※この記事はリハビリテーションの専門家で、理学療法士である運営者平林と、理学療法士イワモトの考えや意見をまとめて紹介しています。
なので、共感できる部分は共感して、納得できる内容は納得していただけると幸いです。
執筆者・運営者は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の国家資格を取得しており、実際に病院やクリニック、介護施設など様々な場所で現場で学んできています。
ですので、記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持った国家資格者の視点からみた意見と臨床での事実を述べています。
それを踏まえて、記事の内容は自信を持って提供しています。
しかし、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。
というのも、世の中には、沢山の治療方法や治療の考え方があって。
- どれが正しくて、どれが間違っているのか?
- どれが自分に適している治療なのか?
個人的な意見も沢山あり、個人の解釈や価値観、考え方によって大きく違ってきます。
ですので、『絶対にコレが正しい治療方法だ!!』みたいな考え方はできなくて。
間違いなく言える事は、どんな治療においても、【実際に試してみないとわからないよ】。という事です。
【100%これが正しい】という治療方法は存在しません。
ですので、ここで紹介している内容も一人の理学療法士の意見である事を踏まえていただきたいと思います。
そして、この記事があなたの役に立てばうれしく思います。
1 ヘルニアは誰でもなってしまう可能性がある怖い病態
ヘルニアは誰にでも起きる可能性があります。
ヘルニアになってしまう原因は、個々違いますが大きな原因は一緒です。
ここでは、その原因について紹介していきます。
その① ヘルニアになってしまう原因を解説:椎間板の亀裂
ヘルニアは腰の背骨にある骨と骨の間にある物体がズレてしまった事により起きます。
【参考】椎間板ヘルニアのイラストをみてください。
上と下の背骨の間には【椎間板】という物体があります。
この椎間板の中には、髄核(ずいかく)と呼ばれるゲル状の物質があって、この髄核が椎間板の裂け目から飛び出してしまう事で、後ろにある神経を圧迫してしまう事を『椎間板ヘルニア』と言います。
で、後方へと飛び出した髄核や椎間板の一部によって神経が圧迫されてしまうと、坐骨神経痛などの症状を起こす場合もあります。
ヘルニアになってしまう可能性を考えてみると、直接的には「椎間板の亀裂」などでしょう。
椎間板に亀裂が生じると、髄核がその亀裂を突き破って突出する可能性があります。
これが一つの椎間板ヘルニアの原因と考えられます。
また、椎間板に亀裂が生じてしまう原因は大きく2つあります。
椎間板に亀裂が生じる2つの理由:①加齢と②腰への負担
①加齢による理由
椎間板は変性し、弾力を失って亀裂を生じやすくなります。
②腰への負担による理由
腰への負担が大きかったり、継続して繰り返されたりすると、椎間板を損傷させる原因となってしまいます。
さらに、日常的に悪い姿勢が続いていたり、重い荷物の運搬で腰に負担がかかったりすると、腰への負担が増強します。
まとめると、加齢による、椎間板への亀裂を防ぐのは難しいですが、悪い姿勢や腰への過度な負担によって生じる椎間板への亀裂は努力次第で軽減できるとは思います。
ですので、腰への負担を減らすように、良い姿勢を意識してみたり、腰への過度な負担をしないように頑張ってみるのは有効でしょう。
その② どんな年齢でもヘルニアになってしまう可能性はある
若いから大丈夫とか、高齢だからヘルニアになる。という事はありません。
どんな年齢にでもヘルニアになってしまう可能性は正直あります。
まず、ヘルニアになる可能性として、「加齢」を挙げましたが、これは必ずしも「年齢が高い、高齢だから」ということではありません。
椎間板の老化は若年より始まると言われていて、10代でも、椎間板が弱くなる人は少なからずいます。
ですので、若いからと言って大丈夫というわけではありません。
もちろん若いときの方が椎間板の柔軟性は高く、変性が原因の損傷は起こりにくいのですが、一方では、激しいスポーツをする機会などが多く、椎間板に過度の負担がかかることで損傷を起こしてしまうこともあります。
スポーツ以外でも、腰に負担のかかる仕事などを行っている場合において、早期に椎間板の損傷を起こし、ヘルニアを起こしてしまうこともあるのです。
また、椎間板の性質は遺伝によっても左右されるため、遺伝的に変性を起こしやすいことも言われています。(これは定かではありませんが)
これらのように、年齢が若くても、椎間板にそれほど負担がかかっていなくても損傷を起こしてしまう場合もあるので。
ヘルニアは、どんな年齢でも起こす可能性があるということが言えるのではないでしょうか。
「まだ若いから大丈夫だろう」と高を括るのは危険。これを、頭の片隅に入れておいて欲しいなぁと思います。
2 もしかしたら、あなたもヘルニアかも?
