※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。
なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。
執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。
ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。
それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。
しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。
というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。
- どれが正しくて、どれが間違っているのか?
- どれが自分に適している治療なのか?
個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。
ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。
間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。
【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。
ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。
そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。
1 圧迫骨折でコルセットをしても痛み取れない理由について考えた
早速ですが、コルセットをしても痛みが取れない理由について述べます。
それには2つの理由が考えられて。
理由1 そもそものコルセットの使い方を間違えているから
理由2 コルセットに依存するマインドになっているから
という事が言えます。
これより、理由を話していきます。
参考にしてください。
理由① そもそものコルセットの使い方を間違えているから
まずは、そもそもの問題です。
コルセットのつけ方を間違っていると、効果はないよね。
というお話です。
コルセットをあてる位置は、人によって若干変わってきます。
- ベルトの位置が丁度良かったり
- ベルトより下がった位置が良かったりと
若干、個々によって変わってくるのです。
なので、『痛みが楽になるなぁと感じる位置に、コルセットをつけている事ができなければ痛くなるよね』という感じです。
圧迫骨折は背骨の小さい骨の一部がつぶれている状態です。
手や足の骨の骨折の場合、整復(形を整えるなど)して骨癒合させますが、脊椎の圧迫骨折では、通常つぶれた状態で骨癒合を待ちます。
つまり、骨をつながりやすくするためには、背骨の動きを抑える必要があるのです。
そこで、コルセットで背骨を動きづらくして、固定しましょう。
という目的があります。
しっかりとした、固定力の高いコルセットは背骨の動きを制限し、骨が固まるのを促します。
コルセットは背骨の動きを制限するために使用するので、使用方法(主に装着方法)を間違えると背骨が動いてしまい、その効果が薄れるのです。
骨折している部分がぐらぐら動いていたら、痛みが出ても不思議ではないことを想像してほしいと思います。
圧迫骨折で、病院で処方される多くのコルセットは固定性を高めるために硬い素材でできています。
スポーツ店やドラッグストアで市販されているような、柔軟性のあるものではありません。
このため、窮屈で装着感が悪いのも事実です。
また、コルセットが当たって皮膚に痛みを感じたりすることもあります。
このようなことも理由となって、緩めに装着したりと勝手に楽な使い方をしちゃう場合があるのです。
楽な使い方をしちゃうと、コルセットの固定力の効果も薄れてしまうのです。
そうなると最悪の場合、骨がつながらない状態(偽関節:ぎかんせつという)になってしまう可能性もあります。
これが原因となって、慢性的な腰痛を起こしてしまうことも少なくありません。
是非、気を付けてほしいと思います。
理由② コルセットに依存するマインドになっているから
2つ目に、コレです。
【コルセットに依存してしまう】問題です。
一度コルセットの安心感、安堵感などを感じるとそれから、離れる事が難しくなります。
これは、人間誰でもそうだと思うのですが、コルセットをした時に、痛みが少しでも楽に感じると外せなくなりますよね・・・・・。
そうなると、コルセットに頼ってしまい、コルセットがないと痛みが起きるのが怖い。
という状態になってしまうでしょう。
これが、コルセットへの依存につながります。
コルセットへの依存ができてしまうと、長期的にみた場合、コルセットをしていても痛みを感じてしまう状態に変化してしまうのです。
というのも、コルセットをして、最初は楽に感じているのが、それになれてくると、痛みが生まれてしまう事があるんです。
コルセットをしていても、腰の根本的な原因が解決していなければ、腰の痛みは起きます。
なので、コルセットで腰を固定しても逆に痛みが起きてしまう。
このような現象が生じるのです。
