指導や日常生活の注意点の指導だけ】で治ってしまうのが事実なのです。
このように、椎間板ヘルニアは手術以外でも治せる。
という気持ちと考えを持って頂きたいなと思うのです。
あなたの腰痛や下肢痛が治る事を心より願っています。


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皆様こんにちは。
mamotteライターで理学療法士のイワモトです。
腰痛で、椎間板ヘルニアと診断されたら、不安になりますよね。
きっと、お医者さんからは、投薬かリハビリで様子をみましょう。
と処方される事が多いかと思います。
また、リハビリと言っても、電気治療や温めたり、牽引をしたりする物理療法だけの事を言っていたり、マッサージのような治療手技を行うだけの事をリハビリだという医院も少なくありません。
しかし、私や運営者の平林(理学療法士やリハビリ職)が考える
リハビリとは【病院に頼らないでも済むような体になる】という事だと考えています。
つまり、【自分の体は自分で守る】という思考なのです。
この思考の元に、椎間板ヘルニアはリハビリで治す事が可能だと思っています。(実際にこれまでに、リハビリで椎間板ヘルニアを治してきた経験も沢山あります)
これまでにmamotteの記事で椎間板ヘルニアについてはいくつか話してきました。
と椎間板ヘルニアのあなたにとって役に立つ内容のはずです。
そして、今回は、【椎間板ヘルニアはリハビリで治る】というテーマで話していきたいと思います。
この記事を読めば
といった2点のメリットがあります。
ヘルニアと診断されて不安になっているあなたの力になる事ができる話しにしています。
この記事を読む事で、手術だけではなく、リハビリでもヘルニアは治せるんだなぁと。
少しでも感じて頂けたら幸いです。
では、本日もよろしくお願いいたします。