次にもしかしたら、すでにあなたはヘルニアになっているかもしれません。
ヘルニアの症状が出ていないかチェックしてみてください。
こんな症状があったらヘルニアかも・・
腰椎椎間板ヘルニアには腰痛がつきものだというイメージがあるかもしれませんが、腰痛を伴わない場合もあります。
このような場合では、腰が原因ということが見逃されることがあるため、注意が必要です。
以下に腰椎椎間板ヘルニアの主な症状についてご紹介します。
当てはまる症状が多い場合は可能性が高くなりますが、当てはまる症状が1つだけでも、ヘルニアを起こしている可能性もあります。
当てはまる症状がある場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。
- 腰痛(ないこともあるため注意)
- 腰の違和感やしびれ感
- 足に生じる痛みやしびれ(坐骨神経痛症状)
- スリッパが脱げやすい(つま先が上がりにくい。筋力低下)
- 足に力が入りにくい
- 足に感覚の鈍いところがある(皮膚を触っても、感じが鈍いなど)
- 尿が出にくい、失禁、便秘などの排せつ障害
ヘルニアでは、上記のような症状を生じることがあります。
いくつかの症状(例えば3,4,5など)が合わさって、歩行しにくくなる「歩行障害」を起こすこともあります。
このような症状を起こしている場合は、明らかに異常を感じると思いますので、医師の診察を受けて、治療を行う必要があるでしょう。
また、障害が重度になると、排尿や排便に異常をきたすことがあります。
このような状態では、保存療法(手術をしない治療方法の事)だけでは不十分な場合もあり、手術を検討する必要もあるかもしれません。
自分で簡単にできる検査法をご紹介しておきます。
この検査で異常を感じたら整形外科の受診をおすすめします。
ただし、すべてのヘルニアの診断ができるわけではありませんので注意してください。
① 椅子に腰かけます
② 足の裏は床に着け、かかとの位置を左右揃えます
③ 左右のつま先を力いっぱい上にあげます
左右差はありませんか?上がり具合が大きく違う場合は要注意です。
④ 次につま先を下げて床に着け、②の状態に戻します
⑤ 体を前に倒して、左右の手の親指で、それぞれ足の親指を軽く押さえます(同じ力で)
行いにくい場合は誰かにやってもらうとよいでしょう
⑥ 次に、足の親指を上に反らすように力を入れてください
左右同じように力がはいりますか?椎間板ヘルニアでは、親指を反らす力が弱くなることがあります
この検査で、親指を反らす事ができなければ、そこまで神経が働いていない事になるので、状況的には重度な方になる。
という事がいえます。
しかし、リハビリや体操で改善していく可能性も十分にある。
という事を覚えておいてほしいと思います。
あなたのその行動がヘルニアを引き起こしているかも?
これは、あなたの日常生活における、悪い姿勢や腰への過度な負担によって、ヘルニアを引き起こしてしまう可能性が高い。かもしれないという事です。
ヘルニアを起こしやすくする要因に、腰への負担があります。
この負担は、あなたの行動によって大きくなることがあります。
以下に、腰の負担を増加させてしまう行動や習慣についてご紹介します。
猫背や反り腰は腰への負担を増やします
↓
猫背ではないか?反り腰ではないか?