『そうなると、コルセットをしているのに、なんで腰が痛いの?』
といった気持ちになり、怖くなってしまいます。
この状態になると、それはもう辛くて、コルセットへの依存がスーパーマックス高まっているのに、腰が痛い・・・といった状況になり、痛みが治まらない不安やコルセットへの依存だけになってしまうという事が考えられます。
つまり、コルセットの依存は長期的にみた時に腰痛の悪化に変異してしまう可能性があります。
この可能性を理解していただきたいなと思います。
2 コルセットの使い方が間違っていると痛いのは当然ですよね。って話。
骨折すると、固定が必要になることがあります。
骨の場所や折れ方によって、その固定の方法は異なります。
例えば手の指の場合、骨折した指だけ部分的に固定すればよいこともあります。
背骨の場合は、小さい骨(椎骨:ついこつ)が連結して成り立っているのがわかります。
圧迫骨折は、背骨の一か所のみ骨折した場合、理屈ではこの部分(上下合わせて3個の椎骨)だけを固定すればよいと考えられます。
しかし、この部分だけ固定する現実的な方法がありません(手術すれば可能ですが)。
背骨だし・・・・小さい骨だし、連結しているし・・・・。
それが、この椎骨骨折の難しいところです。
実際には、この背骨の部分の動きを止めようとするならば、3個の骨だけでなく、さらに大きな範囲で外側から支えてあげる必要が出てきます。
このような現実的な問題があるために、大型の、しかも硬いコルセットで固定するしかないのです。
背骨は簡単に効率よく固定することができない骨です。
正直な話、コルセットを正しくしっかり装着していても、コルセットの内部で脊柱は多少動きます。
これほど、固定が難しいところなので、コルセットを正しく装着するということは最低限必要なことで、コルセットの使用法(装着法)を間違っていれば、痛いのは当然ということも言えるでしょう。
参考にしてください。
3 コルセットに頼らないようになる事が、何よりも大事と思う。
次にこんな話です。
コルセットに頼らないようにしよう。という話です。
コルセットは、言ってみれば、自動車の緊急時ブレーキアシストシステムみたいな感じです。
自分でブレーキを踏めない(体幹のコントロールをすることができない)ときにブレーキをかけてくれる(体幹の動きを制限してくれる)ものです。
つまり、ブレーキ制御システム的な感じでしょうか。
寝ているときの無意識の体幹の動きを制限してくれたり、昼間の活動時の不意な外力から守ってくれたりする働きです。
しかし、これらはアシストです。
あくまでも補助です。
なので、やはりブレーキは基本的に自分で踏む必要があります。
体幹のブレーキ(コントロール)システムについて考えてみると、体幹の動きにブレーキをかけるのは能動的(意識的)な筋肉の活動であることがわかります。
筋力を利用したブレーキは強力で、コルセット以上に背骨を固定してくれます。
能動的な筋肉による体幹のコントロールなしでは、背骨の安定化は得られません。
コルセットだけでは不十分なのです。
極論ではありますが、しっかりとした能動的な体幹のコントロールが可能であれば、コルセットは必要ありません。
骨がつながるまではコルセットの力も借りなければなりませんが、骨がつながった後は、コルセットに頼らず能動的な筋活動によって体幹をコントロールする必要があると考えてください。
まとめると
理想は自分の力で体幹をコントロールする事ですが、それが難しい場合はコルセットに少し手伝ってもらいましょう。
という考えです。
つまり、コルセットは悪までも補助なので、頼るべきではない!!
ってお話です。
どうでしょうか?
コルセットに頼ってしまうのは、あまり良いことではない。
このようにとらえていただけたらなぁと思います。
4 コルセットは一番楽に感じるものが良い。という話。
私は圧迫骨折の経験はなく、硬性コルセットを自ら装着したことはありません。
軟性コルセットの経験はありますが、やはり両者の間には大きな違いがあるのを感じます。
圧迫骨折に使用するコルセットは、市販のものと違ってオーダーメイド(石膏で採型して製作)となります。
したがって、その人に合ったものが出来上がるわけです。
ぴったり合っているからこそ固定性や装着性が良いものとなります。
実際に装着してしばらく使用すると、皮膚に痛みが出たりすることがあります。
しかし、そこはオーダーメイドの良いところで、修正してもらうこともできます。
義肢装具士の方に不具合を伝えると、状態を確認後、手直しが施されます。
また、コルセットへの工夫もされています。
硬性コルセットとして使用した後、軟性コルセットとして使用できるように工夫してあるのです(硬い部分がデタッチャブルになっている)。
時期が来たら軟性コルセットへ早変わりしますので、手間がかからず、無駄もありません。
コルセットを装着していて皮膚の痛みが出たりすると、装具を緩めてしまい本来の固定力が得られないという結果にもなります。
痛みや違和感を感じたら、遠慮せず不具合を伝えましょう。
という中でなによりも、あなたが一番楽に感じる状態がベストです。
これを目指して遠慮せずに修正などはしてもらいましょう。
という事を忘れないでください。
5 まとめ:圧迫骨折でコルセットをしても痛みが取れない人は一定数いる。コルセットに頼らないようにしよう
いかがでしょうか?
