執筆者・運営者は、理学療法士や作業療法士のリハビリテーションに関する国家資格を取得して、実際の現場で学んでます。
記事内で紹介している内容は、リハビリテーションの視点を持ったセラピストの意見です。
共感できる部分は共感して頂き、納得できる内容は納得していただけると幸いです。
また、記事の内容は自信を持って提供していますが、【内容が絶対正しい!】とは思わないでください。
世の中には、沢山の治療方法、治療スタイルや考え方があって。
個人的な意見や見解も沢山あり、どれが正しくて、どれが間違っているのか?
これは、個人の解釈によって大きく違ってきます。
ここで言えるのは、実際に試してみないとわからない。という事です。
【100%これが正しい】という意見はないと思っています。
人それぞれの見解があるので、ここで紹介している内容やお話も個人の理学療法士としての意見である事を踏まえていただきたいと思います。
そして、この記事があなたの役に立てば幸いです。
1 腰椎すべり症の概要
腰椎すべり症とは、背骨がズレてしまっている状態をいいます。
背骨は、小さい骨の連結によって成り立っています。
背骨について説明すると。
上半身を支える背骨は椎骨(ついこつ)という小さい骨が重なってできています。
成人の場合は24個の椎骨でつながれていて。
- 頚椎(けいつい・首の骨)7つ
- 胸椎(きょうつい・胸の骨)12つ
- 腰椎(ようつい・腰の骨)5つ
の3つの部分に分かれています。
で、すべり症とは、なんらかの原因で腰椎が変形してしまい、小さい骨同士の連結が乱れて、前後にすべり出してしまった状態をいいます。
すべってしまった事により、痛みやしびれといったさまざまな症状を引き起こしてしまう病態です。
上記の腰椎で言えば、緑の部分の一部の上下の繋がりがズレてしまう事をいいます。
2 腰椎すべり症の症状とその影響
原因はそれぞれ違いますが、どちらも脊髄神経が圧迫されることで痛みなどが出るため、現れる症状に大きな違いはない事が多いです。
最も多く現れるのは腰痛で、すべりの程度によって痛みのでかたや感じ方も異なります。
長時間同じ姿勢を続けたり重い物を持ったりと、腰に負担をかけると痛みが増したりします。
症状が進むと、神経圧迫により腰だけでなく足にも痛みやしびれが出る事もしばしばあります。
これは、いわゆる坐骨神経痛と言われる状態です。
腰椎すべり症も坐骨神経痛と似たような症状になりますので。
また、長い距離を歩こうとすると足に痛みや違和感が出て、屈んで背中を丸めるように休むと楽になる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」という症状が出てしまう人もいます。
間欠性跛行(かんけつせいはこう)とは、腰や足の痛みやしびれによって、長い時間歩く事が難しくなる状態をいいます。
ですが、しゃがんだり、座ったりすると症状が消えてまた歩けるようになる。
といった状態をいいます。
3 腰椎すべり症の主な原因
すべり症には大きく分けて「変性すべり症」と「分離すべり症」の2種類があります。
変性すべり症は中高年に多く見られる
これは加齢や生活習慣などによって腰椎を固定する力が衰えることで徐々に腰椎が変性してしまうことに原因があると考えられています。
分離すべり症は、若い年齢の子に多い
腰をひねったり反らしたりといった動作によって腰椎に負荷が加わり、疲労骨折を起こしてしまうことが主な原因に挙げられます。
4 腰椎すべり症の分類:2つの主要なタイプ
変性すべり症と分離すべり症のどちらを発症しているのかは、腰椎の状態から判断されます。
どちらも腰椎が正常な状態でないことで引き起こされるのは同じなのですが、異常がある箇所によってどちらかに分類されます。
腰椎分離すべり症について
腰椎をつなぐ椎間板の前方部分は椎体、後方部分は椎弓と呼ばれます。
外部から刺激が与えられたときに椎体と椎弓が分離してしまうことを「腰椎分離症(ようついぶんりしょう)」といい、そのなかでも後ろの支えがなく椎体が前へ出てきてしまうのが分離すべり症です。
腰椎変性すべり症について
分離すべり症は個々の腰椎に異常がある状態ですが、変性すべり症の場合はそうではありません。
腰椎そのものではなく、それをつなぐ椎間板が老化し不安定になることで引き起こされます。
筋力が低下したり、長時間負荷をかけられたりすることで徐々に変性していくので、分離すべり症に比べて高齢で発症しやすいのが特徴です。
5 腰椎すべり症の診断手順
腰椎すべり症は外から見るだけでは診断できません。
レントゲンや造影剤などを用いて検査して、画像を見て判断します。
MRIやCTで検査されることもありますが、これは手術の前に状態を細かく調べるために使われることが多くなっています。
6 腰椎すべり症の治療方法
腰椎すべり症の症状は人それぞれで、なかには自覚症状のない人もいます。