過度な姿勢は負担を与えてしまいます。
何時間も椅子に腰かけたままなどは、腰によくありません
↓
長時間の同一姿勢は腰への負担になります。
こまめに姿勢を変えるといった配慮が重要になります。
腰への負担を考えない動作法は、非常に危険です。
↓
腰への負担が軽減される動作方法を身に着けるようにしましょう。
過度のスポーツ実施は脊椎分離症やヘルニアの原因となります
↓
無理に激しいスポーツを続けていませんか?
十分休息をとりながら、腰への負担を積み上げずにしましょう。
といった、4つの点は腰への負担を大きくかけてしまいます。
もし、一つでもあてはまるのであれば、意識して改善するべきでしょう。
3 ヘルニアは治る可能性は高い!諦めなければ大丈夫!(想いです)
ヘルニアって治るのか・・・・・?
と疑問に感じる人もいるでしょう。
ここでは、ヘルニアは治る可能性が大きくある。
という事を話していきます。
理由その① ヘルニアは手術で治る可能性がある
ヘルニアは手術で治せる可能性があって。
症状が重度の場合は早期に手術を行うこともあります。
ヘルニアの症状は、飛び出した髄核などによって神経が圧迫されることで生じるので、飛び出した量が多い場合は、神経を強く圧迫してしまい、短期間のうちに下肢の麻痺や排せつ障害を起こすこともあります。
このような場合に手術を行わないでいると、神経が大きなダメージを受けてしまい、数か月後に自然と髄核が消失しても後遺症が永久に残る可能性もあります。
なので、重度のヘルニアの場合は、早期に髄核を手術によって除去してしまった方が予後は良くなると考えられています(例外はあります)。
ヘルニアは、手術だけでしか治らないという訳ではありません。
しかし、症状や病態が重度の場合は、手術をした方が良い場合があります。
これを頭の片隅においてほしいなと思います。
理由その② ヘルニアは手術しないでも治る場合も多い
ヘルニアの状態は様々で、ほとんど症状のないものから排せつ障害などが起こるものまで多様です。
全体からすると重度の症状を起こす場合はそれほど多くありません。
したがって多くのヘルニアでは、手術をしないで治療を行います。
痛みを抑える内服薬や神経ブロックなどの薬物を使用した治療法をはじめ、運動療法などが良く用いられます。
ヘルニアは行動や習慣などによっても引き起こされますので、姿勢の矯正や動作方法の習得、ストレッチなどを取り入れることで、原因を改善していく治療法が行われています。
ヘルニアの状態は様々であるため、自分に合った対策を継続して実施していくことが重要となります。
また、何もしないで、自然経過を追うだけで椎間板から飛び出してしまった髄核は、吸収され、消滅していきますので、最終的には神経の圧迫がなくなることもあります。
理想を言えば、健康な時から腰痛・ヘルニアの予防対策を行っておくことが良いのですが、なかなか元気な時から対策を行うことは簡単ではありません。
そこで、最低限行っていただきたいのは、定期的なセルフチェックです。
早く症状に気が付けば、早期に対策を講ずることができます。
わずかな筋力低下や感覚鈍麻は、病院でも見逃されることもあります。
自ら定期的にチェックをしていれば、わずかな変化にいち早く気づくことができます。
その変化を医師に伝えれば、最初の診察からMRIで神経の圧迫の状態を確認してもらえるかもしれません。
診察時に、ただ「腰が痛いです」と伝えるのと、「腰痛があって、つま先の上りが前より少し悪いです」と伝えるのでは、全く違います。
医師へ適切な情報を伝えることも、患者側にとっては必要なことです。
自分の体の状態、症状についてよく観察し、変化を知ることは、その後の治療に大きな役割を果たします。
つま先の上がり具合や足指の力の入り具合に変化がないか、しびれ感が生じていないかなどのセルフチェックを、日ごろからしていただければと思います。