圧迫骨折でコルセットをしても痛みが取れない理由について、多少なりとも理解できたでしょうか。
圧迫骨折の治療においては、基本的には骨がつながるまで体幹を固定する必要があります。
そのために、体幹の硬性コルセットが多く使われます。
背骨は本来固定しにくい部位であるため、体幹を幅広くコルセットで固定する必要があって。
さらに固定力を得るためには、正しく装着しなければなりません。
間違った装着では、十分な固定性が得られず、痛みが改善しないということもあります。(まぁ当たり前ですよね・・・笑)
で、コルセットは、骨がつながって脊柱が安定するまで使うもので、一生使うものではありません。
時期がきたらコルセットは外して、自分自身の体幹筋力で脊柱を安定化させる事が最上級の理想で、目的です。
なので、コルセットに依存することのないように注意・配慮していかなくてはいけません。
そのためには、コルセットを使っても、初めからコルセットは最終的には使わないようにする。
といった、刷り込みが必要になるといえます。
このように、コルセットを使う前提の時から、正しいコルセットの使い方を身に着けておくことで、コルセットへの依存も少なくなるのではないでしょうか。
という事で、今回の話が役に立てば幸いです。
本日も最後までありがとうございました。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集:運営者 理学療法士 平林
※ 編集を終えて・最後に ※
コルセットに依存しちゃう人はめちゃくちゃ多いです。
むしろ、依存しない人の方が少ないという感じです。
というのも、痛みがあるときにコルセットをして。
コルセットで、痛みが和らいだり、消失したら、それはもう、コルセットを使いたくなりますよね。
となれば、コルセットを外すのも怖いし、嫌になるのではないでしょうか。
これは、当たり前って感じですよね・・・。
なので、コルセットを最初に使うときに、コルセットに依存してはいけませんよ!!!!!!
という強い刷り込みが大事であって。
この思考がある事でコルセットへの依存も減らせると思うんです。
そして、コルセットを使うのがダメだ!!
と言っているわけではありません。
コルセットを使うべきタイミングとコルセットを外すべきタイミングがあるので。
この使い分けをしましょう。覚えましょう!!
という事を伝えたくて。
コルセットの使い方を身に着ければ、コルセットに頼らなくても腰の痛みを軽減させる事ができる。
という可能性は圧倒的に高くなります。
是非、使い方をみにつけてほしいなと思います。
で、コルセットについて述べている記事です。
こちらも参考にしてほしいです。
という中で、本日も最後までありがとうございました。
コルセットは寝る時は外した方が良くなりやすいです。
その理由について紹介しています。
単純に寝る時もコルセットをすると、体の柔軟性の低下が生じて、二次的に腰痛が起きてしまう可能性があるのと、単純に悪化してしまう可能性があるからです。
このような事について、紹介しています。
是非、最後まで読んで参考にしてください。
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mamottteライターで理学療法士のイワモトです。
圧迫骨折でコルセットをしても痛みが取れない。
このように思った事はないでしょうか?
圧迫骨折でコルセットをしても、痛みが取れないという人がいます。
今回はこの理由について考察しました。
この記事を読めば
◎ コルセットの効果と使い方、コルセットをしても痛みが取れない理由を理解できます。
最後まで読んで、圧迫骨折のコルセットの使い方について理解していただけたらうれしいです。
では、本日もよろしくお願いいたします。