そのため、放置されてしまうことも少なくないですが、悪化すれば日常生活に支障をきたすこともあるので注意が必要です。
腰椎すべり症の治療には注射や薬物療法など、まずは保存療法が取られることが多いですが、症状が改善しない場合には手術療法を選択することもあります。
運動療法(ストレッチや筋トレも含む)
腰椎すべり症になると、腰の痛みや足のしびれから動きにくくなる傾向があり、運動不足になってしまうことがあります。
しかし、そうなると腰回りを支える筋肉や下肢の筋力等がさらに衰えてしまい、症状を進行させかねません。
痛みの出ない範囲で、可能な限りの運動をしましょう。
特に腹筋と背筋を鍛える事は体幹が安定し、腰の動きをサポートしやすくなるので良いでしょう。
また、運藤不足でなくてもすべり症の痛みを取り除くために必要な治療を行っていきます。
その為には、医師や理学療法士に運動方法を聞く事が良いでしょう。
物理療法
物理療法は、温めたり、電気をかけたり、筋肉をほぐしたりと痛みを軽減させたりする目的で行われます。
痛みのある部分へ集中的に低周波を流す電気療法、身体の芯を温めるマイクロ波治療などがその代表です。
また、腰痛の治療には上半身を引っ張って腰骨を伸ばす牽引治療も用いられます。
これは、効果としては個人の感じ方によるので、【気持ち良いなぁ】と感じる場合に継続していくのがいいでしょう。
手術
上記のような保存療法のほかに、手術によって回復を目指すこともあります。
どんな人が手術適応になるのか?
症状が軽い場合には保存治療が採用されることが多いですが、日常生活に大きな支障がある、あるいは耐えがたい痛みがあるといった場合には、手術も視野に入れる必要があります。
手術は固定術と呼ばれる手術法がとられることが多く、これは不安定な椎骨同士をしっかりと固定する手術です。
固定には自らの骨を使うこともあれば、チタン合金などの金属を用いることもあります。
手術の費用について
椎骨を固定する手術は保険適用であり、自己負担は3割です。
術式によって費用は異なりますが、約60~85万円が目安。
高額療養費現物給付制度が適用されるので、窓口で支払う金額は自己負担限度額までになります。
7 腰椎すべり症の予防策
腰椎すべり症は一度かかってしまうと、長く付き合っていなかなければならない病気です。
また、かかってからも徐々に症状が進んでしまうことがあるので、日頃から予防の意識を持つことが重要になります。
ストレッチ
腰椎すべり症になると腰回りと下肢が不安定になりやすいので、ストレッチをして身体を柔らかくしておくのがいいでしょう。
ストレッチは腰の可動性を向上させる目的で行うのがBESTです。
体重管理
腰への負担を避けるために体重管理も重要です。
体重が増えると腰にかかる負担が大きくなります。椎間板の変性リスクも高まります。
適度な運動と食事を意識し、体重が増えないように気をつける方がいいでしょう。
すでに腰椎すべり症を発症している場合には、激しい運動をすると症状が悪化してしまう危険もあるので、様子を見ながら、できる範囲で体重コントロールを目指しましょう。
生活習慣の見直し
ここでは、日々の何気ない動作や姿勢を見直すことが重要です。
腰に負担のかかる動きを続けていると椎間板が徐々に傷み、やがて変性してしまうことがあるのと悪い姿勢の影響がかなり大きいからです。
たとえば、立ち仕事が多い人の場合、自然と楽な立ち方を求めていくので。
重心が片方の足に偏ったり、下っ腹が突き出て、腰が曲がった状態で立つなどの姿勢になります。
腰を頻繁に曲げる動作をする仕事などでは、腰に負荷を常にかけている状態になるので、悪化を招きやすいのもあります。
仕事の関係上、腰に負担を仕入れられる場合も、上手く対処していく方法を身に着ける必要があるでしょう。
8 まとめ:痛みと症状の管理と改善
症状は軽い腰痛から間欠性跛行までさまざまで、日常生活に支障をきたすこともあります。
物理療法や手術などさまざまな治療法がありますが、毎日の生活のなかで気をつけていく事が何よりも大切です。
一度自分の生活を見直してみてはいかがでしょうか。
そして、運動療法や良い姿勢の意識を行う事で、痛みの予防や改善を目指せるとさらに良いと思います。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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mamotte運営者で理学療法士の平林です。
腰が痛い・・・・これはなんだろうか・・・。
と病院に行ったら、腰椎すべり症と診断された・・・。
一体どんな病気なのだろうか・・・?
という事で、今回は【腰椎すべり症とはなにか?】をテーマに記事にしました。
この記事を読めば
◎ 腰椎すべり症とは何か?そして、症状についても知れて、腰痛改善に何かしら役に立つでしょう
最後まで読んで、参考になればうれしいです。
では、本日も宜しくお願いいたします。