4 まとめ:椎間板ヘルニアは諦めなければ、症状が落ち着く瞬間はある。諦めずに行動しつづけよう
ヘルニアは加齢や腰への負担などが原因となって生じます。
しかし、若くても発症する場合もあるし、誰がなっても不思議ではない病態であるということがいえます。
さらに、ヘルニアは坐骨神経痛などの神経症状を起こす場合もあって。
足の痛みやしびれ、筋力低下、排せつ障害などの症状が出現していれば、ヘルニアが疑われますので、早めに受診するといいでしょう。
ヘルニアの治療は、重度の場合などでは手術が必要なこともありますが、多くの場合は手術をしない治療方法で対応が可能です。
まずは、リハビリで手術をしない治療方法を行って、症状が改善・軽減するかどうかをみてみるのがいいでしょう。
何よりも重要なのが、自分に合った対策法を継続して実施することが大切になります。
まだ、ヘルニアを発症していない方は、一先ず、セルフチェックをしてみてください。
そして、セルフチェックでなにもなければOKですし、少しでも違和感がある人は今からヘルニアの予防に努めるといいでしょう。
今回の話があなたの参考になれば嬉しいです。
本日も最後までありがとうございました。
執筆:mamotteライター 理学療法士 イワモト
追記・編集: 運営者 理学療法士 平林
ヘルニア・・・・嫌ですよね。
ちょっと、最近あった話を一つ。
【手術は絶対した方が良いとは限らない】というお話です。
●宮本さん(仮名) 61歳 デスクワーク 女性
●症状:左肩から手にかけてしびれ。
(宮本さんと仮名します)
宮本さんは、約5カ月前に肩に違和感を感じてから、5カ月間で徐々に小指にしびれを感じるようになってしまいました。
現状、しびれを感じていますが仕事はできています。
しびれは少し我慢すれば日常生活の支障はほぼありません。
日常的にしびれを感じており、疲れがたまるとしびれが強く感じる状態です。
しびれを我慢し始めてから5か月間経過したころ、おかしいなと思って病院を受診する事にしました。
その結果、首の骨が狭くなっていて、ボロボロになっている。
という診断でした。
その医師の判断は、今手術をしないと10年後、20年後症状がもっとヒドクなる可能性がありますよ。
と説明されたという事で、宮本さんは手術をする事にしました。
ここで、僕がの一つの疑問は。
【この状態で手術を勧めるのってどうなのでしょうか?!】
手術よりも、まずは、リハビリや体操などで、症状が改善・軽減するかどうかを確かめてみる。
という方法も、症状を治す一つの可能性ではないでしょうか?と思うのです。
宮本さんは、手にしびれがあって、辛いかもしれないけど。
日常生活も送れていて、仕事にもいけている状態です。
この状態で果たして本当に手術が必要なのか?
と思うのです。
手術をして症状が軽減・改善する人もいれば、手術をしても症状が変わらない、悪化した、良くなったと感じない。
という人がいるのも事実です。
それであれば、まずは、手術よりも、リハビリや体操、運動などで治す。
という考えでも良いのではないでしょうか・・・・ってことを強く伝えたいなぁと思います。
一つの参考になれば嬉しいです。
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maotteライターで理学療法士のイワモトです。
ヘルニア(椎間板ヘルニア)は、誰がなっても不思議ではない病態で、一度なってしまうと治りづらいとも言われていたりします。
なので、ヘルニアにならないように、あらかじめ予防や対策をしておく考えは重要です。
そこで、今回は、【ヘルニアは誰にでも起きる可能性のある怖い病態である】という事を知ってほしいと思います。
この記事を読んで
◎ ヘルニアは誰にでもなる可能性がある。
という事を知って、ヘルニアの予防や対策をしようという気持ちに繋がればうれしいです。
最後まで読んで、参考にしてください。
では、本日もよろしくお願いいたします。